文:ラリーズ編集部
Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。
今回は9月6日の、ノジマTリーグ・日本ペイントマレッツVS木下アビエル神奈川戦。加藤美優と石川佳純のビクトリーマッチに迫る。
加藤美優、石川佳純ともにチームの顔であり、チームを引っ張るエースでもある二人。
今回の試合でも石川佳純が、シングルス3連勝と好調のサウェータブット・スターシニー(日本ペイントマレッツ)にストレート勝ちを収めている。
一方の加藤美優も自分が負けるとチームが敗北するという状況で曾尖(ゼンジャン)に苦しみながらも3-2で勝ち切り、ビクトリーマッチまで持ち込んだ。
加藤美優は石川佳純とのエース対決にどのように勝利したのか。そこには2つのポイントがあった。
日本ペイントマレッツ 対 木下アビエル神奈川:加藤美優VS石川佳純
写真:勝利した日本ペイントマレッツ/提供:©T.LEAGUE
詳細スコア
○加藤美優 1-0 石川佳純
11-5
1. 意表を突くロングサーブで主導権を握る
写真:加藤美優(日本ペイントマレット)のサーブの配球/図:ラリーズ編集部
加藤美優といえばしゃがみ込みサーブが有名であるが、対策されつつあるため、どのようなサーブの組み立てをするのか注目であった。
加藤は1本目、2本目とショートサーブを選択したが、石川がストップから4球目を決めたことで、3-1とリードした状態で加藤はバックへのロングサーブを選択。意表をつかれた石川のレシーブが甘くなり、加藤は3球目を決めることができた。
この加藤の得点により石川はロングサーブを警戒し、短いサーブに対して1歩目が遅れてしまう。一方で加藤は自分の思い通りの展開になったことで、4番で勝利した勢いそのままにビクトリーマッチの主導権を握ったといえる。
その後、加藤は石川のフォアやバックにロングサーブを出し、持ち上げてきたボールをブロックで振り回し、フォアで攻めていく展開で点数を重ねていった。
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2. 徹底したミドル攻めで十分な体勢で攻めさせない
写真:加藤美優(日本ペイントマレット)のコース取り/図:ラリーズ編集部
石川が十分な体勢で打ったフォアドライブは、威力がありなかなか止められない。今回のビクトリーマッチでも序盤石川にフォアドライブで攻められる展開があった。
そこで加藤は石川が十分な体勢で打てないように徹底したミドル攻めを行う。石川が窮屈な体勢になり、甘くなったボールを加藤が厳しいコースにフォアで攻めていく展開が最後まで有効であった。
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まとめ
今回取り上げた試合は、ビクトリーマッチという短期決戦の中、自分が点数の取れる展開を早く見つけ、それをやりきる加藤美優の戦術能力が光った試合でもあった。
チームを1-2の劣勢から自らの勝利で逆転に導いた加藤美優。ビクトリーマッチに今シーズン4試合出場し、メンタル面での成長もみられる。これからの活躍からにも注目だ。