社会人の女子卓球クラブチーム『いろは』は、2022年の全日本クラブ卓球選手権大会で初出場ながらベスト8入り、3度目の出場となった2024年は3位入賞を果たした強豪クラブだ。
「強豪クラブ」と聞くと、「平日は時間を決めてチームでできるだけ練習」「休日も時間がある限り練習」というイメージがある方も多いだろう。
しかし、『いろは』は「楽しく、元気に、可愛く」をモットーに、「練習参加の頻度は決めていない」「マツエクやネイルがあるから練習を断られたこともある(笑)」と自由なスタイルで活動しているのが特徴だ。
『いろは』の魅力をもっと知るべく、チームの立ち上げメンバーである長谷川敦己(はせがわあつみ)さんにお話を伺った。
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チームを立ち上げるも試合に出られず
写真:長谷川敦己(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
明治大学の卓球部は「一般部」のほかに、スポーツ推薦の選手で構成された「競技部」の2つに分かれています。女子は一般部しかなかったのですが、リーグ戦に出られたので、一般部に入りました。
そのまま卓球を4年間やって卒業して、2020年に社会人になりました。
「私も社会人になるし社会人チームを作るか。お互いの知り合いを入れれば、チーム1つぐらい作れるでしょ」という軽い気持ちで始めました。
関東学生リーグの3部校でプレーしていた女子選手を中心に集めました。大学まで卓球をバリバリやっていた卓球好き女子が集まっている感じです。
ただ、立ち上げた年にコロナが流行りはじめてしまって、2年間は試合がありませんでした。クラブ選手権で言えば2020年は予選すらなくて、2021年には予選は通ったけど本戦がなし。そのため、2022年にようやく本戦に出られたという感じです。
写真:2022年大会でベスト8に入ったいろは/撮影:ラリーズ編集部
クラブ選手権初出場でベスト8入賞
写真:2022年大会でベスト8に入ったいろは/撮影:ラリーズ編集部
ただ、私はクラブ選手権には出たいと思っていたので、そのためには「やっぱり1人ぐらいはしっかり強い人を入れたい」と思っていました。
そのタイミングでちー(宮脇千波、華頂女子高等学校→関西学院大学出身/Rallysアンバサダー)が仕事で東京に来ることを知り、「チームに入ってよ」と誘ったら「いいよ」と快諾してくれたので、入ってもらいました。
写真:宮脇千波(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
関西学院大学で活躍していて、卓球の実力はピカイチだったので、勧誘してチームに入ってもらいました。
選手から監督にシフト
クラブ選手権の重みもあまりわかっていなかったので、最初は「旅行ついでに大会出よう」ぐらいの感覚でした。
そのとき既にチームとしても戦力は揃っていたので、「まあ、これぐらいは勝てるよね」とは思っていました。
ただ、ベスト8に入って来年度の全国大会推薦を取れたのは良かったです。東京都は予選から熾烈なので。
「今年はベスト4に行けるかも!」と思っていたのですが、準々決勝で、優勝したロータスに負けました。
しかも、マッチカウント0-3だったので、けっこうコテンパンにやられましたね。
写真:竹田彩乃(写真左)と宮脇千波/提供;いろは
長谷川さんは監督としての活動が中心でしたよね?
あとは私自身の問題で、サービスやフォア打ちすらもまともにできないようなイップスのような症状になってしまい、「もう選手として出るのはキツイかな」というのもありました。
写真:いろはメンバー/提供;いろは
予選リーグがあったら思い出として1回ぐらいは出ようかと思ったのですが、予選リーグが今年からなくなりましたし、クラブ選手権自体のレベルも年々上がってきていて、捨ててもいい試合がなかったので結局出ないことを選びました。
そういった事情もあって、「この状況のなか、勝ちを計算できない自分が出るのは違うな」と思って、監督に専念していました。
試合のオーダー予想も当たったし、タイムアウトもいいタイミングで取れて勝てた試合もあったし、監督としての務めを果たせたかなと思っています。
また、チームメイトはみんな年下なので「ありがとうございます!」という感じでとても感謝してくれましたし、楽しくできました。
2年連続ベスト8からベスト4にワンステップ上がれたので、ちー(宮脇)も喜んでいました。というか、ちー“が”一番喜んでいました(笑)。それが嬉しかったですね。
選手のスカウトは“飲み会”
チームメイトの乾ちゃん(乾加那子、松商学園高等学校→大正大学出身)が松商学園高等学校の卒業生ということもあり、「全員強いよ」と話を聞いてたので、そこが1つの山場になると思っていました。
2日目のベスト8決定戦に向けて、1日目の試合が終わってからご飯を食べる時まで、ずっとみんなでオーダーを考えていました。
考えて考えて考えまくったオーダーが当たって、それがめちゃくちゃ大きかったですね。
写真:乾加那子にアドバイスを送る長谷川さん(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
写真:金崎愛美(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
そこで気が合って、お酒やご飯に行くようになり、「ちょっとチームの人数が足りないから入ってよ」と頼んで、愛美には入ってもらいました。
「楽しく、元気に、可愛く」
最初は全員「スコートは嫌だ」と言っていましたが、スコートは若いときにしか着られないような気がするし、今のデザインはズボンにすると海パンみたいになるので(笑)。それだけが嫌で、私がみんなに「これ着て!」と頼んで、スコートを強制しました(笑)。
結局みんな着たら「可愛い」と喜んでくれたので、結果オーライですね。
写真:宮脇千波(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
あと、みんな美意識が高いです。一度、暇なときに「今日練習しない?」と誘ったら、「今日マツエクです」とか「マツパです」とか「ネイル行くから無理です」とか言われて、美容系の理由で断られたことがありました(笑)。
でも、それが理由で特に怒ったり注意したりすることはないです。
写真:矢島若菜(いろは)/撮影:ラリーズ編集部
特にメンバーを増やしたりとかは今は考えていなくて、今のメンバーがやりたいって言ってくれれば続けます。
団体戦はクラブ選手権と新体連の全国大会しか出ていません。
今回も「クラブ選手権の推薦が取れなかったら解散してもいいかな」ぐらいに思っていましたが、ベスト4で来年度の本戦への出場権を推薦で取れたから継続予定です。「推薦取れる限りは継続していこう」ぐらいの気持ちですね。
特に、今年はベスト4に入れて「次はとりあえず一回てっぺん目指してみるか」という気持ちにもちょっとなっています。
去年よりも今年は負けた試合も「チャンスがあったかも?」という感じだったので、ちょっと夢見てもいいかなとは個人的に思っています。
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