モットーは「楽しく、元気に、可愛く」で全国大会3位入賞 "美意識高め"社会人女子卓球チームいろは | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:いろは/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー モットーは「楽しく、元気に、可愛く」で全国大会3位入賞 “美意識高め”社会人女子卓球チームいろは

2024.10.17

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

社会人の女子卓球クラブチーム『いろは』は、2022年の全日本クラブ卓球選手権大会で初出場ながらベスト8入り、3度目の出場となった2024年は3位入賞を果たした強豪クラブだ。

「強豪クラブ」と聞くと、「平日は時間を決めてチームでできるだけ練習」「休日も時間がある限り練習」というイメージがある方も多いだろう。

しかし、『いろは』は「楽しく、元気に、可愛く」をモットーに、「練習参加の頻度は決めていない」「マツエクやネイルがあるから練習を断られたこともある(笑)」と自由なスタイルで活動しているのが特徴だ。

『いろは』の魅力をもっと知るべく、チームの立ち上げメンバーである長谷川敦己(はせがわあつみ)さんにお話を伺った。

チームを立ち上げるも試合に出られず


写真:長谷川敦己(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――まずは長谷川さんの卓球歴をお伺いできますか?
長谷川さん:私は小学生ぐらいに卓球を始め、高校は兵庫県の三田学園高等学校に進学しました。2年と3年のときにインターハイの学校対抗に出場するなど、自分なりには頑張ってやっていました。
――大学に進学されてからも卓球を続けていたのでしょうか?
長谷川さん:大学は明治大学に進学しました。

明治大学の卓球部は「一般部」のほかに、スポーツ推薦の選手で構成された「競技部」の2つに分かれています。女子は一般部しかなかったのですが、リーグ戦に出られたので、一般部に入りました。

そのまま卓球を4年間やって卒業して、2020年に社会人になりました。

――『いろは』は、どういったきっかけで立ち上げられたのでしょうか?
長谷川さん:卓球部で仲の良かった先輩が「卓球やりたいんだよね」という話をされていました。

「私も社会人になるし社会人チームを作るか。お互いの知り合いを入れれば、チーム1つぐらい作れるでしょ」という軽い気持ちで始めました。

――立ち上げ当初はどういうメンバーでしたか?
長谷川さん:最初は6~7人ですね。

関東学生リーグの3部校でプレーしていた女子選手を中心に集めました。大学まで卓球をバリバリやっていた卓球好き女子が集まっている感じです。

ただ、立ち上げた年にコロナが流行りはじめてしまって、2年間は試合がありませんでした。クラブ選手権で言えば2020年は予選すらなくて、2021年には予選は通ったけど本戦がなし。そのため、2022年にようやく本戦に出られたという感じです。


写真:2022年大会でベスト8に入ったいろは/撮影:ラリーズ編集部

クラブ選手権初出場でベスト8入賞


写真:2022年大会でベスト8に入ったいろは/撮影:ラリーズ編集部

――2022年のクラブ選手権ベスト8は、初出場での入賞だったんですね。
長谷川さん:はい。初出場で運よくベスト8に入れて、2023年もベスト8、今年はベスト4まで進むことができました。
――チームの目標としては、やはり「クラブ選手権で勝つ」というところですか?
長谷川さん:そこは各々違っていて、「ちょこちょこ試合に出られればいいな」ぐらいの子もいますね。

ただ、私はクラブ選手権には出たいと思っていたので、そのためには「やっぱり1人ぐらいはしっかり強い人を入れたい」と思っていました。

そのタイミングでちー(宮脇千波、華頂女子高等学校→関西学院大学出身/Rallysアンバサダー)が仕事で東京に来ることを知り、「チームに入ってよ」と誘ったら「いいよ」と快諾してくれたので、入ってもらいました。


