チャンスボールを決めきる3つの方法|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:松土文也(東洋大)/撮影:ラリーズ編集部

卓球プレーヤー向け チャンスボールを決めきる3つの方法|頭で勝つ!卓球戦術

2022.06.06

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は「チャンスボールを決めきる方法」というテーマでお伝えしていく。

中学生や高校生などを指導していると、「チャンスボールをうまく決められない、ミスしてしまう」といった悩みを聞くことがしばしばある。文字通りチャンスとなるボールであり、確実に1点が奪えるボールなのだが、それをミスしてしまうのは言わずもがな非常にもったいないことだ。

ただしチャンスボールというのは、普通のラリーの中では来ないボールなので受ける機会が少ない、というのもまた事実である。ということは、チャンスボールを打ち慣れていなければ、ミスをして当然というわけである。となれば練習が必要だ。

そこで今回は、チャンスボールをミスせず決めるための方法やその練習メニュー、心構えなどについてお伝えしていく。

チャンスボールを決める方法①:ステップバックをする

この悩みを持つ選手達に必ずといっていいほど共通している問題点がある。それは、「チャンスボールだ」と認識しながらボールを見てしまって、足が止まっているということだ。

ここでいうチャンスボールというのは、ふわっと浮いた山なりのボールだ。こういったボールが来た時は、打つまでにほんの少しの時間的余裕が生まれる。その時間があるにも関わらず、ふわーっと浮いたボールを見てしまっているのである。そして結果的には、ボールとの適切な距離が取れなくなり、詰まってミス、あるいは遠すぎてミス、となってしまうわけだ。

そこで、チャンスボールを打つ際に必ず行いたいのが、ボールが浮いてきたときに意識的に足を動かして一歩下がるということだ。

このようなステップバックの動きを取ることで、ボールや台との距離を確保できるため、しっかりと足を踏み込んでチャンスボールを打ち込むことができる。ボールが思っていたよりも飛んでこなかった場合でも、前方向への踏み込みを調節すればよいため、比較的簡単だ。しかし逆に詰まってしまった場合は、後ろ方向へ踏み込みを調節することは非常に困難である。

そこまで大きく後退する必要はないが、そういった意識でステップを踏むことが大切なのだ。また、足を動かすことで次への動きがスムーズになるというメリットもある。浮いて返ってきた場合の意識的なステップバックは、ぜひやってみてほしい。

チャンスボールを決める方法②:決めようとしない

決めきる方法というタイトルとは矛盾するが、決めようと思うと力んでミスをするものだ。

チャンスボールに対して大切なのは「その1球で得点を決める」ことよりも、「ミスをしない」ということである。10割ではなく8割の力で打つとか、厳しいコースではなく安全なミドルに打つ、といった形で、より入る確率が高い打ち方を選択するようにしよう。

仮に、チャンスボールを相手になんとか凌がれたとしても、返ってきたボールも大抵の場合は再びチャンスボールである。そのボールに対してもしっかりとミスせず決めることを繰り返していれば、自ずと自分の得点になるはずだ。チャンスボールを何本も連続で打てるようになれば、自分の自信にも繋がり、ミスをする確率も減るという好循環になるはずだ。

チャンスボールを決める方法③:チャンスボールを打つ練習をする

さらに当たり前のことだが、ほとんどの人はチャンスボールを打つという練習をしていない。そのため、競技経験の浅いプレイヤーこそ、この練習を取り入れるべきである

オススメの練習メニューは、やはり多球練習だ。送球者はロングボールを早いテンポで数本送り、何本目かでふわっとしたボールを送ってやるのだ。練習者はとっさに来たふわっとしたボールに対して、しっかりと強打ができるよう練習しよう。コースや高さ、深さといったものにも変化をつけてやることも忘れてはならない

さらに、それがある程度できるようになれば、そのふわっとしたボールを2回、3回と連続で送ってやる。先程の話にあった、凌がれた後の2本目3本目のチャンスボールを想定しているわけだ。ここまできっちり決められるようになれば、技術的には問題ないだろう。

さらに言うなれば、このチャンスボールを競り合いの緊張した場面でも確実に決められるようにしなければならない。終盤の局面でチャンスボールが来たときも、平常時と同じように打てるようになって初めて意味がある。

そのための練習としては、先程の多球練習の中でもう1名受け手の選手を使うというのがいいだろう。打ち手となる練習者はミスしたら負け、受け手の選手に3球返されたら負け、というようなゲーム感覚でやるのはどうだろうか。こうすることで、ミスをしてはいけないけれども、甘すぎるボールを打ってもいけない、という状況を作ることができる。負けや方はトレーニングというペナルティを課す形でやるのもよいだろう。

ちなみに、チャンスボールを打つときはスマッシュとドライブのどちらにするべきか、という悩みもあるだろう。理想を言えばスマッシュがよいが、ドライブ全盛の現代卓球では、スマッシュができない選手も少なくない。その場合はドライブでも構わない。自分自身に合った打法で、しっかりとミスせずに入れられるようになることが大切である。

まとめ

今回はチャンスボールを決めきる方法というテーマでお伝えしてきた。経験の浅い方に限らず、チャンスボールに対して苦手意識がある方にとっても今回の内容は参考になるのではないだろうか。ぜひ一度紹介した練習も取り入れて頂ければ幸いである。

若槻軸足インタビュー記事

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