早稲田大・徳田幹太「勝って自分の世界を広げる」何苦楚魂で努力重ね全日学優勝 掴み取った金沢ポート入団 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 早稲田大・徳田幹太「勝って自分の世界を広げる」何苦楚魂で努力重ね全日学優勝 掴み取った金沢ポート入団

2024.11.11

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

幼少期から将来を嘱望されていた徳田幹太(早稲田大学2年・野田学園高校出身)がついにTリーグに参戦する。

徳田は、10月末に行われた2024年全日本大学総合卓球選手権大会(個人の部)で5回戦から4試合連続4-3勝ちと、1日で28ゲームを戦い抜き表彰台の頂点へと駆け上がった。劇的な優勝から3日後、徳田の元にTリーグ・金沢ポートから契約のオファーが届いた。

「徳田は大学で伸び悩んでいる」。

そんな声を一掃する目覚ましい活躍を見せ、大学生日本一となり、自らの結果でTリーグチームを振り向かせた。

今回のインタビューでは、金沢ポートの印象や全日学優勝の軌跡、アスリートとしての今後の展望を語ってもらった。

金沢ポートの印象は「ユニフォームがかっこいい」「熱いチーム」


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――金沢ポートとの契約、おめでとうございます!

昨年、金沢ポートが立ち上がった際、「金沢ポートのユニフォームがかっこいい」とおっしゃってましたよね?

徳田幹太:そういえば言ってましたね(笑)。第一印象はユニフォームがかっこいいチーム、でした。
――そこから1年間、今、金沢ポートにはどういう印象を持っていますか?
徳田幹太:ホームマッチのときに地元の方々がすごく熱い応援をしてくれているのが印象的です。


写真:金沢ポート2023-2024シーズンホームマッチの様子/撮影:ラリーズ編集部

徳田幹太:選手についても松平健太さんや吉田雅己さんら、熱い選手が多いなというイメージがあります。先日、西東輝監督とお話をさせていただいて、監督も含めて熱いチームだなと感じています。


写真:熱いガッツポーズを見せる吉田雅己(金沢ポート)/撮影:岡山リベッツ/T.LEAGUE/アフロ

――金沢ポートからオファーが届いたときはどういう気持ちでしたか?
徳田幹太:朝、「金沢ポートからオファーが来ています」というメールが早稲田大学の本橋監督から来ていて、飛び起きました(笑)。

入りたかったチームだったので、嬉しい気持ちでいっぱいでした。

――Tリーグ参戦は、目標としてあったのでしょうか?
徳田幹太:そういう目標を掲げようとしたことはありました。

でも、自分はオファーされる側なので、自分の力ではどうしようもない部分もあり、目標にするのは違うなと感じていました。

そのため、全日学優勝を個人の目標にしてプレーしていました。


写真:見事全日学優勝を果たした徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――目標を達成して優勝し、Tリーグからのオファーも自らの結果で手繰り寄せましたね。
徳田幹太:優勝できたことで、今まで見てきた景色が変わったという感覚がありました。

来年のワールドユニバーシティゲームズの代表に確定して、大学生の日本代表としてプレーする権利を得られたり、金沢ポートからオファーをいただいたり、選手としてのステージを1つ上がれたと感じています。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――ぶっちゃけ、全日学優勝した後は「そろそろTリーグからオファー来てくれよ」と思いましたよね?(笑)
徳田幹太:ぶっちゃけそうですね(笑)。

自分の中では、卓球選手として今年が勝負の1年だと思っているので、1チームで良いからオファーをくれないかなと願っていました。

人生を変えた“徳田幹太・魂の28ゲーム”


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――西東監督に伺うと、「全日学の最終日、4試合フルゲームを戦い抜いて優勝したところに心を動かされた」と言っていました。

