ブロックの基礎を習得するための3ステップ|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ ブロックの基礎を習得するための3ステップ|頭で勝つ!卓球戦術

2023.11.25

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

今回は初心者の方に向けたブロックについての技術解説だ。

中学生など、卓球を始めたばかりの初心者の選手にとっては、ブロックという技術ができるか否かで試合の結果を大きく左右することになる。相手が攻撃してきたボールを1本ブロックで止めることができたら、それだけでトーナメントで1、2回は勝つ回数が増えるだろう。

今回はそんな重要なブロック技術を覚える為のポイントについて解説していきたい。

>>ブロックマンという戦型をオススメする3つの理由|頭で勝つ!卓球戦術

ブロックの基礎を習得するための3ステップ

それでは早速、ブロックの基礎を習得するための練習を解説する。

ステップ①:コースに反応する

ではブロックを習得するための練習だが、まずは多球練習で行うのが良いだろう。配球者にバックサイドから緩めのドライブボールを送ってもらい、それをバックハンドでブロックをする練習だ。


写真:ブロックは大事な技術/撮影:ラリーズ編集部

しっかり前傾姿勢で構えて、体の正面でラケットを構えよう。このとき腕が伸び過ぎて体が遠いと安定しないし、逆に腕を曲げ過ぎていると相手のボールの威力を抑えられない。頃合いをはかるイメージとしては、体の前で大きなボールを両手で抱えて持っていることを想像しよう。そのときの手の位置がひとつの目安となるだろう。そのぐらいの距離感でボールを捉えることを意識しよう。

このときバック側にボールを送ってもらうということになっていても、来るコースは毎回微妙に違うはずである。大きくコースがずれたときは、その方向に足を使って動き、なるべく毎回体の正面で捉えられるように練習したい。ボールに対しておへそを正面に持っていくようなイメージだ。そして足を動かしたときは、素早く元の位置に戻って次のボールにしっかりと備えよう。

ステップ②:適切な打球点へ迎えに行く

ボールが来るコース、つまり選手から見て「左右」の位置取りを調節するのと同時に、ボールの打球点、いわば「前後」の位置も合わせなければならない。つまり相手のボールがこちら側の卓球台にバウンドした直後なのか、バウンドの頂点なのか、はたまた下降しているときなのか、技術それぞれにとらえるべき適切な打球点は変わってくる。


写真:ブロック/撮影:ラリーズ編集部

ことブロックの場合は、バウンドの直後をとらえるべきである。そのためには、飛んでくるボールの落下地点がどのあたりになるのかを素早く判断して、そのポイントまでラケットを持っていく必要がある。

一般的に人間の目は左右の判断よりも前後の距離感を図るほうが苦手とされているので、慣れるまでは難しいだろう。これに関しては多球練習で多くのボールに触れて、練習のなかで感覚をつかんでいこう。

ステップ③:ラケットは縦に使う

続いてラケットの使い方についてである。相手の攻撃、特にドライブの強烈な上回転に対して、オーバーしないようしっかりとブロックするためには、ラケットの面を十分に被せた角度で返球する必要がある。そのためには、ラケットを横に使うよりも縦に使う方がやりやすい。ラケットヘッドが横方向に向くのではなく、相手の頭の方向に向くような形だ。


写真:ラケットは縦に使う/撮影:ラリーズ編集部

ブロックの名手、松平健太選手のプレーを見ると、フォアブロックもバックブロックもラケットを縦に使っているのがよく分かるだろう。


写真:鉄壁のブロックを誇る松平健太/提供:ittfworld

ラケットを縦に使うと、その状態からスイングして強いボールを打つことは難しいが、格段にラケット面を被せやすいし、脇が閉まって安定しやすいのだ。もちろん個々人によってグリップの特徴などもあるので、必ずこの通りにする必要はないが、意識にとどめておくとよいだろう。

よくあるダメなブロックの例

例①:腰が引けて手を伸ばし過ぎている

初心者の方でありがちなのが、打球する際の前後の距離が合っておらず、へっぴり腰で腕が伸びた状態になってしまうことだ。


写真:良くない例 腰が引けて手を伸ばしすぎている/撮影:ラリーズ編集部

これでは相手のボールの威力に負けてしまったり、安定しづらかったりするので、こうならないように注意したい。特に卓球台の浅くに入ってきたループドライブなどに対して起こりがちである。

腕を伸ばすのではなく、しっかりと足を運んで、ボールの落下地点まで迎えにいくようにして、適切にとらえられるように注意しよう。

例②:ボールを打つ意識が強すぎる

こちらも初心者でありがちなのが、ブロックのときもボールを打とうとし過ぎているケースだ。

あくまでブロックは、自分からボールに力を加えるのではなく、相手の力を利用して返球する技術なので、しっかりとリラックスをして肩の力を抜いた状態で臨むことが大切だ。ボールを「打つ」のではなく「壁」を作るイメージだ。

さらに言えば、相手の攻撃を跳ね返すというよりも「吸収する」というイメージを持てば、よりブロックの上達に近づくだろう。飛んできた生卵を割らずにキャッチするような感覚を身につけることができれば、ブロックのバリエーションも広がるので、中級者の方などはぜひ意識してみて欲しい。

まとめ

今回は初心者の方に覚えて欲しい基本的なブロックのやり方についてお伝えした。卓球を始めたばかりの初心者同士の戦いだと、ツッツキ合いの中から攻撃をして、攻撃が入った方が勝ち、という展開になりがちである。

そんな状況の中で、ブロックを覚えたらすぐにワンランクレベルアップすることは間違いないだろう。

将来、中級・上級とステージが上がっていっても、このブロックという技術は試合を大きく左右する要となるので、ぜひとも早い段階でマスターしておきたい。今回の記事がその助けになれば幸いである。

若槻軸足インタビュー記事

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