文:ラリーズ編集部
卓球Tリーグ男子・T.T彩たまは12日、Tリーグ2021-2022シーズン(4thシーズン)始動記者会見を行った。昨季最下位に沈んだT.T彩たまは、岡山リベッツから1stシーズンベストペア賞の上田仁と東京五輪代表の丹羽孝希を獲得。大きな戦力が加わり、悲願の優勝に向けて始動した。
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移籍の決め手は“指導者”と“専用練習場”
新加入の上田と丹羽がともに移籍理由として挙げたのが、“指導者”と“専用練習場”だ。T.T彩たまには、日本男子卓球を牽引した坂本竜介監督と岸川聖也コーチが専任で指導にあたる。また、浦和美園に専用の練習場を構えており、24時間好きなだけ練習することが可能となる。
写真:丹羽孝希/撮影:ラリーズ編集部
丹羽は会見で移籍の理由を問われ、「コロナ禍で、練習拠点にしていたナショナルトレーニングセンターが使えなくなって、練習環境の整っているT.T彩たまさんに入ることにしました。岸川さんと坂本監督の指導を受けて、自分がもっとこの3か月で成長できると思った」と語っている。
写真:上田仁/撮影:ラリーズ編集部
上田も同様に「僕も日本代表を終えて、練習拠点に少し困っているところもあった。彩たまさんは練習環境も整っていますし、監督、岸川コーチと指導してくれる方が常にいるところに非常に魅力を感じて、強くなりたいという一心で移籍を決めました」と明かした。
坂本監督「練習場には大きな意味がある」
専用練習場を持つことの意義を坂本監督はこう語る。
「一番重要なことは“強くなれる環境”。それは練習場があること。ファーストシーズンからチーム内で話し合って、まずは練習場を作ることが一番重要だと。練習場ができて1年と少し経ちますけれど、そこを求めて来てくれる選手や、今いる選手が満足いく練習ができるのは、この練習場がなかったらありえなかったこと。この練習場には大きな意味があると思います」。
写真:会見に臨んだT.T彩たまメンバー/撮影:ラリーズ編集部
また、練習場に加えて、丹羽、上田の両選手が挙げた“指導”についても意気込みを語った。
「練習場プラス、自分や岸川の指導陣がどれだけ卓球を強くできるか。自分たちは指導について勉強していくという心を持ちながら、強化していくことを心に置いています」。
丹羽孝希コメント
Tリーグへの思い
去年は岡山リベッツで(国際大会に出た関係で)開幕の4試合出られなくて、そこでチームが4連敗してしまって厳しい状態になった。新シーズンでは出だしから出場してチームに貢献するんだという気持ちはすごく強いです。
彩たまへのイメージ
すごくファンの皆さんがついているイメージで一番人気のあるチームだと思ってます。チームのメンバーも青森山田出身の選手が多くて、みんなすごく仲が良いなと思っています。
今後の練習拠点は
代表合宿以外ではT.T彩たまで練習します。
今までは練習相手を探すのも一苦労で、いろんなところにお願いしていた。ただ、コロナ禍でどこもなかなか受け入れてくれない中で、専用の練習場があるというのはすごくプラスになると思います。
指導について
これまで教えてくれる人があまりいなかった。坂本さんは去年何回か彩たまに練習行かせてもらったときに教えてもらったり、すごく熱心に言ってくれる。そうやって言ってくれる人が必要だなと思いましたし、岸川さんは五輪に出たり経験豊富ですし、台上やバックハンドなどいろいろ教えてもらいたい。
NT合宿でも自分1人で考えてやっていることが多い。そこで環境を変えて、坂本さんとも話し合いながら練習していこうと思っています。僕は個人コーチをつけていないので、僕にとっても新しい経験なので楽しみにしています。
毎シーズン移籍しているが
常に自分が成長できる環境を求めていった結果が4チームになった。本当にすべてすごく良いチームで、自分が成長できたので、すべてのチームに感謝していますし、新しいシーズンでは3シーズン以上の成績を出せるように頑張っていきたいと思います。
五輪に向けて
五輪の目標は変わらず、メダルを獲ることだという気持ちはずっとありますし、1年延期になってしまってその分、良い準備ができていると思います。
五輪まで国際大会がなくなった
5月の中国のWTTも延期になって、五輪まで今のところ試合がない。だいぶ心にはゆとりがあります。試合がなくなったので、少しずつ上げていこうかなと。今はがっつりやるというよりは、合宿がずっとあると思うので、怪我せずに少しずつ上げていけるように練習しています。
海外の選手とたくさん試合したいんですけど、(国際試合に出ると)2週間の隔離だったりがあるので、なかなか難しいと感じていました。僕的には五輪まで試合がないのは全然ありだと思っていて、みんな同じ条件なので、ぶっつけ本番になりますけど、一発勝負なので何があるかわからないと思って、格上の選手に勝てるように準備していきたいです。
粘着も試していたラバーについて
今は粘着から両面テンションラバーに戻しました。
カタールで良くない結果だった。久しぶりに海外選手と試合したらTリーグで日本選手とやっていたのとは違って、なかなか対応できなかったので、五輪まではいつも通りの用具に戻して、そのあとのことはまた考えます。
背番号28の理由
特にこだわりがないのでいつも28です(笑)。
上田仁コメント
初めての移籍をきめた理由
3シーズン岡山リベッツでキャプテンをやらせていただいて、非常にいろんな経験をさせていただいた。ただ、単純に僕自身そこで安心するのではなく、強くなりたいという思いがあった。
背番号1の理由
(もともとは15番だったが)神選手が15番でずっとキャプテンとしてやっているので、やはりそこは彩たまで長くやっている選手の方が良いと思ったので、神選手はそのままキャプテンとして15番をつけてもらった。
僕は単純に1から頑張ろうという意味を込めてつけさせてもらいました。
坂本竜介監督コメント
獲得の経緯
昨シーズンは5勝16敗と、いわゆる完敗という成績の中で、どのようなチーム作りをしようかと。
コロナ禍の中で、今いるメンバーを強くするプラスアルファ補強が必要だというところに丹羽、上田というのは第1候補でピックアップしていた。
上田仁に期待すること
上田にはプレーはもちろんですけど、神がキャプテンとして去年もすごく負担がかかったと思うので、上田にはそういう部分も神と協力してもらいながらチーム作りをしてもらいたい。
また、上田は来てずっと練習していますけど、すでにレベルアップしているし、上田はどんどん強くなれるなと思ってます
丹羽孝希に期待すること
やはり丹羽に関してはチームの大黒柱。
是が非でも欲しい選手でもあったし、T.T彩たまであれば自分、そして岸川、チームスタッフも含めて丹羽孝希という選手を東京五輪までに強くできるんじゃないかという気持ちがある。強くなれば他の選手が相乗効果でさらに強くなる。そして東京五輪でメダルを獲ってもらって、Tリーグが始まって相乗効果でチームが強くなっていくんじゃないか。
この2人を獲れたということは、今シーズンのスタートラインとしては満足いくものになっているので、良い準備ができるんじゃないかなと思います。
丹羽孝希インタビュー
写真:丹羽孝希(スヴェンソン)/撮影:伊藤圭