全日学の優勝で人生を変えましたね。

徳田幹太:そもそも自分は全日本選手権の東京都予選で落ちていたので、全日本に推薦出場できるベスト8に入りたいという気持ちがまずありました。

ただ、ベスト8に入るためには、これまでほとんど勝ったことがない同級生の鈴木颯選手(愛知工業大学/琉球アスティーダ)を倒さないといけない組み合わせでした。


写真:インターハイ3冠王の鈴木颯(愛知工業大学)/撮影:ラリーズ編集部

徳田幹太:自分の学年のトップを走る鈴木颯選手と吉山僚一選手(日本大学/岡山リベッツ)の2人の壁を超えるという目標が1つあったので、なんとか4-3で勝てて自信に繋がりました。

そこで「優勝を目指せるぞ」ともう一段階ギアが上がりました。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――続く準々決勝の三浦裕大(筑波大学/金沢ポート)戦は、いきなり0-3と追い詰められました。
徳田幹太:ベスト8に入れて少し安心した自分がいて、0-3スタートになってしまいました。

でも、ここで負けたらベスト8に入ったとしても今までと一緒だし、「練習をあれだけやり込んできたんだから大丈夫」とプラスな考えしかなかったので、不思議と負ける気はしていなかったです。

むしろ「ここで勝って自分の世界を広げるんだ」とポジティブな気持ちで戦えていました。


写真:三浦裕大(筑波大学)に大逆転勝利してガッツポーズする徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――そこまで言い切れるほど、練習を積み上げてきたんですね。
徳田幹太:自分は大学に入ってから、いろいろな方に「徳田は伸び悩んでる」と言われてきました。

結果が出ていなかったので仕方ないですが、言われるたびに何苦楚魂というか見返してやるという気持ちで練習してきて、この夏は自分をとことん追い込みました。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

徳田幹太:去年全日学ベスト32で終わった悔しさがあって、1年間ずっと「伸びてない」とか言われてきて、今年が本当に勝負だと思っていました。

だから5回戦、準々決勝、準決勝と勝っても全然満足することはなく、優勝しか見ていなかったです。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

やっと自分の卓球の理想形ができてきた


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――「伸び悩んでる」と結構言われたとのことですが、ご自身としては自分の卓球についてどう感じていましたか?
徳田幹太:正直、自分としては大学に行ってから強くなっていると手応えを得ていました。

ただ、全国でシングルスベスト8にも入れていなかったので、結果だけ見るとそう言われても仕方ないとは感じていました。

――高校の時よりもレベルアップしたのはどういう部分ですか?
徳田幹太:考え方が変わったり、戦術も増えたりしているので、高校の時より見違えるぐらい強くなってると思います。

特にメンタルが1番安定してきていますね。

どんな状況でも簡単に崩れなくなってきましたし、どの大会でも自分のプレーができている試合が多いです。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――個人的な印象で恐縮ですが、プレースタイルは高校時代から変わったのかなと感じていました。

高校の時はガンガン振っていく“これぞ野田学園”というような超攻撃的なスタイルでしたが、大学に入ってからは安定感は増した分、攻撃的な部分が鳴りを潜めているのではないかと…。

徳田幹太:結構それは自分でも感じていました。自分のプレーを見返して、「なんか自分の良さが消えたな」「高校の時はこういうプレーできていたのにな」と思うことは何回もありました。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

徳田幹太:でも、大学に入って関東に来て、実業団の方を筆頭に様々な方からアドバイスをいただいて、その良い部分を取り入れて、戦術面が固まってきました。なおかつ、自分の武器であるどこからでも振り続けられる両ハンドが全日学ではマッチしました。

戦術と技術が上手くマッチして、やっと自分の卓球の理想形ができてきたという感じはしましたね。

モットーは「どんな人にも憧れられる選手に」


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――西東監督は、選手の獲得基準に「諦めない」「簡単に負けない」というのがあるとおっしゃっていました。

徳田選手もそういう戦いぶりだと思いますが、何か試合への臨み方で意識していることはありますか?

