早稲田大の4年でリーグ1勝 卓球で知った"努力はほぼ報われない"けど「やり続けていれば勝てる」 働きながら米国公認会計士試験合格 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松本累さん/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 早稲田大の4年でリーグ1勝 卓球で知った“努力はほぼ報われない”けど「やり続けていれば勝てる」 働きながら米国公認会計士試験合格

2025.12.26

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

幼少期から全国大会で戦い、憧れの早稲田大学卓球部で4年間を過ごした松本累さん。

学生時代は競技と学業、そして就職活動を同時に走り切り、卒業後は一般企業に就職。社会人3年目の2025年11月にUSCPA(米国公認会計士)という難関資格に合格を果たした。

今回は、そんな松本さんに卓球部での挫折と成長、就活との向き合い方、そして次の舞台へと進み続ける原動力について話を聞いた。


【松本 累(まつもと るい)】Meiji c.s.c→尾久八幡中学→早稲田実業高校→早稲田大学。高校時代はインターハイ、全日本ジュニアに出場。大学時代はコロナ禍で多くの試合がなくなりながらも、レギュラーとして関東学生リーグに出場した。大学卒業後は一般企業に就職し、2025年11月にUSCPA(米国公認会計士)を取得した。(写真:ラリーズ編集部)

3歳から始まった卓球人生

――松本さんの簡単な自己紹介をお願いします。
松本累さん:松本累と申します。2023年3月に早稲田大学を卒業して、現在は社会人として働いています。

卓球の経歴としては、3歳で卓球を始めて、小学生のときはMeiji c.s.cというクラブで宇田幸矢選手らと一緒に練習していました。中学校は東京の尾久八幡中学に進学して、高校は早稲田実業高校、大学はそのまま早稲田大学で卓球をプレーしていました。

――早稲田実業高校に進学した理由を教えてください。
松本累さん:一番のきっかけは、早稲田大学卓球部でプレーしたいという思いが強かったからです。

小さい頃に両親が関東学生リーグに連れていってくれたことがあって、そこで早稲田大学卓球部の試合を見て、「あのユニフォームを着たい。あの舞台で活躍したい」と思ったんです。早稲田実業高校に入れば、早稲田大学に入れる可能性が高くなると思って、高校は早稲田実業を選びました。

――高校生活はどうでしたか?
松本累さん:卓球と勉強の両立に力を入れていました。勉強しないと留年する可能性もあったので、勉強も一緒に頑張っていました。

卓球でも高校時代は東京で優勝したり、全国規模の大会でベスト8入賞もしていたりと、それなりの成績は残せたと思います。

早稲田大学体育会卓球部での衝撃

――憧れの早稲田大学卓球部に入ってみていかがでしたか?


写真:自分が頑張っている姿を見せることで後輩に示す/撮影:ラリーズ編集部

松本累さん:正直、入部前は自信は持っていました。これまで団体戦でも全国大会でメダルを獲ってきたし、高校でも実績を残していたので、「早稲田でもやっていけるかな」と。

ただ、実際に入部してみると先輩方のレベルは本当に違いましたね。4年生には硴塚(将人)さん、3年生には緒方(遼太郎)さん、2年生には福田(純大)さんと、エリートアカデミー出身者が3人もいて、他にも、2年生には今もプロとして活躍している五十嵐(史弥)さんと今、日本リーガーで活躍している川上(尚也)さんがいました。

正直、その環境に飛び込んで、卓球選手としての自分の存在価値を証明することはかなり難しかったですね。


写真:松本さんが入学した当時の早稲田大学は硴塚将人(写真左)と緒方遼太郎がツインエースとして活躍していた/撮影:ラリーズ編集部

――選手として大学での目標は何かあったのでしょうか?
松本累さん:入部当初から、試合に出たいという思いが強くありました。なので、ベンチ入りしてレギュラーの座を勝ち取ることを目標にやっていました。

実際に、大学1年の終わりごろから自分の成長を実感できて、「次の春リーグは試合に絡めるかも」と思っていたんですが、そのタイミングでコロナが来たんです。

そこから大学2年、3年はほとんど試合がなかったので、自分が思い描いた大学卓球生活ではありませんでしたが、後悔なくやれたとは思います。


写真:当時の早稲田集合写真/提供:松本累さん

就活と卓球の両立

――就活はいつごろから始めたのでしょうか?
松本累さん:大学2年の後半ぐらいからですね。当時はコロナの影響で部活もできなかったので、就活に触れる機会が自然と増えていた記憶はあります。
――就活はどのように進めましたか?
松本累さん:最初は業界を絞らずに、たくさんの企業を見ました。商社、金融、コンサルなど、幅広い業種・業界のインターンに参加しました。

ただ、大手本選考の時期である4年の4~6月には関東学生リーグがあったので、最終的には商社、金融、コンサルの3つの業界に絞って、10社ほど受けました。そのうち、内定をいただけたのは4社でした。