写真:宮脇千波(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――今やエースとして活躍する宮脇さんとは元々お知り合いだったのですね。
長谷川さん:ちーとは同い年で同じ兵庫県で一緒に卓球やってて、高校に入学するときも一緒に学校見学行ったり、大学も一緒に見に行ったりしていたので、結構仲良くしていました。

関西学院大学で活躍していて、卓球の実力はピカイチだったので、勧誘してチームに入ってもらいました。

選手から監督にシフト

――2022年、初出場でのクラブ選手権ランク入りはやはり感慨深かったですか?
長谷川さん:正直に言えば、そこまででもなかったです(笑)。

クラブ選手権の重みもあまりわかっていなかったので、最初は「旅行ついでに大会出よう」ぐらいの感覚でした。

そのとき既にチームとしても戦力は揃っていたので、「まあ、これぐらいは勝てるよね」とは思っていました。

ただ、ベスト8に入って来年度の全国大会推薦を取れたのは良かったです。東京都は予選から熾烈なので。

――その翌年の大会は、竹田さん(竹田彩乃、愛知みずほ大学瑞穂高等学校→関西学院大学出身)も出ていますよね?
長谷川さん:はい。ちーの関西学院大学時代の後輩ということで「入ってもらおう」となって勧誘しました。

「今年はベスト4に行けるかも!」と思っていたのですが、準々決勝で、優勝したロータスに負けました。

しかも、マッチカウント0-3だったので、けっこうコテンパンにやられましたね。


写真:竹田彩乃(写真左)と宮脇千波/提供;いろは

――そこから今年はついにベスト4に入りました。

長谷川さんは監督としての活動が中心でしたよね?

長谷川さん:やっぱり若い子に試合は頑張ってもらったほうがいいなと思って(笑)。

あとは私自身の問題で、サービスやフォア打ちすらもまともにできないようなイップスのような症状になってしまい、「もう選手として出るのはキツイかな」というのもありました。


写真:いろはメンバー/提供;いろは

長谷川さん:選手が足りなかったら出られるように、一応選手登録はしていましたが、試合には出なかったです。

予選リーグがあったら思い出として1回ぐらいは出ようかと思ったのですが、予選リーグが今年からなくなりましたし、クラブ選手権自体のレベルも年々上がってきていて、捨ててもいい試合がなかったので結局出ないことを選びました。

――確かに、クラブ選手権はどんどんレベルが高くなっている印象です。
長谷川さん:特に女子は結婚すると名字が変わっていることがあるので、「この選手誰だろう?」と思って、実際に当たったら「めっちゃ強い選手やん!」となることも多くて、情報が意外と集めにくいです。

そういった事情もあって、「この状況のなか、勝ちを計算できない自分が出るのは違うな」と思って、監督に専念していました。

――選手として試合に出られなかった部分は、何か思うところがありましたか?
長谷川さん:いや、特になくて単純にベスト4に入れてかなり嬉しかったですね。

試合のオーダー予想も当たったし、タイムアウトもいいタイミングで取れて勝てた試合もあったし、監督としての務めを果たせたかなと思っています。

また、チームメイトはみんな年下なので「ありがとうございます!」という感じでとても感謝してくれましたし、楽しくできました。

2年連続ベスト8からベスト4にワンステップ上がれたので、ちー(宮脇)も喜んでいました。というか、ちー“が”一番喜んでいました(笑)。それが嬉しかったですね。

選手のスカウトは“飲み会”

――今回勝ち上がれた要因はどこにあったのでしょうか?
長谷川さん:ベスト8決定戦の相手が松商学園高等学校のOGチームでした。

チームメイトの乾ちゃん(乾加那子、松商学園高等学校→大正大学出身)が松商学園高等学校の卒業生ということもあり、「全員強いよ」と話を聞いてたので、そこが1つの山場になると思っていました。

