写真:Tリーグデビュー戦ながら陳建安(チェンジェンアン・琉球アスティーダ)を圧倒したマルコス・フレイタス(KM東京)/提供:©T.LEAGUE
大会報道 チームを救ったフレイタス 勝因となった”基礎力の高さ”<KM東京vs琉球>
2019.11.24
文:ラリーズ編集部
Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。今回は11月23日のノジマTリーグ・木下マイスター東京VS琉球アスティーダの一戦から、第4マッチのマルコス・フレイタス(以下、フレイタス)と陳建安の試合にスポットライトを当てる。
ポルトガル代表のフレイタスは先週木曜(11月21日)に加入が発表されたばかり。その2日後の土曜日に試合というのはタイトなスケジュールだったが、リオデジャネイロオリンピック男子シングルス5位の確かな実力を見せつけ、陳建安にストレートで勝利を収めた。
基礎力の高さに自信を持つフレイタスが、徹底してラリー戦へ持ち込むことを意識したサーブとレシーブが勝因となった。詳しく見ていこう。
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1.ドライブラリーに持ち込むレシーブ
写真:フレイタスのチキータ/図:ラリーズ編集部
1つ目は、フレイタスのレシーブにある。フレイタスはこの試合陳建安のサーブに対して、ストップやツッツキのようなつなぐレシーブよりも、チキータのような「ラリーに持ち込みやすいレシーブ」を積極的に狙っていた。
第1ゲームの4-1で、フレイタスがリードしていたときのチキータはその象徴といえる。左利きの陳建安の順横回転のロングサービスがフレイタスのバック側に来たこの場面。同じ左利きのフレイタスにとっては、バックハンドドライブでのレシーブがセオリーであった。しかし、フレイタスはワンテンポためて、横回転をかけたチキータであえてゆっくり繋ぐことを選択した。
すると、3球目で早いテンポでの攻撃を狙っていた陳建安は意表を突かれ、バックサイドに回り込むことを余儀なくされた。陳は3球目ドライブは打てたものの、コースがクロスに限定されてしまった。つまりフレイタスは、自分の得意なドライブラリーの展開に持っていくと同時に、次のボールが自分の思ったところに来るような、自分にとって圧倒的に有利な状況を一瞬で作り出したのだ。
2.ドライブにつなげるYGサーブ
写真:マルコス・フレイタス/撮影:ラリーズ編集部
2つ目は、サーブだ。フレイタスはこの試合でYGサーブを多く使っていた。YGサーブは特にヨーロッパ選手が得意とする強烈な逆横回転サーブ。特にフレイタスのサーブは回転軸が分かりづらく、厳しいレシーブをするのが非常に困難だ。
フレイタスはこのYGサーブをコースや長短を使い分けることで相手のレシーブミスを誘い、3球目ドライブを積極的に狙っていった。ここでもレシーブ時同様、得意のドライブラリーの展開に持ち込めるように、戦術を組み立てていたのだ。
木下マイスター東京vs琉球アスティーダ:フレイタスvs陳建安
フレイタスの見事なカウンターはこちら!
詳細スコア
○フレイタス 3-0 陳建安
11-4/11-7/11-8
まとめ
このように、フレイタスはレシーブ・サーブ時共に、自分の得意な展開へ持ち込むことを徹底的に意識していた。そのこと自体は戦術の基礎だが、サーブ時の得点率約60%、レシーブ時の得点率約65%という数字を見れば、その基礎をフレイタスがいかに高い水準で成し遂げたかがよく分かるだろう。
Tリーグデビュー戦を快勝で飾り、チームの連敗脱出にも貢献したフレイタス。木下マイスター東京初の欧州選手として、これからの活躍にも注目が集まる。