文:石丸眼鏡
創設2年目を迎えた卓球・Tリーグ、レギュラーシーズンは既に全日程を終了し、プレーオフファイナルを残すのみとなっている。
レギュラーシーズン男子1位となったのは木下マイスター東京(以下、KM東京)、女子1位は日本生命レッドエルフ(以下、日本生命)。男女ともに昨年のチャンピオンチームがレギュラーシーズン1位を確保した。
男女ともに日本代表クラスの選手を多数揃えるTリーグ屈指の強豪がレギュラーシーズン1位を確保したが、一方で、今季の好成績には外国人選手たちの貢献も大きいものがあったのではないだろうか。
写真:琉球を支えた助っ人外国人・荘智淵/提供:©T.LEAGUE
そこで今回は、Tリーグ男女全8チームのシングルス勝利マッチ数のうち、外国人選手が占める割合(外国人選手勝利貢献度)を調査した。所謂、「助っ人」としてTリーグに参戦している外国人選手の成績はどのようなものだったのだろうか。
>>日本人キラーを探せ!Tリーグ参戦海外選手の対日本人成績まとめ
各チームの外国人選手勝利貢献度をチェック
2019-2020シーズンの男女全試合を対象に、チーム全体のシングルス・ダブルスの勝利マッチ数に占める外国人選手の割合を調査したところ、以下のような結果となった。(シングルスは1勝、ダブルスは0.5勝として算出。ビクトリーマッチ含む)
図:男子チーム勝利貢献度/作成:ラリーズ編集部
図:女子チーム勝利貢献度/作成:ラリーズ編集部
外国人選手勝利貢献度が高かったチームは、男子・琉球アスティーダ(以下、琉球)の54.3%、女子・日本ペイントマレッツ(以下、ニッペM)の64.6%であった。
写真:朱世赫(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
琉球は荘智淵(チュアンチーユエン)、朱世赫(チュセヒョク)をはじめ国際色豊かなメンバー編成を進めてきたチームである。日本ペイントは、スターシニーや黄郁雯(ファンユーウェン)など今シーズン加入した新戦力が主力として活躍し、勝利マッチ数の半数以上を外国人選手が占めるという意外な結果となった。
外国人選手勝率は全体で5割強
上記の通り、勝利マッチ数に占める外国人選手勝利貢献度は、琉球とニッペMが男女トップとなった。だが、単純な勝利マッチ数の比較では、チーム全体のマッチ数に対して外国人選手の「出場数」が多ければ多いほど勝利貢献度の値も高くなる。
そこで、続いては各チームに所属する外国人選手の勝率を算出してみることにした。集計方法は上に倣って、2019-2020レギュラーシーズンの全試合におけるシングルスとダブルスでの出場試合を対象とした。
はじめに全8チームの外国人選手の勝率を計算してみたところ、全体で52.2%という結果が得られた。これをチーム毎に集計したものを以下に記載する。
図:外国人選手の勝率(男子)/作成:ラリーズ編集部
図:外国人選手の勝率(女子)/作成:ラリーズ編集部
勝率ベースでみると、先ほどの勝利貢献度とは違った結果がみえてきた。
男女ともに外国人選手マッチ勝率1位となったのはレギュラーシーズン優勝チーム、KM東京と日本生命だ。
KM東京は侯英超(ホウエイチョウ)とマルコス・フレイタス、日本生命は于梦雨(ユモンユ)、陳思羽(チェンズーユ)、田志希(チョンジヒ)と強力な外国人選手を擁している。日本人選手だけでみても強力な顔ぶれが並ぶこの2チームは、外国人選手の勝利貢献度こそ高くはないものの、「勝率の高い」外国人選手を揃えているといえる。
写真:日本生命レッドエルフで戦った田志希/提供:©T.LEAGUE
特に、今シーズンは東京五輪代表の座を巡り、過密スケジュールをこなした選手も多かった。そんな状況の中で、代表クラスの日本人選手と高勝率を誇る外国人選手をローテーションしながらシーズンを戦ったことがこの2チームの数字に現れている。その結果が、レギュラーシーズン1位に繋がっているのだろう。
Tリーグ2019-2020シーズンの前期MVPには、KM東京の侯英超と日本ペイントのスターシニーが選出されている。このことからも、前期後期ともに日本人選手がMVPを独占した昨シーズンとは様相が変わってきていることが伺える。
外国人選手とTリーグ
写真:前期MVPを獲得した侯英超(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
ワールドツアーや自国の大会に参加しながらTリーグにも参戦している外国人選手、彼らの存在はTリーグにとって非常に重要だ。
ファンにとっては、ジャパンオープンくらいでしか見ることができなかった外国人選手の活躍を日本で見る機会が増える。Tリーグ全体で考えても、レベルの底上げや海外でのリーグ認知度の向上に貢献してくれる。
日本人選手を中心としたチームづくりの中に、アクセントとして加わる外国人選手たち。来シーズンは、どんな選手が日本にやってくるのだろうか。