2日目のベスト8決定戦に向けて、1日目の試合が終わってからご飯を食べる時まで、ずっとみんなでオーダーを考えていました。

考えて考えて考えまくったオーダーが当たって、それがめちゃくちゃ大きかったですね。


写真:乾加那子にアドバイスを送る長谷川さん(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――まさにチームで勝ち取った1勝ですね。長谷川さん個人としては、全国大会の表彰台は初ですか?
長谷川さん:初ですね。というか、愛美(金崎愛美、希望が丘高等学校→日本大学出身)と乾ちゃん以外は全員初だと思います。


写真:金崎愛美(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――金崎さんの加入は、かなり心強いですよね。
長谷川さん:日本大学でバリバリやってたので強いです。ただ、私は愛美と卓球したことは全然なくて(笑)。
――では金崎さんはどういったきっかけでチームに入ったのでしょうか?
長谷川さん:私はみんなでお酒を飲みに行くのが好きで、愛美とは卓球の友人同士の飲み会で知り合いました。

そこで気が合って、お酒やご飯に行くようになり、「ちょっとチームの人数が足りないから入ってよ」と頼んで、愛美には入ってもらいました。

――まさかの飲み会スカウトだったとは(笑)。
長谷川さん:飲み会でのスカウトは大事です(笑)。

「楽しく、元気に、可愛く」

――チームとして大事にしていることはなにかありますか?
長谷川さん:部活ではないので目標とかはあまりないです。強いて言えば、「楽しく、元気に、可愛く」ですね。ユニフォームもめっちゃ頑張って考えて、可愛く作ったので。

最初は全員「スコートは嫌だ」と言っていましたが、スコートは若いときにしか着られないような気がするし、今のデザインはズボンにすると海パンみたいになるので(笑)。それだけが嫌で、私がみんなに「これ着て!」と頼んで、スコートを強制しました(笑)。

結局みんな着たら「可愛い」と喜んでくれたので、結果オーライですね。


写真:宮脇千波(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――ユニフォームのデザインは長谷川さんが考えられていたのですね。
長谷川さん:はい。みんな可愛い子ばかりなので、可愛い子に可愛いユニフォーム着てもらっています。「やっぱり可愛いなぁ」と思いながらいつも見ています(笑)。

あと、みんな美意識が高いです。一度、暇なときに「今日練習しない?」と誘ったら、「今日マツエクです」とか「マツパです」とか「ネイル行くから無理です」とか言われて、美容系の理由で断られたことがありました(笑)。

でも、それが理由で特に怒ったり注意したりすることはないです。

――お話を聞いてると、みなさんの趣味や感性が似ていそうですね。
長谷川さん:そうですね。みんなお酒も好きで、クラブ選手権の試合の日もちゃんとお酒を飲みに行きました。


写真:矢島若菜(いろは)/撮影:ラリーズ編集部

――社会人卓球の理想ですね(笑)。
長谷川さん:結局は、みんなで旅行がてらクラブ選手権に行っている部分は大きいですね。ついでにランクインして、気持ちよくお酒飲もうと思っています。
――今後も基本的には「楽しくやろう」というスタンスですか?
長谷川さん:そうですね。気が合う仲間と楽しくやって、去る者は追わず。

特にメンバーを増やしたりとかは今は考えていなくて、今のメンバーがやりたいって言ってくれれば続けます。

団体戦はクラブ選手権と新体連の全国大会しか出ていません。

今回も「クラブ選手権の推薦が取れなかったら解散してもいいかな」ぐらいに思っていましたが、ベスト4で来年度の本戦への出場権を推薦で取れたから継続予定です。「推薦取れる限りは継続していこう」ぐらいの気持ちですね。

――ちょっとした背水の陣ですね(笑)。
長谷川さん:そうは言っているものの、結局推薦が取れなかったら「来年リベンジしよう!」という気持ちになるかもしれないです(笑)。

特に、今年はベスト4に入れて「次はとりあえず一回てっぺん目指してみるか」という気持ちにもちょっとなっています。

去年よりも今年は負けた試合も「チャンスがあったかも?」という感じだったので、ちょっと夢見てもいいかなとは個人的に思っています。

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