「ラリーズ編集長辞めるんですか」とお問い合わせを幾つもいただいた。
「金沢ポート株式会社(仮)」がTリーグ新チーム承認を受けた後の挨拶周りで、地元紙に掲載され(ありがたい話だ)、裏方のつもりが、ばっちり私の面が映っていた。
自分が隠れたまま、都合よく事を進めることなんてできない。
「金沢ポート株式会社(仮)」に経営参画
Rallysのコーポレートサイトに掲載したが、来季男子Tリーグに参入する「金沢ポート株式会社(仮)」にRallysが経営参画する。
微力な私たちではあるが、新チーム運営法人に経営参画し、マーケティングやPRを始めチーム運営事業を担いながら、Tリーグ新時代の幕開けを牽引したい。具体的には、Rallys代表取締役の川嶋と、ラリーズ編集長の槌谷が新チーム運営法人の取締役への就任を予定している。
Rallysのミッションは「アイデアで卓球をもっと身近に」だ。
2017年に卓球専門メディアRallysをリリースして以降、独自のイベントや卓球VR、オリジナルラバーやウェアの企画・販売など、卓球を起点に様々なアプローチを続けてきた。今度はチームの事業運営を通して、社会に卓球を浸透させていくアイデアを提示し続けたいと思っている。
メディアがチームに参画すると
メディアがスポーツチームの経営や資本参加すること自体は枚挙にいとまがないが、ここまで一つの競技に特化した専門WEBメディアが経営参画することは珍しいかもしれない。
メディアとしてのラリーズではもちろん、これまで通りの報道を続けていく。
その報道で生き残れるのかという根本的な問題はさておき、チームの事業運営を行うときに“メディアとしての中立性”を心配されるかもしれないが、1チームに偏って読まれるくらいなら、こんなに苦労はしていない。
私たちは、広く「読みたい、見たい」気持ちを設計し、それをマネタイズする仕事だ。これまで通り、学生から実業団、元選手、そしてTリーグ他チームも、変わらず面白い卓球情報を伝えていく。
むしろ、メディアがチーム経営に参画するからこそ、作れるコンテンツがある。
立ち上げ奮闘記、Tリーグチーム経営の実際を定期的に発信すること。成功も失敗も惜しみなくシェアして、Tリーグチーム全体、卓球界全体の発展に寄与すること。
というわけで、今回は経緯と決意を簡単に。
きっかけ
上場企業(東証グロース)であるポート株式会社の春日博文代表(中高卓球部だ)から、Rallys代表の川嶋に相談があったのは、10月後半のことだった。
短期間に何度も議論を交わした結果、私たちは「真の地域密着型のTリーグチームならば未来がある」という結論に至った。
迷わず、金沢市の西東輝氏に話をした。
それまで、幾つもの仕事や連載をともにするなかで、専門店経営者として、若き指導者として、北信越で確実な信頼を築いてきたことを知っていたからだ。
ご本人も数日葛藤した後、やりましょうという返事があった。
そこからは短期間での怒涛の調整、申請プロセスを経て、先日の参入承認に至る。
写真:新チーム運営法人の代表に就任予定の西東輝氏/撮影:ラリーズ編集部
じゃあやってみろよ
ずっとTリーグをメディアとして近くで取材してきて、何をやってるんだと忸怩たる思いをすることがたびたびあった。
同時に、私自身の声で「じゃあ、お前がやってみろよ、んな簡単なもんじゃねえんだよ」という言葉も脳内にいつも響いていた。
>>Tリーグ4季目ファイナル取材を終えて 過渡期は停滞の言い訳ではなく
新たな実例を作る
私はTリーグ創設に希望の灯を見て、テレビ業界からRallysに飛び込んだ人間だ。
まだ私は、やるだけはやったと言えない、と思った。
結局、私個人としての戦いかたは、身を投じて新たな実例を作ることでしかない。
私自身は、引き続きRallys編集長の職責を担う。クビか異動になるかしない限り。
というのは、まだチーム運営法人設立前の、一人の裏方のただの気負った決意表明に過ぎない。
新チームの主役は、会場に観に来てくれた人の体験価値である。
地元の期待を背負って戦う選手である。
時間をかけてその地に醸成されていく“自分たちのチーム”への共感である。
石川県は、卓球はもちろん他スポーツ球団も含めて、伝統の中で育ってきたスポーツの熱量が、いま高まりを見せる地域だ。
県と、県内のトップスポーツ7チームが連携した「石川ユナイテッド」も、スポーツによる地域振興を掲げて、活発に活動を行う。
ほんの小さなRallysだが、私たちの持つ全ての知見と情熱で、いま、地域を起点に卓球界が発展していくための一助になりたい。
そんな思いの船出である。
写真:Tリーグ4季目ファイナル/撮影:ラリーズ編集部