写真:宇和島東高校のメンバー/撮影:ラリーズ編集部
大会報道 「今日はワクワクできた」39年ぶりのインターハイ挑戦 地元の公立進学校・宇和島東の学校対抗は2回戦で散る<卓球・インターハイ>
2022.08.04
<第91回全国高等学校卓球選手権大会 日程:7月29日~8月8日 場所:宇和島市総合体育館(愛媛県)>
4日、女子学校対抗の部、地元の愛媛県代表・宇和島東高校は、2回戦で岐阜県代表の富田高校に敗れた。
爽やかな敗戦、と言えば、失礼にあたるかもしれない。
ただ、39年ぶりにインターハイ学校対抗に出場した公立進学校卓球部が、1回戦を突破した姿は地元会場を大いに沸かせた。
写真:1回戦1番手で勝利した中川彩実(宇和島東)/撮影:ラリーズ編集部
正木良徳監督「主体的なチーム」
地元の公立進学校である宇和島東高校は、定時制課程も持つため、卓球部の練習場も定時制授業で使用する時間帯は使えない。
基本的に部活動は、平日は17時から19時まで。土日は男女で午前・午後入れ替えての練習。
さらに卓球部顧問の正木良徳監督が昨年から市役所に出向となり、平日は部活動を見ることも難しくなった。
写真:正木良徳監督(宇和島東)/撮影:ラリーズ編集部
たまに練習をのぞきに行くと、3年生エースでキャプテンの浅井暦を中心に、自分たちで自主的に厳しいメニューを考え、真剣に練習していた。
浅井以外は、みんな中学で卓球を始めた選手ばかり。足りない練習時間をカバーしようと、朝練も生徒たちで自主的に行っていた。
「本当にキャプテンがみんなをまとめ、鍛えてくれました」正木監督は目を細める。
「その自主性、主体性が、苦しいときのプレーに生きたんだろうと思います」
写真:キャプテンの浅井暦(宇和島東)/撮影:ラリーズ編集部
思い出つまった宇和島市総合体育館
浅井は、小学4年で地元の卓球クラブに入ってからずっと、今日の会場、宇和島市総合体育館で練習してきた。
インターハイの地元開催が決まり、学校対抗は2校出場できることをまたとないチャンスと捉え、チームを引っ張って練習を重ねてきた。
写真:キャプテンの浅井暦(宇和島東)/撮影:ラリーズ編集部
「小学校のときは練習が好きじゃなくて、この体育館までの道のりが嫌でした」そう笑った後、感慨深くこう言った。
「今日のこのインターハイ、家からここまでワクワクして来られたので、良かったと思います」
ちなみに、家からこの会場までは、自転車で7分。生粋の地元っ子が、また一つ、かけがえのない思い出をこの体育館に刻んだ。
写真:宇和島東高校/撮影:ラリーズ編集部
男子決勝戦の審判も宇和島東高卓球部が
「試合中も選手たちがリラックスしているように見えたのは、この場所に慣れていたからですか」と尋ねると、正木監督はこう教えてくれた。
「あの子たちはレギュラーメンバー含めて全員、男子の大会期間中、ずっとスタッフとして審判をしていたので、この場の雰囲気・緊張感はよくわかっていたと思います」。
会場で統率のとれた動きを見せる高校生スタッフだが、宇和島開催の全国大会、生徒の数に決して余裕は無い。
直前1週間さえ、昼間はインターハイ男子の審判をし、夕方に学校に戻ってから調整練習をしていたのだ。
「今日も選手たちの手は震えてましたけど、それでも振り抜けたのは、この会場で痺れるような男子決勝の審判をやっていたこともあると思います」
胸を張っていい。
今は悔しくて思えないかもしれないけれど、地元開催のインターハイ、学校対抗で1回勝てたということは、これから先の長い人生、どこかできっと、その先の道を照らしてくれる。
写真:宇和島東高校のメンバー/撮影:ラリーズ編集部
女子学校対抗1回戦結果
〇宇和島東(愛媛)3-1 富山商業(富山)
〇中川彩実 3-2 池﨑円香
水野琴音 0-3 瓜生桃音〇
〇浅井暦/中川彩実 3-0 池﨑円香/山田恵美
〇浅井暦 3-1 瀬戸萌衣冴
女子学校対抗2回戦結果
〇富田(岐阜)3-0 宇和島東(愛媛)
〇村松愛菜 3-0 藤岡美樹
〇冨田愛 3-1 浅井暦
〇浦部佳苗/村松愛菜 3-0 浅井暦/中川彩実