野田学園OB対決制した吉村真晴の巧みな戦術とは<琉球vs彩たま> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)/提供:©T.LEAGUE

大会報道 野田学園OB対決制した吉村真晴の巧みな戦術とは<琉球vs彩たま>

2020.02.02

文:ラリーズ編集部

Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。

今回は2月1日のノジマTリーグ・琉球アスティーダVST.T彩たま戦から、吉村真晴(琉球アスティーダ)と平野友樹(T.T彩たま)の試合にスポットライトを当てる。

リオ五輪銀メダリスト・吉村真晴は琉球の主力としてシングルス・タブルスともに勝ち星を多くあげ、チームを引っ張る存在となっている。今年の全日本選手権ではシングルスベスト8と、確実に実績を残している。サーブレシーブに定評があり、代名詞の“YGサーブ”は世界トップ選手も手を焼くほどだ。

対する平野友樹は野田学園高時代の吉村の先輩で、吉村が苦手としている相手だ。Tリーグではダブルスでの起用がメインだが、シングルスでも1月25日の琉球戦では木造勇人と吉村を下すなど、重要な場面で勝利をあげ、チームを支える存在となっている。巧みなサーブからの連続攻撃とガッツのあるプレーが持ち味の選手だ。

お互いを熟知している2人の対決はフルゲームまでもつれる大接戦となった。勝負の分かれ目となった2つのポイントについて解説する。

ノジマTリーグ 琉球アスティーダ 対 T.T彩たま:吉村真晴VS平野友樹

〇吉村真晴 3-2 平野友樹
11-9/11-4/8-11/7-11/11-8

吉村VS平野のハイレベルな試合はこちらから

1.プレッシャーを与える回り込みフォアハンド


図:吉村の回り込みフォアハンド/作成:ラリーズ編集部

吉村は1、2ゲーム目、平野がバック側に送ったボールに対して積極的な回り込み攻撃を見せた。バックハンドも得意としている吉村だが、自分のことをよく知る平野に対してプレッシャーをかけるために回り込みを多用したと考えられる。

一般的に回り込んでのフォアハンドの方がバックハンドよりも威力が高いが、大きく動かなくてはならず、リスクも大きい。だが吉村は平野がバック側に返してくるタイミングをうまく読み、フォアハンドでの攻撃を印象付けることに成功した。

吉村の思い切った攻撃に焦りが見えた平野は打ち急ぎ、1、2ゲーム目を吉村が連取することになった。

2.最終ゲームで光った得意技のサーブ


図:吉村のサーブイメージ/作成;ラリーズ編集部

平野は冷静にペースを落として吉村の攻撃をかわし、3・4ゲーム目を連取した。お互いに後がなくなり迎えた最終ゲーム、吉村のサーブからとなった。

フルゲームになった場合、Tリーグでは最終ゲーム6-6からのスタートとなる。下手を打つとあっという間に負けてしまうこともあるため、最初の2本、サーブを持った吉村はなんとしても得点して流れを作りたい場面だった。

一本目、吉村は十八番のYGサーブをバックに出し、サービスエースを取る。続けて真逆の回転である順回転系サーブをフォア前に出し、甘くなったレシーブを攻めて得点。理想的なスタートを切った。

続く平野のサーブから2本連取されるものの、またバック側、フォア側とサーブを散らし連続得点。結局、最終ゲーム吉村はサーブから1点も落とさなかった。

広角にコースを散らし、また回転も真逆のものを使うことで、フルゲームという緊張した場面で相手はよりプレッシャーを感じることになる。多彩なサーブを持つ吉村の持ち味が存分に発揮された場面だった。

まとめ

手の内がわかっている相手との対戦で、予想外のプレーをできる柔軟さと、自分の強みを活かしぬく自信を持った吉村が一歩上を行く結果となった今回の試合。平野も自分のサーブからの得点力は高かったが、最終ゲームは常に吉村先行の状態だったのが大きかっただろう。

チキータの流行によりレシーブ有利と言われる時代だからこそ、サーブから得点できる選手は強いと言える。ビッグサーバー・吉村真晴のさらなる活躍に注目だ。