創設25年の"まちの卓球クラブ"が大切にする指導方針とは 安田学園高・島岡修斗を輩出したトトロクラブ | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:トトロクラブ集合写真/提供:トトロクラブ

卓球インタビュー 創設25年の“まちの卓球クラブ”が大切にする指導方針とは 安田学園高・島岡修斗を輩出したトトロクラブ

2025.12.03

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

千葉県市原市で活動する「トトロクラブ」。

地域の市民教室から生まれた小さな卓球クラブは、いまや多くの小中学生が集うチームへと成長した。

創設25年を迎えた今、指導する魚路恭子さんと鈴木茂さんに、その歩みと想いを聞いた。

市民教室から始まった、親子の卓球クラブ

――トトロクラブが生まれた経緯を教えてください。
魚路恭子さん:私はもともと市民教室の講師をしていたのですが、そこに来ていたお母さんたちから「子どもたちと一緒に卓球をやりたい」という声をいただいたのがきっかけです。

親子で週1回の練習を始めたのが最初で、1999年の11月にスタートしました。なので、今年で25年になりますね。

――クラブ名「トトロ」の由来を教えてください。
魚路恭子さん:実は「となりのトトロ」ではないんです(笑)。私の名前「魚路(うおじ)」の“魚=とと”と、“路=ろ”を組み合わせて「トトロクラブ」と名づけました。


写真:トトロクラブで指導する魚路恭子さん/提供:トトロクラブ

――トトロクラブ出身のRallysアンバサダー・島岡修斗選手も活躍していますね。島岡選手はどのような生徒でしたか?
魚路恭子さん:とにかく練習熱心でした。うちの練習だけでなく、自分でも場所を見つけて練習していましたね。

5年生の時、全国ホープスの県予選では5位で出場できなかったんですが、繰り上がりで東日本大会に出場して、なんと3位に入ったんです。あれは本当に驚きました。

鈴木茂さん:島岡くんがクラブに顔を出してくれると、みんな本当に嬉しそうなんです。憧れの存在として、良い刺激になっています。


写真:トトロクラブOBの島岡修斗(安田学園高)/撮影:ラリーズ編集部

――現在はどのようなチーム構成なのでしょうか?
魚路恭子さん:小学校2年生から中学3年生までの子どもたちが、約30人所属しています。練習は毎日開催していますが、参加頻度は生徒の都合やレベルに合わせています。

毎日来る子もいれば週1回の子もいて、無理なく続けられる環境を大切にしています。

鈴木茂さん:現在は市原市内の公共施設をお借りして活動しています。ほとんどの子が初心者から始めるので、少しずつ上達していく過程を見られるのが一番の楽しみです。

最近では市原市の総体で女子が優勝、男子も3位と健闘してくれました。

全国を目指した黄金期、そして再スタート


写真:トトロクラブで指導する鈴木茂さん/提供:トトロクラブ

――これまでのクラブの歴史で印象に残っている出来事を教えてください。
魚路恭子さん:初期に教えていた子どもたちが県上位に入り、女子がクラブ選手権でランク入りした時期がありました。

また、世代交流の部では女子(市原クラブとの合同)と男子(JFEクラブとの合同)がそろって千葉県優勝しました。アベック優勝できたのは本当に嬉しかったです。

鈴木茂さん:広島でのクラブ選手権では、1ゲーム目を24–26で落とした試合をその後逆転勝ちしたんです。あの粘り強さと集中力は今でも印象に残っています。
――現在はクラブとしてどのような目標を掲げているのでしょうか?
魚路恭子さん:コロナ禍で練習できない時期があり、強かった上級生が抜けた後に新しい世代が増えました。

今は基礎を大事にしながら再び上を目指している段階です。県代表として全国大会に出場できるような選手を育てたいですね。


写真:トトロクラブOBの島岡修斗(安田学園高)/撮影:ラリーズ編集部

――指導で意識していることを教えてください。
魚路恭子さん:初心者が多いので、一人ひとりのレベルに合わせた指導を心がけています。私自身、中学で卓球を始めたので、できない子の気持ちはよく分かります。

自分の経験を踏まえて、焦らず丁寧に教えるようにしています。

鈴木茂さん:「1球でも長く続くことの楽しさ」を感じてもらうことを大切にしています。卓球を好きになることが、強くなることの第一歩。フォームも、まずは“入るいい形”を意識して指導しています。
――指導していて感じるやりがいや楽しさはどのようなところですか?
魚路恭子さん:初心者の子がラリーを続けられるようになって、「打てた!」と笑顔を見せてくれる瞬間がいちばん嬉しいです。

また、卒業しても顔を出して後輩の練習相手をしてくれる子も多く、そういったつながりを見ると、「このクラブを続けてきてよかった」と感じますね。

鈴木茂さん:子どもたちが卓球を「楽しい」と思ってくれることが一番です。結果ももちろん大事ですが、まずは楽しんで続けてもらうこと。その中で自然と強くなっていくと思っています。


写真:トトロクラブで指導する魚路恭子さん/提供:トトロクラブ

卓球を一生続けられるスポーツに


写真:トトロクラブOBの島岡修斗(安田学園高)/撮影:ラリーズ編集部

――トトロクラブにはどのような生徒に入ってきてもらいたいですか?
魚路恭子さん:卓球を通じて、ずっとスポーツを楽しんでほしいです。クラブを卒業しても卓球を続けてくれるような子に育ってくれたら嬉しいですね。
鈴木茂さん:有名な選手を知らない子も多いので、もっと卓球の面白さを知ってほしいです。島岡くんのような先輩が来てくれると、子どもたちが本当に目を輝かせます。


写真:トトロクラブで指導する魚路恭子さん/提供:トトロクラブ

――今後のクラブとしての展望を教えてください。
魚路恭子さん:千葉県の代表として全国大会に出場できるような選手を育てたいです。同時に、卓球を心から楽しめるチームであり続けたいと思っています。
鈴木茂さん:まだ全国には届いていませんが、そこを目指せるチームにしていきたいです。卓球を通して、人としても成長できるようなクラブでありたいですね。