写真:インタビューに答える松本さん/撮影:ラリーズ編集部

――今の会社を選んだ決め手を教えてください。
松本累さん:今の会社に決めたのは、業界トップというところが大きかったです。

トップだからこそ見える景色がありますし、そういった環境だからこそ人材のレベルも高い。「この会社なら自分をもっともっと成長させられる」と思い、今の会社に入りました。

――就活で苦労したことはなんでしょうか?
松本累さん:特定の面接やテストで苦労したというよりも、時間の捻出が最大の課題でした。部活と学業を両立させながらの就活ということで時間管理が本当に大変でした。
――当時はどのようにして時間を管理していたのでしょうか?
松本累さん:卓球と勉強を近い存在にすることは意識していました。勉強や就活を大学の卓球場の隣にある大きな会議室でやるようにして、練習がない日もその会議室にいることを自分のルーティンにしていました。あとは図書館にも通い詰めていましたね。


写真:ガクチカでは部活動などをアピールした/提供:松本累さん

――ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)ではどのようなことを話していましたか?
松本累さん:体育会の卓球部の話がベースですが、ゼミ長として企業との共同プロジェクトを取りまとめていたことや、高い学業成績を残して大学から表彰されたことなども話していました。

受けた業界的にも学業面は重視されると思ったので、「部活だけじゃないぞ」という部分をアピールしましたね。

社会人1年目とUSCPA挑戦

――社会人1年目ではどのようなことを感じましたか?
松本累さん:働く前はワクワクしていたんですけど、実際に入ってみると、卓球でも経験したように、うまくいかないことや思い通りにいかないことがたくさんありました。打ちのめされた経験もたくさんあります。

ただ、卓球を通じて得た「諦めずに最後まで続ければ、なんとか成果に結びつく」という経験は、社会人生活を続けるうえで役立っていますね。


写真:世界にも目を向けUSCPAに挑戦することを決める/撮影:ラリーズ編集部

――今回、USCPA(アメリカ公認会計士)に合格されたとのことですが、挑戦のきっかけを教えてください。
松本累さん:きっかけは、アメリカの公認会計士試験という自分にとって難易度の高い大きな壁に挑戦をしてみたいと思ったからです。また、将来的に自分の活躍の舞台を海外にも広げていきたいという思いもありました。
――資格勉強は入社1年目から始めたのでしょうか?
松本累さん:はい。働き始めは泊まり込みで研修だったので、できなかったのですが、研修終了後すぐに予備校に申し込みました。

勉強期間としては2年半ぐらいです。

――普段の勉強時間はどのように確保していたのでしょうか?
松本累さん:どれだけ仕事が遅く終わっても必ずカフェに行って、カフェが閉店するまで可能な限り勉強することを自分との約束にしていました。

土日は誘惑がありますが、「結果が出るまでは楽しみはいらない」という思いで、朝にカフェがオープンする時間に行って勉強を始め、その後は予備校に行って夜まで勉強するというルーティーンを繰り返していました。一日あたり10~12時間ぐらいは勉強していたと思います。


写真:「自分に負けたくない」気持ちで頑張った/撮影:ラリーズ編集部

――勉強のモチベーション維持はどのようにしていたのでしょうか?
松本累さん:仕事をしながらの資格勉強だったので、「疲れたから今日はいいかな」、「眠いから今日はいいかな」と妥協してしまいそうになるときもありました。

ただ、そのなかでモチベーション維持できたのは、「自分に負けたくない」という気持ちを常に持ち続けたからです。勉強は卓球以上に自分との闘いですから、「自分だけには絶対負けたくない」という思いで続けてきました。

――合格したときの気持ちはいかがでしたか?
松本累さん:喜びはもちろんありますが、同時に「もっとこうすれば早く合格できたな」という悔しさもありました。

例えば、単純に英語が得意だったら、もっと早く合格できたかもしれません。でも、その悔しさが次の挑戦へのモチベーションになると思っているので、ポジティブには捉えています。

これからの展望

――今後の松本さんの展望を教えてください。
松本累さん:これまでずっとスポーツの世界、勝負の世界で生きてきたので、これからも今の自分に満足することなく、どんな環境に行ったとしても、自分自身の価値を証明するために常に挑戦を続けていきたいと思っています。

今回USCPAに合格できたので、この資格を活かして、日本だけでなく海外でも活躍できるような人材になれるように、努力を続けていきたいです。


写真:いろいろなことに挑戦することが大切と語る松本さん/撮影:ラリーズ編集部

――最後に、卓球部の後輩たちへのメッセージをお願いします。
松本累さん:社会人を経験して思うのは、「やりたいことは、自分の知識・経験の範囲内からしか生まれない」ということです。大学生も部活で大変だと思いますが、社会人よりは時間があります。なので、ぜひいろいろなことにチャレンジして、たくさんの世界を知ってほしいです。

また、大学の部活は、高校とは違って自由度が増す大学生活を犠牲にして取り組むことでもあるので、その姿勢はすごく価値のあることです。大学卓球という厳しい勝負の世界で結果にこだわって戦い続けてきた学生であれば、社会に出ても絶対に活躍できます。

卓球での経験を糧に、自分の目標に向かって挑戦してほしいと思いますし、僕も全力で応援しています。

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