文:寺西ジャジューカ
12月24日、宜野湾市立体育館で琉球アスティーダ(以下、琉球)と岡山リベッツ(以下、岡山)の試合が行われた。両チームは過去に3戦しており、2勝1敗で岡山がリード。琉球にはホーム沖縄でのリベンジが期待されたが、結果、今回は0-4で岡山が快勝した。琉球は12月10日以来、14日ぶりの試合。ゲーム感覚と試合勘が取り戻し切れていなかった?ちなみに、琉球のエース丹羽孝希は年内のTリーグ欠場を表明している。
1番:陳建安/江宏傑0-2 上田仁/森薗政崇
正直、琉球はダブルスの勝率が悪い。長年ペアを組む陳&江の台湾コンビはTリーグでは12月4日以来のペア結成だが、ここまで白星を挙げていない。加えて、江は未勝利である。
第1ゲーム、しっかり対策をとってきたか、森薗のチキータが陳&江にはなかなか通じない。安定したプレイを見せる琉球チーム。しかし、重大な場面になるとどうしても上田&森薗のほうが一枚上手のよう。例えば、ネット際の小さいボールを見逃す傾向が陳&江にはある。それを岡山に付け込まれ、失点してしまうのだ。安全策をとっていたら、決して点にはつながらない。積極的な攻撃を仕掛ける岡山とは対称的だ。
ただ、第2ゲームでは陳&江が意地を見せた。いきなり5点先取されたものの、盛り返してデュースに持ち込んだのだ。勝負勘を取り戻したか、特に江の動きがいい。しかし、終盤になるほど強さを発揮するのが上田&森薗ペアのいいところ。岡山が0-2で琉球を振り切った。
2番:荘智淵 0-3 吉村和弘
今まで1勝5敗の吉村だが、決して不調ではない。どの試合も勝っておかしくない内容だったし、唯一の勝利は張本智和相手に収めたものである。
この試合の吉村は大爆発だった。長い手足を活かした日本人トップクラスの攻撃力。フォアだけでなくバックからも強いショットを打ち、何をしてもうまくいく無双状態。一方の荘は防戦一方だ。心折れず虎視眈々と反撃の機会を伺っていたものの、勝機を見出せないまま押し切られてしまった。決して、荘も調子は悪くなかった。吉村が無双状態だったのだ。それだけ、今の吉村は強い!
吉村和弘、無双状態!(ダイジェスト動画より)
3番:陳建安 2-3 森薗政崇
12月9日に琉球と岡山の試合があり、そこで2人は対戦。その時は森薗が勝ちを収めている。これまで森薗はシングルスが3勝1敗で、その3勝は松平賢二、丹羽孝希、陳建安と、全て琉球の選手から収めたものだ。森薗は“琉球キラー”か?
主導権が行ったり来たりだった第1ゲーム。常に一球一球に全力の森薗と、常に涼し気な表情の陳。対称的な両者が面白い。結果、このゲームは14-12で陳が取った。
続いての第2ゲームは陳が5ポイントを先取したが、リードされた森薗もあきらめない。逆転のチャンスを伺い続け、実際に逆転。11-13で森薗が取り返した。
第3ゲームは、陳の動きがいい。森薗のチキータを待ち構え、的確に打ち返していく。結果、11-2という大差で陳がこのゲームはものにした。完封と言っていい展開だった。
第4ゲームの森薗は、とにかく粘り強い。なかなか掴めなかった調子をようやく取り戻したようで、5-11でゲームをものにしている。森薗の作戦は「ボールに食らいつく」、それに尽きる。
第5ゲームの森薗も同様だ。一時は9-6と引き離されたものの、やはりボールに食らいつき、立て続けに5ポイント奪取して逆転勝利!終始、一貫して試合のペースを握っていたのは陳だったが、ゴール前で森薗がギリギリ追い抜いた。森薗が根性の勝利を収めた一戦だった。
4番:有延大夢 1-3 吉田雅己
第1ゲーム、一度は3-8で有延を引き離していた吉田だが、点差の余裕からかプレイから積極性が失われた。それを見逃さない有延に挽回を許し、デュースに持ち込まれた。そこで再び吉田に火が点き、このゲームは吉田がものにした。
第2ゲームは積極的に攻める有延が主導権を握り、一時は8-3まで吉田を引き離した。だが、一つのサーブミスが有延のメンタルを消極的にしてしまう。勝機を見逃さない吉田が連続8ポイントを奪取して、このゲームもものにした。動揺したか、有延?
吉田はその後も強気を貫く。大事な局面では打ち、守るところでは守る。決してメンタルを崩さないのだ。第3ゲームは落としたものの第4ゲームはものにし、吉田が勝利を手中に収めた。
卓球は、つくづくメンタルの競技。それを痛感させる有延vs吉田の一戦だった。
12/24 琉球アスティーダ 0-4岡山リベッツ
陳建安/江宏傑 0-2 ◯上田仁/森薗政崇
9-11/10-12
荘智淵 0-3 ◯吉村和弘
7-11/7-11/7-11
陳建安 2-3 ◯森薗政崇
14-12/11-13/11-2/5-11/9-11
有延大夢 1-3 ◯吉田雅己
12-14/8-11/11-9/9-11