大会報道 日本有利か? テニスに近づく卓球世界ランキング制度改定の中身とは
2017.12.28
文:座間辰弘(ラリーズ編集部)
文:座間辰弘(ラリーズ編集部)
直近1年の成績を重視
ITTF(国際卓球連盟)が定める卓球世界ランキング制度が2018年1月から改定される。
大きな変更点は、これまでのポイントが蓄積されるレーティングポイント制度が廃止され、直近1年間の大会の成績で世界ランキングを決めるということだ。
つまり、過去に実績がある選手でも、直近1年間の成績が悪ければ世界ランキングは落ちるということ。
直近の対外成績で世界ランキングを決める形式は、テニスのATPワールドランキングが採用しており、今回ITTFが導入する形式とほぼ同じ計算方式で運営されている。
新卓球世界ランキング制度詳細
2017年10月に更新された新しい卓球世界ランキングの制度にを詳しく見ていこう。(後ろの括弧内はITTF公式文書の章番号)
オリンピック、世界選手権をはじめ、ITTFの公式試合、ITTFが認めている試合(ユニバーシアードなど)は、ITTFの年間カレンダー、世界ランキングの評価に含まれる。(2.1)
ランキングポイントは各大会の最終成績に基づいて決まる。また、予選リーグの総当たり戦や団体戦の個別の試合に関しては、追加でポイントが加算される。付与されたランキングポイントは原則12ヶ月有効となる。(3.1)
年間で最も良い結果を残した8つの大会をランキングポイントの対象にする。(U21以下は6つの大会)(3.5)
各年齢カテゴリー(U21、U18、U15)ごとに別々のランキングリストとなり、ポイント計算はそれぞれの対象カテゴリーの成績のみ考慮する。(3.3)
各大会ごとにポイントが異なるが、1回でも勝てばポイントが付与される。シード選手の場合は負けた場合、そのラウンドの半分のポイントが加算される。(3.9.4)
締切を過ぎた大会キャンセルをした場合は、その大会は年8つの結果のうちの1つとして扱われ0ポイントで計算される。(場合によっては他の大会の結果が代わりに0ポイントになる可能性もある)ただし、怪我により1ヶ月以上休んでいる場合は例外とする。(3.10.1)(3.10.2)
選手が怪我や病気、妊娠出産などで活動しない期間が6カ月経過した場合、所属協会は特別シードを申請できる。(6.1)
特別シードは、怪我をしてから3ヶ月以内の平均ランキングを考慮する。(6.2)
(欠場が)6ヶ月以上1年未満の場合は、3つの参加トーナメントまたは復帰してから6ヶ月間、特別シードは有効。1年以上の場合は、5つの参加トーナメントまたは復帰してから9ヶ月間、特別シードは有効になる。(6.3)(6.4)
年齢カテゴリーの大会に常時出場しない選手がその年齢に該当する大会に出場する場合、所属協会は特別シードを申請することができる。(6.7)
12ヶ月以上、国際大会の試合成績の無い選手は公開されているランキングリストから除外される。
ITTFの競技種目から公式に引退したい選手は、所属協会がITTFに申請しなければならない。一度承認されれば、その選手はランキングから抹消される。(8)
今後の選手への影響は?
新しいランキング制度では、これまで蓄積されてきたレーティングではなく、直近の試合成績が世界ランキングに大きく影響する。
実力はもちろんのこと、ITTFの海外ツアーに多く参加するためのスポンサー獲得や、どの国際試合に照準を合わせるかといったポイント獲得戦略もランキング争いの鍵と握る。
現行のランキングがどう変動するのか。また張継科や福原愛ら、引退や復帰が予想されている選手が、新しいランキングになって再び活躍することが出来るか。