"あのレジェンドがいたクラブ?"ベルギー卓球クラブにアマチュア日本人愛好家が飛び込んだ | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

ベルギーの卓球クラブ「Logis Auderghem」/提供:Takaohead

卓球プレーヤー向け “あのレジェンドがいたクラブ?”ベルギー卓球クラブにアマチュア日本人愛好家が飛び込んだ

2023.03.24

初めまして。30代・アマチュア卓球愛好家のTakaohead(タカオヘッド)です。

中学・高校での部活ののち、社会人から卓球を再開して、ハマってしまい、都内のクラブで日々卓球と練習・試合後のビールが生き甲斐に。

2020年3月、コロナが始まる直前にベルギー・ブリュッセルに仕事で赴任することになりました。
卓球なしの生活など考えられなかった自分。
たとえ海外赴任でも現地で卓球を続けたい!そんな思いで赴任し、3年間、ブリュッセルの卓球クラブに在籍しました。

今回この特集を書かせていただく理由は、社会人の卓球愛好家として、一人の卓球ファンとして、日本から遠く離れたヨーロッパのベルギーで、アマチュア愛好家はどんな卓球生活が送ることができたのか、その体験をご紹介したかったからです。

とはいってもブリュッセルはフランス語社会。英語しかできない私は、グーグル翻訳を駆使して、なんとか卓球クラブを見つけ出し、めちゃめちゃビビりながらも門を叩きました。

ジャン・ミシェル・セイブが所属したクラブに入会

私が入部したのは「Logis Auderghem」(ロジ・オーデルゲム)というクラブ。


写真:ベルギーの卓球クラブ「Logis Auderghem」/提供:Takaohead

1982年に設立された歴史あるプロクラブで、ベルギーの1部リーグ「Super division」に参戦しています。もちろん、プロ選手だけでなく、子供や学生、アマチュア社会人など総勢約380名の、ベルギーでは最大規模のクラブです。
そしてなんと、ベルギーの卓球選手といえば、この人!引退前のジャン・ミシェル・セイブがかつて所属していたクラブなのです。


写真:ベルギー卓球のレジェンド、ジャン=ミッシェル・セイブ/提供:ittfworld


写真:セイブ選手(上)らが所属していた当時のポスターが飾られている/提供:Takaohead

どんな練習メニュー?

このクラブでは、大人も子供もクラブ会員になれば、自分の実力に応じた週1回の練習クラスに振り分けられ、練習日以外も自由に空いている台を使って練習ができます。


写真:大人の練習風景/提供:Takaohead

コーチ1人が練習メニューを説明して、ペアを組んで全体で練習し、最後はいわゆるエレベーター・ゲームをして終了です。
もちろん全てフランス語なので、最初は全くわからなかった自分。英語ができるチームメイトに聞いてなんとか練習していました。しかし、メニュー自体はごくごくベーシックなもの。


写真:コーチの指導の様子/提供:Takaohead

そして正直に言えば、基本練習だけでは物足りないので、仲良くなったチームメイトと有志で連絡を取り合って、フリー練習をしています。

気になるプロチームの実力は

ベルギーでのプロレベルである1部リーグは「Super Division」と呼ばれます。しかし、クラブ関係者に話を聞くと、ヨーロッパでプロ選手をフルで雇用できるのは強豪国であるドイツやフランス、スウェーデンとポーランドの一部ぐらい、ということです。


写真:ベルギーの卓球クラブ「Logis Auderghem」/提供:Takaohead

ベルギーは実力的には欧州で決して高くないので、ベルギーで本当にプロレベルの選手は、国内の1部リーグではなく、ほとんどが他国のプロリーグに参加しているということです。

よって、我がクラブの「Super Division」チームも、フルで給料が支払われているわけではなく、普段は別の仕事をしているので、厳密に言えば「セミプロ」選手で構成されているということです。


写真:コーチからアドバイスをうける選手/提供:Takaohead

しかし、実力はもちろん高いので、レシーブからチキータ、高速ラリーなどプロ並みの試合が繰り広げられます。

試合形式はシングルス6本マッチで結果を競います。私が2月上旬に取材した日、我が「Logis Auderghem」は6試合全て勝ち、完勝となりました!


写真:試合の様子/提供:Takaohead

地域クラブに上位チームがある意味

私がとても素晴らしいなと思ったのは、地域のクラブにちゃんと上位チームがあって、興行として卓球の試合が観戦できる設備と環境、そして何よりもそれをサポートし、観戦しにくる地元の人々がいるという点です。
この日、試合観戦にきていたマティア(Mattia Cavagna)さん。本人もアマチュアのクラブ会員ですが、都合がつく限り、必ず応援に駆けつけていると話します。


写真:試合を観戦中のマティアさん/提供:Takaohead

熱心なファンの声

――いつも応援に駆けつける理由は何ですか?

「僕はこのクラブのチームメイトや友人たちが集まるアットホームな雰囲気が大好きで、これはとても大事なことだと思う。そしてSuper Divisionチームのレベルはもちろん、Youtubeで見るようなレベルではないけれど、僕たちアマチュアレベルからしたらとてもたどり着けないようなレベルには間違いない。それがいつも自分のクラブで、ライブで目の前で見れるんだから最高さ!」

――かつてはセイブ選手がいましたが、今の選手たちはあなたにとって、どのような存在ですか?

「もちろん、彼らは国際的なスター選手ではないけれど、ベルギー内ではみんな20位以内のトップレベルだ。そしてまだまだ20代と若く、これからもっとレベルアップするだろう。こうしたプレイヤーが自分と同じクラブであるということは、とっても誇れるし、僕たちの特権だと感じている。そして、卓球を始めたばかりの子供達にもとっても良い影響を与えてくれるしね!」

参考になることが多い

いかがでしたでしょうか?
自分たちが暮らす街に密着したプロチームが活動してれば、それはまさに本当の「ホーム」であり、自然と一体感が醸成されていくんだなあと感じました。

個人的には地域に根ざしたクラブ・施設が拠点として存在し、頂点にはプロチームが、そして大人のアマチュアから子供まで集ってプレーしているというのは羨ましいですし、Tリーグや、中学部活動の地域・民間への移行と、変化を求められる日本のスポーツ事情からしても、参考にできる点が多くあると思いました。

次回は、プロにも負けていない!?アマチュアたちの熱狂の試合事情をご紹介します。

>>第2話 毎週深夜まで試合 熱いベルギーアマチュア卓球事情の現場 に続く)