「今が一番伸びている」ドイツ修行で得た"大人の卓球"で大阪オープン8強入り 菅沼湧輝の飽くなき挑戦 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:TSGカイザースラウテルンでプレーした仲間たち/提供:菅沼湧輝

卓球×インタビュー 「今が一番伸びている」ドイツ修行で得た“大人の卓球”で大阪オープン8強入り 菅沼湧輝の飽くなき挑戦

2026.03.11

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

2025年10月から約2ヶ月、ドイツ・ブンデスリーガ3部のTSGカイザースラウテルンでプレーした菅沼湧輝(クローバー歯科カスピッズ・大阪桐蔭高→明治大出身)。

帰国後は2026年2月に行われた大阪国際招待卓球選手権(通称・大阪オープン)では、岡野俊介(朝日大)、中城瑛貴(野田学園高)ら強敵をなぎ倒し、社会人4年目でベスト8入りと、目覚ましい活躍を見せた。

「シンプルに考えるようになった」という言葉の裏に、ドイツで得た確かな手応えがある。

仕事・卓球・海外挑戦という三つを同時に走らせてきた菅沼に、ドイツ遠征の経緯から得たもの、今後の目標を聞いた。

ドイツ修行のきっかけは邱建新


写真:挑戦する機会を得てドイツへ(写真左奥が菅沼、右手前には篠塚大登の姿も)/提供:菅沼湧輝

――昨年はドイツ・ブンデスリーガでプレーしていましたが、行くことになった経緯を教えてください。
菅沼湧輝:昨年4月の静岡ジェードのトライアルで決勝まで進んだんですが、決勝で石山(慎)くんに負けてしまいました。優勝すればTリーガーになれたのですが、一歩及ばず残念でした。

でも、そのときに邱建新さんが声をかけてくれて、「ブンデスリーガに行ける話がある」と。後から聞いたら「優勝したらTリーガー、でも2位にTリーガーになれないのでドイツ・ブンデスリーガに誘おう」と思っててくれたみたいでした。

試合には負けたけど自分の頑張りを認めてくださって、「チャレンジできる機会があるならぜひ」と思ったので、行かせてもらうことにしました。

――海外リーグに行くことに対して、クローバー歯科のサポートはどうでしたか?
菅沼湧輝:邱さんから話をされた後、(クローバー歯科の)保田理事長に「行かせてもらえないですか?」と聞いてみたころ、「行ってこい!」と快く送り出してくれました。

当時から休日はほとんど邱さんの卓球場で練習していたので、頑張ってるところは見てもらっていたのも大きかったのかもしれません。

シフト調整や有給でうまく仕事を調整してもらいました。自分が抜けた中でも業務を回してくださっていたスタッフさんには本当に感謝しています。

――ドイツではどこのチームで、どれぐらいの期間過ごしたんですか?
菅沼湧輝:10月27日から12月15日まで、2ヶ月弱です。試合はTSGカイザースラウテルンという3部のチームから出て、練習拠点はグリュンヴェッターズバッハという篠塚(大登・愛知工業大)のいるチームでした。

試合はホームマッチだけなので、そのときだけカイザースラウテルンまで移動する感じでした。


写真:1部の選手と練習する機会もあった/提供:菅沼湧輝

――練習環境はどうでしたか?
菅沼湧輝:基本は3部チームのメンバーと練習していましたが、たまにブンデス1部の選手が来てくれて、一緒に打ってもらえたのはめちゃくちゃいい経験でしたね。

ワルター、ヒップラー、ダミアンなど、1部の選手全員と練習してもらいました。

あとは、一度、明治大学の後輩でもある戸上(隼輔)がいるオクセンハウゼンにもバスと電車で5時間かけて練習に行きました。


写真:戸上隼輔(井村屋グループ)とも練習/提供:菅沼湧輝

――1部の選手との球の質の違いは感じましたか?
菅沼湧輝:ブンデスリーガはJOOLAのボールなので、日本のボールとは全く感覚が違います。

スピード系のボールを打つより、みんなしっかり回転をかけて打っていました。7割ぐらいの力でミスしないっていう安定感がすごく大事でした。

ループをかけられたらブロックが本当に難しくて、かなり繊細に神経を使って抑えないと入らないんです。


写真:日本人選手と過ごすことも多かったという(写真中央が篠塚大登、左が山下海大)/提供:菅沼湧輝

――ドイツでの生活はどうでしたか?
菅沼湧輝:寮で集団生活していて、孤独は感じなかったです。途中から山下海大くん(龍谷大平安高→近畿大出身)が来て、一緒にやれたのも楽しかったですね。

