文:石丸眼鏡
昨年10月に開幕した卓球Tリーグ。開幕1年目のシーズンは既に終了し、84試合のリーグ戦にプレーオフファイナルの2試合を加えた全86試合の熱戦が繰り広げられた。3月17日のプレーオフファイナルの激闘は記憶に新しい。
Tリーグは開幕前から、試合時間が長くなりすぎることを防ぐための対策を講じてきた。1試合に複数のボールを使用する「マルチボールシステム」やサーブを出すまでの時間を制限する「20秒バイオレーション」を導入するなど、時短を目指したレギュレーションづくりを進めていたのだ。
しかし、開幕当初は想定より試合時間が長く、10月開催の12試合が終了時点での平均試合時間は2時間18分。リーグチェアマンの松下浩二氏が試合時間の短縮を課題に挙げるほどだった。
1シーズン目の平均試合時間
1シーズン目の全試合を終えた現在、改めて試合時間を集計したところ、全86試合の平均試合時間は2時間14分であった。シーズン途中に試合時間短縮に関するルールの追加などは実施されなかったものの、開幕当初と比較すると若干ではあるが試合時間に短縮傾向がみられる結果となった。
シーズンを終えてみると、2時間〜2時間15分程度の試合時間を意識してレギュレーションを構築したという松下氏の想定に収まる結果となった。スムーズな試合進行への取り組みの成果が現れている。
最長、最短の試合は?
全86試合で最長を記録した試合は3月17日のプレーオフファイナル女子、木下アビエル神奈川対日本生命レッドエルフの一戦。マッチカウント3-2で日本生命レッドエルフが勝利したこの試合は、3時間1分を要し、初代王者を決定するプレーオフファイナルにふさわしい大熱戦となった。第4マッチの石川佳純対前田美優の試合(3-1で石川が勝利)以外は全てフルゲームの接戦、観客も息を飲むような緊迫した試合が続いた。
試合時間のブレを抑える仕組みも
実はTリーグのレギュレーションには時短だけではなく、試合時間が大きくブレないようにする仕組みも含まれている。
1つは、最低でも第4マッチまで試合を行うこと。マッチカウント3-0で勝敗が決着したとしても、極端に早く試合が終わるということがない。
もう1つは、第5マッチを1ゲーム先取のビクトリーマッチとすること。試合が第5マッチにもつれた場合も、極端に試合時間が長くなることがない。各マッチの最終ゲームを6-6から進行する規定としているのも同様だ。
これらのレギュレーションを設けても、今シーズンの試合時間には最大1時間20分の差が生じた。卓球という競技における試合時間のコントロールの難しさを物語っている。
テレビ中継との兼ね合いや観客の帰宅時間など、試合時間に関する要素は複合的なものだが、2シーズン目も最良な試合形式を模索するTリーグの更なる進化に注目だ。