文:石丸眼鏡
Tリーグのルールでは、ダブルス1試合・シングルス4試合の試合形式が採用されており、先に3勝したチームが勝利となる。中でも、ダブルスは第1試合に行われ、序盤のカギを握るポイントとして非常に重要だ。
データでみてみると、昨シーズンのTリーグでは、ダブルスで勝利を挙げたチームがその試合に勝ったケースがプレーオフを含めた全86試合のうち60試合存在した。
今回は、2019-2020シーズンのTリーグでの同データを集計するとともに、各チームのダブルス勝率の年度別比較を実施した。
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2019-2020シーズンのTリーグレギュラーシーズンを分析
写真:水谷/大島ペア(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
2019-2020シーズンのTリーグはレギュラーシーズン全84試合が終了。昨シーズン同様、今シーズンでもダブルスの勝敗とチームの試合結果の関係性を集計してみた。
その結果、ダブルスで勝利したチームがその試合に勝ったのは、全84試合のうち61試合存在していることがわかった。確率にして72.6%、第1試合のダブルスの重要性は今季も健在のようだ。
チーム別ダブルス勝率で紐解くTリーグ
写真:森さくら(左)・前田美優(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部
続いては、チーム別のダブルス勝率をみてみよう。
まずは、今季2019-2020シーズンの各チームのダブルス成績を確認する。
男子
KM東京 13勝8敗 勝率61.9%
琉球 9勝12敗 勝率42.9%
T.T彩たま 11勝10敗 勝率52.4%
岡山 9勝12敗 勝率42.9%
女子
日本生命 12勝9敗 勝率57.1%
KA神奈川 8勝13敗 勝率38.0%
トップ 12勝9敗 勝率57.1%
ニッペM 10勝11敗 勝率47.6%
(上からシーズン順位順)
上記の結果を見ると、男女ともに優勝チームがリーグトップのダブルス勝率を叩き出していることがわかる。戦力が充実しているため、ダブルスにも強力な選手を配置できていることが一因だろうか。
昨シーズンのダブルス成績を分析してみた
写真:昨シーズン猛威を奮った岡山リベッツの森薗政崇(写真左)・上田仁ペア/撮影:ラリーズ編集部
では、昨シーズンの各チームのダブルス成績はどうだろうか。
男子
KM東京 9勝12敗 勝率42.9%(13勝8敗 勝率61.9%)
岡山 16勝5敗 勝率76.2%(9勝12敗 勝率42.9%)
T.T彩たま 12勝9敗 勝率57.1%(11勝10敗 勝率52.4%)
琉球 5勝16敗 勝率23.8%(9勝12敗 勝率42.9%)
()内は2ndシーズンのダブルス成績
女子
KA神奈川 14勝7敗 勝率66.7%(8勝13敗 勝率38.0%)
日本生命 16勝5敗 勝率76.2%(12勝9敗 勝率57.1%)
ニッペM 5勝16敗 勝率23.8%(10勝11敗 勝率47.6%)
トップ 7勝14敗 勝率33.3%(12勝9敗 勝率57.1%)
()内は2ndシーズンのダブルス成績
2シーズンを比較してみると、チーム毎のダブルス勝率に大きな変化があることがわかる。
特に変化が目立ったのは岡山リベッツだ。昨シーズンはKM東京に次ぐリーグ2位でプレーオフファイナルへと進出、初代王座にあと一歩と迫ったが、一転して今シーズンはリーグ最下位となった。
この岡山の不調を象徴しているのがダブルス成績だ。昨シーズンは16勝5敗という圧倒的な成績を残し、得意としていたダブルスだが、今シーズンは9勝12敗と負け越し。この差が最終的なリーグ順位に少なからず影響していることは一目瞭然だ。
昨シーズンとの違いという点では、上田仁の長期離脱が挙げられる。上田は昨シーズン、森薗政崇とのペアで15勝3敗という圧巻の成績を残し、ベストペア賞を受賞している。上田の不在により、ダブルスという強力な得点源を失った岡山は、苦戦を強いられることとなった。
東京五輪団体戦のダブルスにも注目
写真:女子団体戦で組むことが予想される石川佳純・平野美宇ペア/提供:ittfworld
東京五輪卓球競技の団体戦でも、第一試合はダブルスだ。
一発勝負のトーナメントで第一試合に勝利すれば、チームは一気に勢いづく。
男女ともに過去最高とも言われるメンバーを揃えた日本代表、打倒中国、そして悲願の金メダルへ向けて、そのカギはダブルスが握っているのかもしれない。