山下くんは海外生活が長いなので、コミュニケーションでわからないことがあるときにサッと補足してくれて、とても助かりました。


写真:海外経験豊富な山下海大に助けられた/提供:菅沼湧輝

――語学はどうでしたか?
菅沼湧輝:めっちゃ片言ですけど、雰囲気で頑張ってました(笑)。

ドイツで得た“大人の卓球”


写真:試合はほとんど勝利し、チームに貢献/提供:菅沼湧輝

――試合にはどのような形で出場しましたか?
菅沼湧輝:おそらく契約で決まっていて、基本は3・4番手として出ていたんですが、1試合目だけ1・2番手のオーダーで出してもらいました。

急に言われて「あれ?」ってなったんですけど、ゲームオールでなんとかギリギリ勝ててよかったです(笑)。

そこからチームに認めてもらえた感じがあって、周囲がもっとフレンドリーになってくれました。3・4番手で出た試合では負けなかったです。

――3部のレベル感はどうでしたか?
菅沼湧輝:1・2番手は結構強くて、元ブンデス1部の選手もいましたね。同じチームに中国人のカットマンで王熹(ワンシ)という選手がいて、ティモ・ボルに勝ったことがあるらしいです。

あとは52歳でまだ現役でやってる選手もいて、「俺は昔、シュラガーに勝ったよ」とか言っていました。

そのレジェンドのおじさんから試合中にもらったアドバイスがハマって、一段階卓球が進化した感じです。


写真:ドイツでの経験が大阪オープンで活きる/撮影:ラリーズ編集部

――そのアドバイスも含めて、帰国後、プレーに変化はありましたか?
菅沼湧輝:具体的な技術のアドバイスもあったのですが、そこは企業秘密です(笑)。

でも「基礎からやり直さないといけない」という意識になって、帰国後もその意識を持って練習で来ています。大阪オープンで調子が良かった要因も、そこだと思っています。

――具体的にはどんな変化ですか?
菅沼湧輝:昔はいろいろ複雑なことを考えようとしていたんですが、今は考えもシンプルになりました。

「ここちょっと深かったから右足をこう」みたいな、一つひとつの技術の細かい部分だけを意識する感じです。

練習からその意識でやっていると試合中に困ることもなくなってきました。

今まではフォアで頑張って動く卓球だったのですが、基本に立ち返ってフットワークやバックハンドにも取り組んだことで、試合の後半になっても全然疲れないですし、冷静に卓球できるようになりました。


写真:大阪オープンでの菅沼湧輝(クローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部

――大阪オープンでのベスト8までの快進撃も印象的でした。
菅沼湧輝:大阪オープンはハマった感じがありました。ドイツでの試合を通して学んだことが活かせましたね。

元々動く卓球だったんですけど、大人の卓球になりました(笑)。体力任せでブンブン動いてた頃があったからこそ、今それが逆に生きてる感じもしますし、今が一番伸びてる感じがします。


写真:菅沼湧輝(クローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部

今後の目標は全日本で勝ち上がること


写真:ドイツでの経験を活かして全日本出場を狙う/提供:菅沼湧輝

――仕事と卓球の両立は大変ですか?
菅沼湧輝:仕事が終わった後に20時や21時から夜遅くまで練習して、休日は邱さんの卓球場に行ってという毎日で、かなりハードです。

でも、今は卓球が楽しいし、結果も出てきているので、まだまだいけるなという感じはあります。


写真:菅沼湧輝(クローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部

――今後の活躍も楽しみです!最後に今後の目標を教えてください。
菅沼湧輝:全日本に出場して勝ち上がることが今の一番の目標です。大阪府予選がかなり激戦区になっているので、ビッグトーナメントなどの大きな大会で結果を出して推薦で入れたらと思っています。

大阪オープンで上まで行けた今回のような卓球ができれば狙えると思っていますし、そこはしっかり準備していきたいです。


写真:菅沼湧輝(クローバー歯科カスピッズ)/撮影:ラリーズ編集部