文:ラリーズ編集部
<JA全農 2019ITTFチームワールドカップ東京大会 2019年11月6日~11月10日>
6日、JA全農2019ITTFチームワールドカップ東京大会が開幕し、男女団体の予選リーグ2試合が行われた。東京五輪で行われる卓球競技と同じ会場、同じルールで開催される今大会は、まさに五輪前哨戦と言っても過言ではない。日本男子は、初戦でイングランドに敗れるも、オーストリア戦では立て直し、1勝1敗で予選リーグを終えた。また、日本女子は、オーストリア、アメリカを圧倒し、予選リーグ1位通過を決めた。
リアム・ピッチフォードがまたも立ちはだかる
写真:リアム・ピッチフォード(イングランド)/撮影:ラリーズ編集部
日本男子は、1勝1敗で予選リーグを終えた。
世界卓球2018に続き、日本はイングランドに敗れた。日本の前に立ちはだかるのはやはりリアム・ピッチフォードだ。TリーグでもT.T彩たまの一員として活躍しているピッチフォード。張本智和(木下グループ)と丹羽孝希(スヴェンソン)を倒し、イングランドを勝利に導いた。
写真:丹羽孝希(スヴェンソン・写真左)/吉村真晴(名古屋ダイハツ)/撮影:ラリーズ編集部
試合後に、「水谷/吉村で行こうと思っていた」と倉嶋監督は語っていた。水谷隼(木下グループ)が腰の故障で出場を回避し急遽、丹羽/吉村でイングランド戦に臨んだ。ルールが変わってダブルスが1番になる東京五輪。アクシデントがあったにも関わらず、丹羽/吉村は快勝し、チームに弾みをつける。しかし、張本は通算成績1勝2敗と負け越しているピッチフォードにゲームオールの末敗れた。張本は、「相手を研究した分考えすぎた」と試合後に語った。
3番で出場したのは吉村。2016年のリオデジャネイロ五輪で活躍し、男子団体で銀メダルを獲得したメンバーの1人だ。ここで勝ってマッチカウント2-1で丹羽につなげたかったが、張本と同じくゲームオールでポール・ドリンコールに敗戦。
写真:ポール・ドリンコール(イングランド)/撮影:ラリーズ編集部
後がなくなった日本の4番は丹羽。相手は、張本に勝利したピッチフォードであったが、丹羽はピッチフォードに対して負けなしと相性の良い相手だ。しかし、過去の成績は参考にならない。この試合では、ピッチフォードが丹羽を圧倒し、ストレートでピッチフォードに軍配が上がった。
この結果、日本は1-3でイングランドに敗れ、昨年の世界卓球2018に続いて2連敗となった。中でも、ピッチフォードは各試合で2勝ずつあげていて、張本に2回、水谷と丹羽にそれぞれ1回勝っている。今後も日本の壁になることは間違いない。
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張本智和、チームを救う2本取り
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
後がなくなった日本は、オーストリアと対戦。オーストリアといえば、2015年のヨーロッパ選手権でドイツを破って優勝したことのある強豪国だ。加えて、日本戦に出場したメンバーは当時と誰一人変わっていない。
ダブルスは、イングランド戦と同じく丹羽/吉村が出場するも、オーストリアペアに競り負けた。悪い流れが続くかに見えたが、16歳・張本が流れを変えた。今シーズン、ナイジェリアオープンやパラグアイオープンで準優勝しているロベルト・ガルドシュ相手にストレート勝ち。マッチカウント1-1のタイに戻す。
写真:丹羽孝希(スヴェンソン)/撮影:ラリーズ編集部
3番の丹羽は、ダニエル・ハーベソンとの対戦に。ハーベソンは、世界卓球2017の1回戦で松平健太(T.T彩たま)に勝利している実力者だ。この試合、ハーベソンが追いつく形でゲームオールに持ち込まれるも、最終ゲームは丹羽が振り切り辛勝。貴重な1本を日本にもたらした。
4番で再び登場した張本の相手は、ダブルスにも出場したステファン・フェゲルだ。2015年にポーランドオープンで、張継科(チャンジーカ・中国)を破り、さらに決勝で樊振東(ファンジェンドン・中国)をゲームオールまで追い詰めたことのある選手だ。とにかく粘り強い。そんなベテラン選手を相手に、張本は主導権を握り3-0のストレート勝利。絶対負けられないオーストリア戦を勝利で飾った。現時点で、順位は確定していないが、日本男子の準々決勝は確定した。
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日本女子、オールストレート勝利で開幕戦を快勝
写真:伊藤美誠(スターツ)/撮影:ラリーズ編集部
日本女子は、2連勝で予選1位通過を果たした。
オーストリアとの初戦は、3-0で日本が勝利。石川佳純(全農)/平野美宇(日本生命)のダブルスが幸先よく勝利すると、2番は伊藤美誠(スターツ)とリュウ・ジャの対戦に。伊藤は、終始リュウ・ジャを圧倒しストレートの勝利。
3番で登場した平野は、勢いそのまま相手を圧倒していく。各ゲーム競ることもなく、リードを広げ平野も3-0で勝利。圧巻のオールストレート勝利で、日本は1勝を挙げた。
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石川佳純、女子ワールドカップ4位に勝利
写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
オールストレート勝利と最高のスタートを切った日本女子。2試合目はアメリカとの対戦だった。アメリカには、先日中国で行われた女子ワールドカップで平野を破り、4位入賞したチャン・リリーを擁している。
試合は、1試合目同様石川/平野が幸先よく相手を下すと、2番伊藤も止まらない。1ゲーム目こそ競るものの、2ゲーム以降はリードを広げた。2-0と勝利にあと一歩に迫る。
3番石川はチャン・リリーの戦いになった。1ゲーム目を先取するも2ゲーム目をデュースで落とした石川。実力者同士の戦いは激しいラリー戦になった。2-1と石川がリードした第4ゲームには、ピッチの速い打ち合いの中、体勢を崩したにも関わらず驚異的な反応で返球し得点。石川の気迫が伝わってくる一本もあり、3-1でチャン・リリーを突き放し、日本はアメリカにストレートで勝利した。
6日に予選リーグ2試合を終え1位通過を決めた日本女子は、準々決勝進出が決まった。女子団体準々決勝は8日に行われることになっており、大会2日目の7日は試合がない。
予選を突破した日本勢がどこまで勝ち上がるのか。東京五輪前哨戦とも言える今大会、最後まで目が離せない。