卓球日本男子、実は24年前に"絶対王者"中国に勝っていた 五輪団体戦でも中国超えなるか | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:リオ五輪団体戦表彰式/提供:新華社/アフロ

卓球プレーヤー向け 卓球日本男子、実は24年前に“絶対王者”中国に勝っていた 五輪団体戦でも中国超えなるか

2021.07.20

取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集部)

五輪でメダルが期待される卓球日本代表。

最大の難関はもちろん、前回のリオで全種目金メダルを獲得した卓球王国・中国だ。中国は、特に国の威信を懸けて戦う五輪の団体戦では無類の強さを誇る。卓球の団体戦が五輪種目に採択された2008年の北京五輪以降、男女ともに負けなしの3連覇を果たしている。


写真:リオ五輪女子団体で金メダルを獲得した中国女子メンバー/提供:ittfworld

五輪メダリストを擁し、戦力の充実した日本勢も、母国開催の地の利を活かし中国超えを狙う。

では果たして日本代表が前回団体戦で中国に勝ったのはいつだろうか?

現在現役の選手たちに取材をしても、「記憶に無い」「分からない」との回答が多かったので、往年の代表監督や日本卓球協会協力のもと調べてみた。

男子は敵地上海で24年前に勝利

国際大会の団体戦で前回、日本が中国に勝ったのはいつか?

男子は1997年に中国の地元上海で行われたアジアチームカップであることが分かった。

24年前のこの大会では、中国のメンバーは後に北京五輪シングルスで金メダリストとなる馬琳(マリン)、世界選手権シングルスで3度優勝の王励勤(ワンリチン)という若手のホープに加え、当時の中国の主力でカットマンの丁松(ディンソン)という布陣だった。


写真:馬琳/提供:ittfworld

この一見穴の無い布陣に対し、日本勢は松下浩二、渋谷浩のカットマン2人とカット打ちの上手い岩崎清信と木方慎之介が団体メンバーに名を連ねた。

決勝戦、そのパワードライブでカットマンに滅法強かった岩崎清信が丁松のカットを打ち抜きストレート勝ちを果たすと、エースの松下浩二(五輪4度出場、Tリーグ初代チェアマン)が2勝と大車輪の活躍を見せ、中国を破った。


写真:松下浩二/提供:アフロ

当時の監督の佐藤真二(現・協和キリン監督)は「岩崎を激励してコートに送り出したら、1番で勝ってきてくれた。そこで中国にプレッシャーがかかったのが手に取るように分かった」と当時を振り返る。

王者中国の金メダリストたちでも、先にリードを奪われれば、緊張やプレッシャーから力を出せなくなるのだ。

1997年アジアチームカップ(上海)

男子団体決勝 日本 3-1 中国

○岩崎清信 2-0 丁松
21-19/21-13

○松下浩二 2-1 馬琳
15-21/21-12/21-9

渋谷浩 0-2 ○王励勤
18-21/14-21

○松下浩二 2-1 丁松
21-18/14-21/21-6

女子は地元日本で47年前に勝利


写真:ロンドン五輪での石川佳純/提供:AFP/アフロ

ロンドン五輪で卓球界初のメダル(団体銀メダル)を獲得し、近年の卓球人気を牽引してきた女子日本代表だが、団体戦での中国超えは実に47年前に遡る。

1974年の第2回アジア選手権横浜大会の女子団体で、日本は決勝で中国を破って初優勝を果たした。

当時のアジア選手権女子団体は、トーナメント戦ではなく、3チームでの予選リーグ(8ブロック)を行い、1位になった8チームの総当たりで決勝リーグを行うという試合形式だった。日本は最終戦の中国戦を3-1で勝利し、7戦全勝(残る6試合は全て3-0勝ち)という圧倒的な強さを見せての優勝だった。

1970年代の卓球女子は1971年の世界選手権名古屋大会で日本が優勝を果たすも、1975年から1989年までは実に中国が8連覇。1974年はまさに歴史の転換期で、最後に日本が世界一強かった時代とも言える。

この決勝では1番で0-2のストレート負け、2番も1ゲームを先取されるという劣勢から大関が意地の逆転勝ち。流れを引き寄せた日本は1番で敗れた相手に対し、横田がダブルスでリベンジ。大関も単複3連戦を制すなど、その精神力の強さが伺える。

絶対的エースがチームを支える。1回負けても気持ちを切り替えてリベンジする。ダブルスを取る。そして地元開催。47年前の大先輩たちは団体戦で勝つために必要な要素を、全て兼ね揃えていたことが分かる。

世界ランク2位のエース伊藤美誠。五輪団体で2つのメダル、混合世界王者の石川佳純。そしてアジア王者の平野美宇と近年最強の布陣で臨む東京五輪。47年ぶりの中国超えが見られるか。期待が高まる。


写真:伊藤美誠/提供:ittfworld

1974年、アジア選手権横浜大会

女子団体決勝 日本 3-1 中国

横田幸子 0-2 ○張立
17-21/21-23

○大関行江 2-1 黄錫萍
16-21/21-15/21–17

○大関行江/横田幸子 2-0 張立/鄭懷穎
21-16/21-18

○大関行江 2-0 張立
22-20/22-20

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