黄金世代・早田ひな、リベンジ支えた2つの武器とは<日本生命vsKA神奈川> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)
黄金世代・早田ひな、リベンジ支えた2つの武器とは<日本生命vsKA神奈川>

写真:早田ひな(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 黄金世代・早田ひな、リベンジ支えた2つの武器とは<日本生命vsKA神奈川>

2019.11.26

文:ラリーズ編集部

Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。今回は11月24日のノジマTリーグ・日本生命レッドエルフVS木下アビエル神奈川の一戦から、第2マッチの早田ひなとソフィア・ポルカノバの試合にスポットライトを当てる。

早田ひなは、ダブルスでは世界選手権をはじめ多くの国際大会で素晴らしい結果を残しており、オーストリアオープンで張本智和(木下マイスター東京)と組んだ混合ダブルスで優勝したことは記憶に新しい。しかし、2019年に入ってチャレンジシリーズで5度シングルス優勝を果たしており、2月のポルトガルオープンでは中国主力の劉詩雯(リュウスーウェン)を破ったこともある。シングルスでも十分に結果を残し始めている選手だ。

対するソフィア・ポルカノバは世界ランキング17位で、世界ランキングでは早田よりも格上の選手だ。ワールドツアーでも安定して本戦まで勝ち進んでおり、10月の女子ワールドカップではベスト8となっている。最大の武器はヨーロッパ選手ならではの長いリーチとそこから繰り出される強打だ。

両者は2014年チェコオープンの女子シングルスU21で1度だけ対戦しており、そこではポルカノバが勝利している。今回の試合では早田が3-1でポルカノバにリベンジを果たしたが、その勝利にはこれまで磨き続けてきた2つの武器が大きく貢献していた。

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ノジマTリーグ 日本生命レッドエルフ 対 木下アビエル神奈川:早田ひなVSソフィア・ポルカノバ

詳細スコア
○早田ひな 3-1 ソフィア・ポルカノバ
11-8/11-1/10-11/11-6

早田ひなのプレーはこちらから

1. レシーブで先手を取らせない巻き込みサーブ

早田ひな(日本生命レッドエルフ)のサーブ配球図
写真:早田ひな(日本生命レッドエルフ)のサーブ配球図/図:ラリーズ編集部

この試合で印象的だったのは、両者ともに巧みなサーブで相手に先手を取らせなかったことだ。特に早田の巻き込みサーブは4ゲームを通じて、最後まで相手に思い切ったレシーブをさせない程にコースの組み立てや質が高かったと言える。

早田がこの試合で軸として用いたサーブは、ミドルから相手の両サイド前に出す巻き込みサーブだ。フォアドライブの威力は中国女子にも匹敵する早田だが、バックハンドもパターンにハマると簡単には止められない。打ち合いに強さを見せる早田は少しでも早く両ハンドドライブで攻めていけるようにミドルから巻き込みサーブを出す。

早田の巻き込みサーブの軌道が低く、ポルカノバはフォア前のサーブに対して、試合の序盤はバックハンドで回り込んでレシーブ、中盤以降はフォアで処理するようになった。しかし、それでも早田のサーブの回転を読み違えたり、サーブの軌道が低いため当てるだけのレシーブを余儀なくされた。

また時折バックやミドルへの速いロングサーブを混ぜることで、ショートサーブに対する台への入りをさらに遅らせ、レシーブをさらに甘くさせていたのだ。

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2. ラリーで優位に立つためのバックハンド

早田ひな(日本生命レッドエルフ)のバック対バックのコース取り
写真:早田ひな(日本生命レッドエルフ)のバック対バックのコース取り/図:ラリーズ編集部

またラリーでもポルカノバを圧倒する場面が多かった早田。早田と同じく左利きのポルカノバも長いリーチを活かした強烈なフォアハンドが特徴のため、ラリー戦はバック対バックでどちらが優位に立つかが非常に重要だった。

早田はラリー戦でポルカノバを上回ったのは、ひとえにコントロールと威力を兼ね備えたバックハンドだと言えよう。

早田のバックドライブはスイングが非常にコンパクトであるため、ボールのインパクトの瞬間にラケット面の角度のブレが少ない。それゆえ狙った場所にしっかりと返すことができるコントロール性がある。一方で恵まれた体格を活かして威力を加えることでバック対バックでポルカノバを左右に揺さぶり、ラリーの主導権を握った。

バック対バックでは、ミドルを狙われた際の反応が重要になる。早田はミドルにボールが来た際に横回転を加えて単調なボールにしないようにするか、素早くミドルに入り、万全の態勢でバックハンドで返球する。対してポルカノバは長身選手の弱点でもあるミドルの反応が遅く、緩い打球で返球することが多かった。

そのため、早田はミドルにバックドライブを送り、緩くつないできたポルカノバのボールを今度はバック深くに鋭く返球した。こうすることでミドルに揺さぶられたのちに、身体の右側の遠い位置に揺さぶられるため返球が徐々に甘くなるのだ。甘くなってミドルに返されたボールを早田は早い打点でポルカノバのフォア側に強打をねじ込むというパターンが効果的であった。

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まとめ.

今回の試合で直接両者の勝敗を分けたのは、攻撃したボールの威力、コースといった質の高さだった。しかし、質の高いラリー戦にするための根底にあるのは、サーブ・レシーブの差だとも捉えることができる。

勝利した早田も、試合の中盤まで女子選手では取り慣れないYGサーブに良いレシーブを返すことはできていなかった。しかしラリーで勝り、攻撃のミスが少なかった早田がゲームを有利に進めた。その後1ゲームを失ったが、そのレシーブには試合の序盤とは違った思い切りが見えた。

その強気のレシーブで相手の強打を防ぐことで、ポルカノバに自身のプレーをさせなかったことが、早田の完勝という結果につながっているのだ。

サーブ・レシーブとラリーの双方で相手を上回った早田。黄金世代の一角として国内外でも活躍する彼女は、今後どのようにそのプレーを進化させるのか目が離せない。

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