文:ラリーズ編集部
Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。今回は11月24日のノジマTリーグ・日本ペイントマレッツ(ニッペM)VSトップおとめピンポンズ名古屋(TOP名古屋)の一戦から、第2マッチの加藤美優とハンインの試合にスポットライトを当てる。
試合は加藤が3-2でハンを破り、ニッペMの勝利に大きく貢献。この接戦を制したことにより、4-0のストレートでTOP名古屋を破りボーナス勝ち点4を獲得することができた。また、この勝利で、加藤はシングルス勝利数を6に伸ばした。
今年の世界選手権シングルスでベスト8入りした20歳の実力者、加藤が、ベテランのハンに競り勝った2つのポイントを解説していく。
ノジマTリーグ ニッペM対TOP名古屋:加藤美優VSハンイン
勝負を決めた加藤美優のプレーはこちら!
■詳細スコア
〇加藤美優3-2ハンイン
11-9/10-11/10-11/11-4/11-9
1.台を広角に使い、相手を慣れさせないコース取り
写真:加藤の広角なコース取り/図:ラリーズ編集部
加藤は、試合序盤には短いラリーで得点しようとやや焦り、打ちミスが多かったが、すぐに修正。ゆっくりとミスすることなく、相手を動かす戦術へ切り替えた。
ハンは加藤のバックサイドでの回り込み攻撃を嫌がり、ボールを加藤のフォアに集めた。加藤はこれを察知し、フォアからオール前(台のネット際)に落とす短いツッツキを主戦にし、決め球をミドル周辺に狙うことを徹底。相手を前後に大きく動かす戦術でハンを翻弄した。
また、ハンの回転の変化が読みにくいバックカットに苦しめられた加藤は、バック側への送球を極力控えた。2,3ゲーム目は惜しくも落とすも4ゲーム目を圧勝し、流れを引き戻した。
2.徹底したクロス待ち
写真:加藤のクロス待ちからのコース/図:ラリーズ編集部
ハンの強烈なバックハンドスマッシュに試合序盤は苦戦していた加藤だったが、ゲームを重ねる毎に順応していった。そのポイントとして、徹底してクロスで待ち、カウンターやブロックで安定した返球をした。そして、バックで打ちあぐねたハンがフォアドライブを仕掛けても、守備力の高い加藤は得意のラリーに持ち込み、流れを作った。
加藤の強さはこうした戦術転換能力の高さにある。試合序盤に相手の得意技術で得点されても、冷静に対策をし、後半には競り勝つことが多い。この試合でも苦しい場面で勝ち切り、チームに貴重な勝利をもたらした。加藤の緻密な戦術転換に今後も要注目だ。