【卓球・Tリーグ】好調・陳が張本を攻略!地元ファンへのクリスマスプレゼントだ<12/25 琉球vs KM東京> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

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大会報道 【卓球・Tリーグ】好調・陳が張本を攻略!地元ファンへのクリスマスプレゼントだ<12/25 琉球vs KM東京>

2018.12.26

文:寺西ジャジューカ

<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 12月25日(火)宜野湾市立体育館>

12月25日、宜野湾市立体育館で行われた琉球アスティーダ(以下、琉球)と木下マイスター東京(以下、KM東京)の一戦。クリスマスだけに、ホーム・琉球の選手はクリスマス仕様の三角帽子を被り、カラーボールを投げながら登場だ。
ファンへのプレゼントはそれだけではなかった。過去0勝4敗だったKM東京を相手に琉球が3-1で完全勝利したのだ。今回の琉球の勝利によって、2位以下の3チームが全て得点18で並ぶ現在の状況。順位争いは混沌を深めている。

各マッチ解説

1番:張一博/江宏傑 1-2 田添健汰/松平健太

Tリーグに出場する4チームの中で琉球はダブルスの勝率が最も低い。琉球 vs KM東京の対戦成績をダブルスに限定して見ると、琉球の0勝4敗である。琉球がペアの組み合わせを毎試合変えているのは「勝ちたい」という気持ちの表れだろう。今日はいつもはコーチとしての役割が大きい張が江とのペアで出場した。今回、張はTリーグ初出場。一方、KM東京が送り出したのは田添と松平の“ケンタペア”である。
第1ゲーム、序盤はほとんど互角だった。しかし後半になると、ネット際の小さいボールの処理に差が出てくる。KM東京のほうが丁寧で安定している。その違いで、琉球はKM東京の攻撃を許してしまっている。また、試合から遠ざかっていた張の試合勘も若干鈍っているようにも見える。
第2ゲーム、一時は琉球が7-3まで離されるも、タイムアウトを取ってからじわりと追い上げ、デュースまで持ち込んだ。その後も琉球は粘り腰を見せ、14-12でこのゲームをものにしている。タイムアウトによって試合が動いた好例だ。
第3ゲームは江の足がよく動く。いいリズムでプレイできているようだ。一度は琉球が9-7までリードし、勝利は目前に。しかし、結果的にKM東京が9-11で勝利した。追い込まれても自分たちのプレイを貫き、勝つのがKM東京の卓球である。ただ、琉球の2人もらしさを発揮しており、試合は落としたもののチームの士気は落ちていない。

2番:荘智淵 3-0 田添響

荘が落ち着いている。対する田添も物怖じしていない。序盤は若さで押す田添が1-5まで引き離したが、徐々に老獪さで盛り返す荘。サービスの種類を変えたり、ボールのコースを変えたり、ベテランの妙技で田添を攻め込む。結果、第1ゲームは11-6で荘が奪取した。
第2ゲームは第1ゲームとは逆の展開だった。初っ端から荘が押せ押せで、いきなり5-0まで田添を引き離したのだ。1ゲーム目から考えると、荘は13点連続で一方的にポイントをゲットしている。田添も得意のバックハンドで必死の抵抗を試みるが、荘のブロックに強く跳ね返されてしまう。このゲームは11-7で荘が取った。
第3ゲームは一進一退。しかし、大事な局面になるとベテランの荘がミスしないのだ。長いラリーが続くと、田添のミスを誘いに掛かったりする。このゲームも荘が11-8で取り、結果、ストレート勝ちを収めた。
22歳の田添を調子づかせないようにプレイする37歳の荘の老獪さ。まさに、経験値が物を言った。

3番:有延大夢 3-1 大島祐哉

打ち合いが得意な選手同士の一戦。両者ともにフォアハンドの攻撃力が高い。大島はシングルスで荘智淵と丹羽孝希に勝っており、琉球との相性はいい選手だ。一方の有延は昨日の吉田雅己(岡山)戦で黒星を喫しており、今日は何やら気合いが違う。なんと、試合開始の6時間前から会場で練習に励んでいたというのだ。
両選手の意気込みは、試合開始直後の超高速ラリーからはっきりと窺えた。特に有延は第1ゲームから集中力が高く、「今日は絶対に勝つんだ」という気持ちがにじみ出ている。対する大島は有延のサービスを迎え打ついいレシーブができていない。途中までは大島がリードしていたが、途中から有延の怒涛の攻撃が始まり、1ゲーム目は11-9で有延がものにした。
第2ゲームになると、両者ともにレシーブの質が1ゲーム目より良くなった。攻撃力の高い2人がしのぎを削り合ったからである。一度は4-2までリードを許した大島だが、タイムアウトをとってからフォアハンドをあまり使わずに得点を重ねていく。邱建新監督のアドバイスが功を奏したのだろう。結果、このゲームは6-11で大島が取った。
第3ゲームは大島の攻撃を見切った感のある有延のペースで展開は進み、11-7で有延がゲームをものにした。
第4ゲームも有延の好調は続く。なんと、8ポイント連続奪取だ。大島の動きが完全に見えている。得点するたびに張り上げる「チョー!」の雄叫びも勇ましく、ド迫力である。一方の大島は集中力が切れてしまったか、ポイントが一向に入らない。結果、11-3で怒涛のように有延が勝利を掴んだ。有延はTリーグ初の白星である。

4番:陳建安 3-2 張本智和

この2人はTリーグで過去に2戦しており、今まで張本が2勝している。
第1ゲームが始まると、やはり張本の“速さ”が際立つが、陳も全然負けていない。張本が陳のドライブに合わせられず、まずは陳がゲームを取った。
第2ゲームになると、張本の速さは相変わらず。でも集中力が途切れたか、球を打つコースが甘くなってきた。時に首を傾げる張本。自分のプレイができていないようだ。張本が迷いを見せたまま、このゲームは11-7で陳がものにした。こう見ると、今まで2勝しているものの、張本にとって陳はあまり相性のいい相手ではないように見える。
第3ゲームでは、張本が決めに行ったショットを陳がことごとく返していく。迷いを見せる張本。陳にとってはチャンス。しかし、なんとか張本が正確なショットで巻き返し、9-11でゲームを奪取した。踏ん張った張本! 彼の中では、もはや自分との戦いか?
第4ゲームが始まり、一時は3-8と張本がリードしたが、あっという間に陳に8-8へと追いつかれてしまった。試合はデュースへ突入。そして、このゲームは12-14で張本が取った。
遂に第5ゲームが始まった。いまだ、張本は集中力が高まってないように見える。対する陳は調子が良さそうだ。張本お得意のチキータを狙い、打ち返す陳。集中力を切らさない。ファイナルゲームは11-8で陳が取った!

“大本命”KM東京を、エース・丹羽孝希不在の琉球が3-1で下したこの一戦。館内はどよめきが収まらない。「勝ちたい」という気持ちが何より大事だと教えてくれた一戦である。何が起こるかわからないのがTリーグ!

陳建安、Tリーグ個人成績トップを走る張本を下す!

12/25 琉球アスティーダ 3-1 木下マイスター東京

張一博/江宏傑 1-2 ◯田添健汰/松平健太
5-11/14-12/9-11

◯荘智淵 3-0 田添響
11-6/11-7/11-8

◯有延大夢 3-1 大島祐哉
11-9/6-11/11-7/11-3

◯陳建安 3-2 張本智和
13-11/11-7/9-11/12-14/11-8

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