文:ラリーズ編集部
Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。
今回、11日に行われたT.T彩たまと岡山リベッツの一戦から、第3マッチの松平健太と吉村和弘の試合を取り上げる。
昨シーズン、木下マイスター東京でプレーしていた松平は、6試合に出場して2勝4敗と負け越している。過去2回の世界選手権ベスト8という実績を持ちながら、不本意な成績に終わった2018-2019シーズン。そんな松平が今シーズンは一味違う戦いを見せている。
今シーズン出だしこそ敗戦から始まったが、そこから丹羽孝希、侯英超(ともに木下マイスター東京)を下すなど、チームの勝利に最も貢献している選手と言っても過言ではない。
対戦相手の吉村和弘は、世界選手権でシングルスに出場するなど世界でも活躍している選手だ。しかし、今シーズン未勝利と苦しい状況だ。昨シーズンは、8勝7敗(ビクトリーマッチ含む)と岡山リベッツを牽引しており、ビクトリーマッチで張本智和(木下マイスター東京)に2度勝つなど、チームの要となっていた。
そんな両者の戦いは、ゲームカウント3-2で松平の勝利となった。ここでは、松平の勝因を紹介していく。
1. 強気のレシーブ
写真:レシーブのコース/図:ラリーズ編集部
この試合、松平の勝因の1つは、勝負どころでのレシーブだと考える。同じパターンでの得点が2つあった。
①第3ゲーム6-8の場面
1つ目は、1-1で迎えた第3ゲーム、松平が6-8でビハインドの場面だ。長くなった吉村のサーブを回り込んでバッククロスに返球。それに対して、吉村も回り込んでストレートにカウンターも狙うも、ミスになり松平に点が入った。
松平が「3ゲーム目を逆転で勝てたのが大きかった」と語ったように、第3ゲームを11-9で競り勝ち、マッチカウントを2-1とした。
②第5ゲーム12-11の場面
2つ目は、最終ゲームの12-11で松平がマッチポイントを握ったシーンだ。このゲーム、先にマッチポイントを握るも逆転される非常に緊迫した展開だった。12-11と再びマッチポイントを取った松平が選択したのは、「回り込み」だった。
1つ目のポイント同様、吉村のロングサーブを読み切り回り込んでクロスに攻撃。吉村は詰まった形になり、うまく打球できず松平が得点。ゲームオールデュースにもつれ込んだ一戦は、松平の勝利となった。
写真:吉村和弘/撮影:ラリーズ編集部
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2. ラリーで1本多く返す粘り強さ
また、もう1つの勝因は、松平の1点に対する粘り強さだ。
岡山リベッツの白神監督が「(松平は)いつもきれいな卓球をするが、今日は倒れ込みながらでも1点をもぎ取ってやろう、という気持ちを感じた」と語ったように、松平は吉村のパワーのある球をねじ込んででも返球しようとしていた。吉村は、松平の1本多く返ってくる執念のラリー力に屈したのかもしれない。
写真:松平健太(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
まとめ
両者譲らず最終ゲームまでもつれたこの試合は、松平の積極さと粘り強さが勝敗を分けた。吉村は、パワフルな両ハンドで果敢に攻めたがあと一歩及ばなかった。
「今は気持ちに余裕が持てている」と語った松平は、今シーズンすでに3勝1敗と昨シーズンよりも多く勝利している。今後どんな活躍を見せてくれるのだろうか注目だ。
T.T彩たま 対 岡山リベッツ:松平健太 vs 吉村和弘
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詳細スコア
◯松平健太 3-2 吉村和弘
11-3/10-11/11-9/7-11/13-11