フラッシュでプレー中断→松島輝空にイエローカード グランドスマッシュ決勝で下された判定の妥当性を解説<卓球・チャイナスマッシュ2026> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松島輝空(個人)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 フラッシュでプレー中断→松島輝空にイエローカード グランドスマッシュ決勝で下された判定の妥当性を解説<卓球・チャイナスマッシュ2026>

2026.10.12

文:ラリーズ編集部

<卓球・チャイナスマッシュ2026 日時:10月1日~11日 場所:北京(中国)>

11日、チャイナスマッシュ2026は最終日を迎え、男子シングルス決勝で松島輝空(個人)と林昀儒(リンユンジュ/チャイニーズタイペイ)が対戦した。

ゲームカウント3-3までもつれる激闘となり、松島リードで迎えた最終ゲーム終盤にアクシデントが起きた。

フラッシュで中断、松島にイエローカード

問題の場面は最終ゲーム10-9、松島がチャンピオンシップポイントを握っていた。その後、林昀儒がサービスのトスを上げた瞬間に観客席でフラッシュが光り、松島はプレーを止め、観客席を指差してアピールした。

しかし、主審が示したのは松島へのイエローカードだった。場内が騒然とする中、松島は「フラッシュがあった」と抗議したが、判定は覆らなかった。

試合は松島が11点目を奪って優勝を決めたため、大きな問題とはならなかった。しかし、1点を争う場面でのイエローカードは非常に重い判定であることは言うまでもない(※)。

また、卓球が競技スポーツである以上、このときの主審の判断の妥当性は、検証して然るべきだ。

※卓球では2度目のイエローカードが出された時点で相手に1点が入り、イエローとレッドが同時に提示されます。

ルール上はどうなるのか

ITTFの現行ルールには、次の規定がある(いずれも要旨)。

条項:2.5.2

ボールは、サービスで意図的に投げ上げられる前に、フリーハンドの手のひらの上でボールが静止している最後の瞬間からインプレーとなる

条項:2.9.1.3

サービスやリターンの失敗が、競技者にはどうにもできない妨害による場合はレット

条項:2.9.1.4

主審または副審がプレーを中断した場合はレット

条項:2.9.2

プレーを中断できるのは、サービス・レシーブ・エンドの順序の誤りを正すとき(2.9.2.1)
促進ルールを導入するとき(2.9.2.2)
競技者やアドバイザーに警告・罰則を与えるとき(2.9.2.3)
ラリーの結果に影響しうる形で競技条件が乱されたとき(2.9.2.4)

条項:2.10.1.2

レットでない限り、正しいリターンができなければ相手の得点

条項:3.5.2.1

相手に不当な影響を与える、観客の気分を害する、あるいは競技の品位を損なう行為を慎まなければならない

条項:3.5.2.2

軽微な違反については、主審は初回に限りイエローカードを提示して、以後の違反には罰則が科される旨を警告できる

選手自身がレットの判定はできない

ポイントは、レットの判断をするのは選手ではなく審判であるという点だ。今回は林昀儒がすでにトスを上げており、ボールはインプレーの状態にあった。つまり、この時点でプレーを中断する権利は主審にしかない。

だが、フラッシュの妨害があったとはいえ、松島は自分の判断でプレーを止めた。ゆえに、ルール上、この時点では松島のレシーブ失敗となり、松島の失点とされる可能性があった。

これがもし、松島がレシーブを正しく行い、ミスをしたうえでフラッシュの申告をしていれば、「条項:2.9.1.3」に則ってレットが認められた可能性はある。だが、フラッシュによるレットを申告するなら、フラッシュが起きた瞬間でなければ審判にレットを認めさせることは現実的に難しいだろう。ゆえに、松島がこのタイミングでフラッシュを指摘したことは責められるべきではない。

だからこそ、主審は一連の流れを松島の失点とせず、「条項:3.5.2.2」と「条項:2.9.1.4」に則ってイエローカードの提示とプレーのやり直しに留めたと推察できる。

林昀儒にも影響を及ぼした可能性


写真:林昀儒(リンユンジュ/チャイニーズタイペイ)/撮影:ラリーズ編集部

観客席からのフラッシュ被害は、この試合に限った話ではない。今大会では張本智和(トヨタ自動車)ら日本勢に加え、海外のトップ選手も同様の被害を受けている。

フラッシュは、打球の瞬間だけでなく試合の流れそのものを変えかねない。この場面でも、林昀儒も9-10から追いついて、逆転で優勝を掴む可能性が残っていた。その最善の一手として出したサービスが止められてしまったことで、再開後のプレーも考え直さざるを得なくなった。

フラッシュを焚いた人物の意図は図りかねるが、もし故意に、松島を妨害するために行ったのだとすれば、林昀儒にかかるリスクも考えなかったのだろうか。

観客のマナーをめぐっては、今後も議論を残す形となった。

男子シングルス決勝

林昀儒(リンユンジュ・チャイニーズタイペイ)3-4 松島輝空(個人)〇
7-11 / 9-11 / 11-7 / 11-8 / 11-5 / 7-11 / 9-11

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