悲願の日本一に向け「世界を目指す意識の選手を育てる」インターハイ準優勝・桜丘高校女子卓球部 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:桜丘高校卓球部/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 悲願の日本一に向け「世界を目指す意識の選手を育てる」インターハイ準優勝・桜丘高校女子卓球部

2025.01.17

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

2024年のインターハイで、学校対抗2位に入賞した桜丘高等学校女子卓球部。

選手の“個性”を活かした独創的なプレースタイルが特徴で、全国の舞台で表彰台に何度も上がっている。

チームをまとめるのは、自身も桜丘高等学校のOBでもある野木森孝充監督だ。

練習にお邪魔し、野木森監督にチームの指導方針や今後の目標について伺った。

インターハイ2024では学校対抗2位、シングルス3位と好成績


写真:インターハイでの桜丘高校/撮影:ラリーズ編集部

――2024年の長崎インターハイでは学校対抗2位と好成績を収めました。どう振り返られますか?
野木森監督:好成績を収めたこと自体はすごく嬉しいです。しかし、桜丘が目指していたのは日本一だったので、その点では悔しさが大きいです。
――決勝戦では大阪府代表の香ヶ丘リベルテ高等学校に1-3で敗れましたが、各試合接戦でした。
野木森監督:大阪府代表の選手たち、面手凛選手(山陽学園高等学校)がライバルになることはわかっていたので、練習中から「彼女らに勝つためにはこういうことが必要だよね」など、毎日のように選手たちと話し合いながら取り組んできました。

大阪府代表の選手に学校対抗や個人戦で勝てた試合もあったので、やってきたこと自体は間違ってなかったと思います。

でも、優勝には届かず、わずかな差に見えてもまだまだ遠かったなと感じる部分もあったので、この経験を活かして、次こそ優勝を狙いたいと思います。

――大会を通して印象的な選手はいましたか?
野木森監督:留学生の田旻一が印象に残っています。

学校対抗準決勝の山陽学園戦では、1番で相手エースの面手凛選手に負けてしまいましたが、他の選手たちが2番、3番、4番と勝ち切ってくれてチームは勝利できました。その日の夜、田がその悔しい思いを私に打ち明けてくれました。

翌日の朝に「今日は私が勝って優勝する!」と言ってくれました。その言葉通り気迫が顔にもプレーにも出ていて、決勝の1番でもしっかり勝利してチームを引っ張ってくれたのが印象的でした。


写真:田旻一(桜丘高校)/撮影:ラリーズ編集部

――3年生の栗山優菜選手と2年生の山室早矢選手も女子シングルスで3位に入りました。
野木森監督:栗山については、前年度シングルス2位で、追われる立場の中、入賞するのは簡単なことではなかったと思います。

崖っぷちまで追い込まれた試合が何度かありましたけど、その中でしっかり勝ち抜いたのは、彼女の強さだったなと思います。


写真:栗山優菜(桜丘)/撮影:ラリーズ編集部

野木森監督:山室に関しては前回のインターハイ、全日本ジュニアでもベスト16止まりでしたので、今回その壁を乗り越えてくれました。

特に前回チャンピオンの四天王寺・青木咲智選手に勝った試合は、殻を破った瞬間でしたね。メダルを取ってくれたのは本当に嬉しかったです。


写真:山室早矢(桜丘・愛知)/撮影:ラリーズ編集部

一番大事なのは練習の質を追求すること


写真:多球練習で球出しをする野木森監督/撮影:ラリーズ編集部

――練習を拝見していて、スマッシュ気味の強いインパクトのボールを放つプレーが多いのが印象的でした。
野木森監督:選手たちには、ボールを強く捉えることを意識させています。

試合中、不安だからといって相手コートに入れにいくようなスイングをすると、回転の影響を受けやすく、ミスに繋がりやすいからです。

その結果、スマッシュ気味のドライブや、女子特有のミート気味の打ち方が出てきているのだと思います。

――回転の変化や緩急の意識を練習中に指導していることも印象的に残りました。
野木森監督:試合で選手がどのように得点し、失点しているかを監督として日々分析しています。

上位の選手に勝つには、多彩な点の取り方を身につける必要があると感じており、横回転を入れたり緩い球を使ったりするプレーは練習中から意識させています。

――個性的なプレーの選手たちが多く育っているかと思いますが、成長している要因はどこにあると考えていますか?
野木森監督:個性的な選手を育てようと意識したことはあまりなく、どちらかというと自然にそうなってる感じですね。

私自身、家族から「卓球マニアだ」と言われるくらい、家でも卓球の試合動画や技術動画を見ています。その結果、選手を一つの型にはめるのではなく、各々の特徴に合わせてアプローチを変えられるだけの豊富な引き出しを持てるようになりました。

でも結局一番大事なのは、練習の質を追求することだと思います。

――質とは具体的に言うとどういうことでしょうか?
野木森監督:練習中に、選手たちが時計をちらちら見ながら「まだ練習終わらないのかな」という空気感でやっていては、意味のある練習にならないということです。

そのため、選手が飽きないようなメニューを考えたり、良い雰囲気を作ったりすることを意識しています。私自身もボール拾いや球出しを積極的に行い、選手と一緒に取り組む姿勢を大切にしています。


写真:練習中、野木森監督は球拾いも行いながら指示を出す/撮影:ラリーズ編集部

――質を意識しているとのことですが、量についてはどう考えられていますか?
野木森監督:もちろん練習量を確保して技術を身につけることも重要だと思っています。

一方で、規定練習の時間を長くしすぎず、自主練習の時間を確保することも意識しています。これは、選手自身が自主的に考えて取り組み、「やり切った」という実感を得られるような環境を作ることが大切だと考えているからです。

世界で戦える選手を育てて日本一へ

――桜丘の監督として苦しかったことや嬉しかったことはありますか?
野木森監督:正直言うと、しんどいことの方が多いですね(笑)。

でも、全国大会で選手たちがメダルを取ったり、取材してもらったりしている姿を見るとやっぱり嬉しいです。それを見ていると「次はもっと上を目指して優勝しよう」という気持ちになれます。

それが今の生き甲斐ですね。しんどい部分は多いですが、それ以上にやりがいを感じています。


写真:練習の合間に笑顔を見せる選手/撮影:ラリーズ編集部

――実業団や大学に進んだ卒業生の活躍はどう見られていますか?
野木森監督:進学先や実業団で活躍してくれることで、今の選手たちも「自分も卓球で進路を切り拓きたい」という目標を持つようになります。

先輩たちの活躍を見たり、練習に行かせてもらったりして、いろいろな経験を積めて、刺激になっていると思います。

これからも卒業生たちがより高いレベルで活躍してさらにいろいろな世界を見せてくれると嬉しいですね。


写真:OGとして活躍する木田美佑里/小林りんご(青山学院大学)/撮影:ラリーズ編集部

――今後のチームの展望も教えてください。
野木森監督:やっぱり日本一を目指してやっていきたいですね。

ただ、これまでも日本一を目指してやってきて、2位や3位で終わってしまっています。そのため、日本一より上を目指す必要があるかなと思っています。

「世界を目指す」という意識を持つような選手が育てば、自然と日本一になれるのではないかと考えています。世界で戦う選手を育てること。今の目標はそこですね。

【動画】桜丘高校の1日に密着

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