文:寺西ジャジューカ
<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 2月9日(土)越谷市立総合体育館>
2月9日、越谷市立総合体育館でT.T彩たま(以下、彩たま)と木下マイスター東京(以下、KM東京)が対戦した。結果は、KM東京が4-0のストレートで勝利を奪取。
とにかく、この日のKM東京のメンバーがとんでもない。水谷隼、大島祐哉、張本智和、侯英超である。試合後、彩たまの坂本竜介監督は「世界選抜みたいなメンバーを用意された」と苦笑いしていたが、まったくだ。この陣容には、水谷も誇らしげだった。
「今日のメンバーが今のところベストかなあと思います。もちろん、そのときの体調だったり状態によって多少は変わったりするんですけど。みんな気合も入ってましたし、ベストメンバーで戦えたんじゃないかなと思います」
T.T彩たま vs 木下マイスター東京 各マッチの解説
1番:高木和卓/黄鎮廷0-2水谷隼/大島祐哉
写真:水谷隼(左)・大島祐哉(木下マイスター東京)/撮影:寺西ジャジューカ
張本、水谷、そして侯英超を擁するKM東京相手にシングルスで連勝を重ねるのはキツい。しかも、KM東京はダブルスに関しては勝率5割を切っている。彩たまからすれば、このダブルスは是が非でも取っておきたいところ。
試合内容は接戦だった、物凄いラリーの応酬は見ごたえあり。黄鎮廷(ウォン チュンティン)のサーブレシーブも光ったのだが、相手は水谷隼と大島祐哉のペアである。この2人の地力はいかんともしがたい。
勝利インタビューでKM東京の邱建新監督は「ダブルスの勝利が勢いを付けてくれた。ダブルスが1番大きな勝因」と断言している。実は水谷、数日前から邱監督に「ダブルスは大島と行くんだ」と告げられていたそうだ。予定通りに事が運んだ、盤石の勝利だったのかもしれない。
2番:平野友樹0-3張本智和
写真:張本智和(木下マイスター東京)/撮影:寺西ジャジューカ
張本のワンサイドゲームだった。平野もうまくフォアに回そうと試み“バック対決”を避けようとするのだが、逆にストレートへ持っていき、得意のバックハンドに行く張本。戦術的にも張本が平野を上回った一戦だった。
試合後の平野のコメントが興味深い。「『何かやられるんじゃないか』『何かされるんじゃないか』と思い、手も足も出ずに敗けた」「世界ランキング4位の圧をすごい感じた」。張本と平野の過去の対戦成績は1勝1敗で、「個人的にはやりづらい選手じゃない」「逆に相手のほうがやりづらいんじゃないか」と平野は言っているのだが……。
一方の張本は、おなじみの「チョレイ!」の声がおとなしめ。あまり声を出していなかった。
「まだ絶好調じゃないので、少しずつ試合をしながら声もプレーも上げていこうかなと思います」(張本)
彼は彼でインフルエンザが治ったばかり。万全ではなかったのだ。
3番:チョン ヨンシク1-3水谷隼
素晴らしい試合だった。戦術もコース取りも、両者が超一級品。しかも、試合が面白い。4ゲームのうち、3ゲームがデュースになるほどのシーソーゲーム。どちらが勝ってもおかしくない拮抗した内容であった。
ただ、今の水谷に漂う雰囲気というか“主役感”がすごいのだ。ハラハラさせといて、結局モノにする。勝利への執念に加え、オーラも彼の勝利に作用した感がある。
水谷のオーラをご覧あれ!
実は内心、水谷は水谷で期するものがあったらしい。
「ここ3回くらい(チョンに)ずっと負けていたので、そろそろ1度勝ちたいなあっていう気持ちはありましたね。前回、前々回はレシーブがうまくできなかったので、今日はチキータを出していって、序盤ではそれがうまく行って。最後もチキータが効いていたので。そこは前回、前々回の反省を活かしたんじゃないかなと思います」(水谷)
4番:黄鎮廷1-3侯英超
スコア的には接戦なのだが、その中身は戸惑いの連続。侯と相対した黄は、最後まで不安を隠せなかった。そんな印象だ。いくら黄が鋭い球を放っても、スコーンと拾い上げてスルッとポイントを取る侯。得体の知れない怖さが彼にはある。一体、侯英超はどういう人なのだろう? 試合後の囲み会見で張本が答えている。
「顔は結構怖そうですけど、ベンチで『頑張れ』とか、試合終わった後『よくやった』とか言ってくれて。素は優しいのでギャップが面白い選手だと思います」
とにかく、サイズが規格外。顔は怖くてプレーは変則。圧倒してくる迫力と不気味さがありながら、でも、正体はナイスガイ。侯英超は注目の選手である。
彩たま 0-4 KM東京
高木和卓/黄鎮廷 0-2 ◯水谷隼/大島祐哉
9-11/10-12
平野友樹 0-3 ◯張本智和
5-11/7-11/7-11
チョン ヨンシク 1-3 ◯水谷隼
10-12/11-8/13-15/12-14
黄鎮廷 1-3 ◯侯英超
11-13/8-11/11-9/10-12