卓球台を触る3つの理由 手汗対策だけではなかった意味とは | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:グランドファイナルでの水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

卓球プレーヤー向け 卓球台を触る3つの理由 手汗対策だけではなかった意味とは

2020.01.24 文:若槻軸足(卓球ライター)

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。

このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明や、そのやり方、対処法などについてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。

いよいよ2020年。東京五輪を目前に控えて、競技に対する報道や情報を目にする機会も増えてきたのではないだろうか。卓球ももちろん例外ではない。リオ五輪日本代表選手の活躍以後は特に顕著で、試合のテレビ中継やスポーツニュースなど、明らかに卓球に関する事柄を観ることが増えた。

それはすなわち、卓球を経験していない方の目に多く触れることになったということである。となると、卓球経験者でない方にとっては、何をしているのか分からないようなルールや選手の動き等があるだろう。

今回はそのなかでもよく聞かれる、「選手が卓球台を触る理由」についてお話しよう。

>>室内競技・卓球が「雨に悩まされる」理由とは

「選手のみんな試合中に卓球台に触るのは何でなの??」

Tリーグの岡山リベッツの試合を観戦した、Jリーガーの金山選手は、ツイートで「選手のみんな試合中に卓球台に触るのは何でなの??笑」と素朴な疑問を投げかけている。

私も卓球経験のない妻が、初めて試合の応援に来てくれた際に、同じことを聞かれたことがある。なぜ選手はプレーの合間にたびたび卓球台を触るのか。それも、どうもわざわざネット際のところまで行って触っているように見えると。

選手がプレー間に卓球台を触る3つの理由

手汗を拭くため

選手がプレー間に卓球台を触る一番の理由は、手汗を拭くためだ。岡山リベッツの吉田雅己選手もそのように回答している。

競技中、選手たちはもちろん汗をかく。卓球にとって水分や湿気というものはかなり邪魔なものなのだ。たとえば汗をかいた手でラケットを握れば、当然手が滑る。そしてラケットを持っていない手は、ボールを触る。ボールに汗がつけば、当然ボールを打つラバーにも汗がつくことになる。

卓球はわずか2.7gほどのボールを、小さなテーブルで打ち合う非常に繊細なスポーツだ。少し汗がついただけでも、ボールが滑ったり、イレギュラーなバウンドをしたりと、プレーに影響が出るのは言うまでもない。選手たちはそのようなことを非常に嫌うのだ。なので汗をしっかりと拭き取り、プレーに影響が出ないよう心がける必要がある。


写真:張本智和も台の隅で手汗を拭く(写真は2019韓国OP時)/撮影:ラリーズ編集部

「では、タオルで拭けばいいのでは?」

と思う方もいるだろう。しかし試合中は、両者6ポイントごとのタイミングでしかタオルを使ってはいけないというルールがあるのだ。なのでタオルが使えないときは、卓球台に手を触れることによって、汗を拭っているのだ。

ただそうすると、「卓球台に湿気が移って影響が出てしまう」ということももちろん考えられる。そのため、あまりボールがバウンドすることのない、ネット際のギリギリの部分を使って汗を拭いている、というわけなのだ。

なんだかこう聞くと、あまりお行儀がよいとは感じがたいが、トップ選手達でも、アマチュアの選手達のなかでも一般的な慣習として浸透していることである。

同様に「汗や湿気を取り除く」という理由では、ボールをポケットに入れて拭く、ボールやラケットに息を吹きかける、といった仕草もしばしば見かけることがあるだろう。

>>室内競技・卓球が「雨に悩まされる」理由とは

メンタルコントロールのため


写真:世界王者・中国の馬龍(写真は韓国OP時)/撮影:ラリーズ編集部

次の理由が、メンタルコントロールだ。いわゆるルーティンというやつである。2015年のラグビーワールドカップで五郎丸歩選手が、キックの際に必ず行う「儀式」としてルーティンという言葉が注目された。それと同じようなもので、選手の中には「プレー間に卓球台を触る」ことをルーティンとして行っている人も多くいる。

つまりそのような選手は、別に汗をかいていなくとも必ず台を触る。むしろそれをしないと、すんなりとプレーに入れない。もはやそれ自体がプレーの一部となっているというわけだ。

・台を触る
・ボールをポケットに入れて拭く
・ボールやラケットに息を吹きかける
・ラケットで軽く玉突きをする

こういった仕草をルーティンとして行う選手は多い。
引退したイチロー選手も、バッターボックスに立ち、ピッチャーが投球する前に必ずバットをピッチャーに向かって突き出していただろう。

相手の流れを断ち切るため

卓球にはメンタルの割合が非常に大きな部分を占める。小さなボール、小さなテーブル、そして緻密で高速な回転。それらを扱う卓球は、ほんの少しの気持ちの変化でミスが生まれ、ほんの1点で試合の流れが大きく変わるスポーツだ。

自分のいい流れが来ているときはいいが、相手が流れに乗っているときは、なんとかして流れを断ち切らないといけない。そういった際に使うのが、「間を取る」という方法だ。

タオルを使う、靴紐を結ぶ、そして卓球台を触る。そういったことで時間を使って、なんとか相手の勢いを止める工夫をしているのだ。

相手の表情のわずかな変化に気付いたり、掛け声だったり、こういったほんの少しのことでも、試合の流れは大きく変わる。それが卓球という競技の難しさでもあり、面白さでもあるのだ。

>>「卓球センスがある」とはどういうこと?|頭で勝つ!卓球戦術

>>「卓球が上手い」と「卓球が強い」はどう違う?|頭で勝つ!卓球戦術

まとめ

今回は卓球経験のない方がしばしば疑問に感じる、選手がプレー間に卓球台を触る理由について話してみた。そこには合理的な理由と、選手が普段通りの調子を維持するため、そして相手の調子を崩す為、といった様々な要因を見つけることができた。

なかにはシューズの裏で手汗を拭くという選手や、コートを囲うフェンスでラバーの埃を拭く、といった選手もいる。そういった、選手のプレーの最中だけではなく、プレー以外の時間の細かい仕草や癖などに焦点を当ててみるのもおもしろい。次からはそんなところにも注目すると、また違った卓球の見方が出てくるのではないだろうか。

若槻軸足の記事一覧はこちらから

「若槻軸足」の記事一覧へ

男子ランキング
2020.09.20
世界
日本
1
樊振東(中国)
17915 pt
2
許キン(中国)
17260 pt
3
馬龍 (中国)
15525 pt
1
張本智和(日本)
13245 pt
2
丹羽孝希(日本)
9570 pt
3
水谷隼(日本)
9045 pt
女子ランキング
2020.09.20
世界
日本
1
陳夢 (中国)
17915 pt
2
伊藤美誠(日本)
15440 pt
3
孫穎莎 (中国)
15165 pt
1
伊藤美誠(日本)
15440 pt
2
石川佳純(日本)
11100 pt
3
平野美宇(日本)
10815 pt