徳田幹太:「どんな人からも憧れられる選手になりたい」というモットーが自分の中にあります。

ありがたいことに、野田学園のときから「写真撮ってください」とか「サインください」とか声をかけてくださるファンの方々がいます。

自分を応援してくれる人がいるのだから、試合を諦めることは絶対にしないし、最後までガッツを出して戦うというのは決めています。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――卓球選手として素晴らしい意識ですね。そういうところを見て、ファンは応援したくなるのだと思いますし、西東監督も評価してくれたのだと思います。

また、西東監督は、「徳田選手には遠慮せず貪欲に先輩たちから学んで成長してほしい」ともおっしゃられていました。

徳田幹太:松平さんや吉田さんからは戦術や台上プレーを学んでいきたいですし、田中佑汰さんのバックハンドも間近で見て吸収したいです。

張禹珍選手に関しては、近くでプレーを見られるだけでもありがたいので、世界トップのプレーを見て、自分の成長に繋げたいです。

――先輩方にはガツガツ聞きに行けるタイプですか?
徳田幹太:初対面でガツガツはいけないかもしれません…。

でも、遠慮していてはもったいないので、いっぱい聞きに行きたいと思います!

――いいですね!今後どんどん成長してTリーグを代表する選手になってください!

ご自身としてはこの金沢ポートとの契約をきっかけにどうなっていきたいですか?

徳田幹太:期待していただいている分、勝利を積み重ねて金沢ポートをどんどん盛り上げていかないといけないと思っています。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

徳田幹太:まだ全然そういう立場にはいないと思いますが、半年後、1年後には「徳田なら勝ってくれる」と思われるような選手になりたいです。

いつチャンスが来ても掴み取れるように準備しておきますし、試合に出られたらリーグ戦のように1点ごとにジャンプしてガッツポーズするくらい闘志を出してチームを盛り上げていきます!


写真:ベンチに熱いガッツポーズを見せる徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――金沢ポートは落ち着いた選手が多い印象なので、徳田選手の熱さとフレッシュさでまた新しい風を吹き込んでください!
徳田幹太:頑張ります!
――「覚醒」を掲げて取り組まれている1年だと思いますが、しっかり覚醒していってますね。
徳田幹太:覚醒というテーマを自分で掲げたんですけど、試合終わってから「調子よかったね」「覚醒してたね」と言われるとなんか違うなと思ってきています(笑)。

もちろん嬉しいんですけど、自分はこれだけ頑張ってきているんだから、「覚醒」ではなく「実力」と言われるように頑張っていきたいと思っています。


写真:徳田幹太(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

学生卓球界に希望を与える存在に

私も、野田学園高校時代の爆発力あるプレーや試合での立ち振る舞いを見て、徳田幹太に魅了された1人だ。

高校3年生のときにインタビューさせてもらい、小学2年で日本一になるも小学4年で心臓手術を経験して一時は成績が落ちたこと、それでも小学6年でHNT合宿で1位になるまで成長したことなどを伺い、努力して這い上がれる心の強い選手だなと感じていた。

早稲田大学進学後は、1年生の全日学でダブルス優勝もシングルスはベスト32で終わってしまう。しかし、そこからリベンジを誓って腕を磨き、今年優勝を勝ち取った。

そういうストーリーも徳田を応援したくなる要素の1つだ。

絶対に最後まで諦めない姿勢は、見てる人々を勇気づけるだろうし、自らの努力でチャンスを掴んだ徳田が活躍すれば、学生卓球界の選手たちにも希望を与えることになる。

Tリーグの舞台でどのようなプレーを見せてくれるのか、デビュー戦が待ち遠しい。

徳田幹太にオファーした経緯を西東監督にインタビュー

>>「獲得候補にすら入ってなかった」徳田幹太に金沢ポートが複数年契約でオファーしたワケ

金沢ポートホームマッチは11月15~17日

>>徳田幹太も帯同予定 金沢ポートホームマッチ チケット発売中(外部リンク)

高校時代の徳田幹太インタビュー