戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。
今回はループドライブのコツというテーマでお話をしたい。
ループドライブは競り合いの場面では非常に有効な技術である。“ドイツの皇帝”ティモ・ボル選手のように、ループドライブを主軸の武器として戦うスタイルの選手もいるほどだ。どんなプレースタイルの選手であろうと、ループドライブは必須の技術であることには間違いない。
今回は初心者向けに、ループドライブを習得する為の練習法や意識するポイントについてお伝えしたい。
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このページの目次
ループドライブを習得するステップ①:腕の使い方を習得する
さて、まずはドライブを打つ感覚からお伝えしたい。部活動などで、初めて「競技」としての卓球をはじめた際は、回転をかけるという感覚を身に付けることから始まる。ドライブとは、ボールに上回転、つまり台に着地したときにぐんと前進する回転をかけて打つ技術である。そのためにはまず、上回転をかける感覚をつかむ必要がある。
その際のオススメの方法をお伝えしよう。
写真:ループドライブ練習法/撮影:ラリーズ編集部
まず卓球台から1mほど離れたところにタオルを敷いて、膝立ちをしよう。このときは卓球台に対して正面ではなく、やや右足を下げて斜めになるように構える。そして左手でボールを持って右膝の前のあたりに置き、手を離して床にバウンドさせよう。バウンドして頂点から落ちたあたりのところで、ラケットを被せ気味の角度にし、擦り上げるように打球してドライブを打ってみるのだ。
ネットを超えて相手側のコートに入り、着地したときにグンとボールが伸びていればしっかりと回転がかけられている証拠である。
最初はボールが台の高さまで届かないことも多いだろう。ただそれを意識するあまり、ラケットの面を開きすぎてしまうと、本末転倒である。
写真:ループドライブ練習法/撮影:ラリーズ編集部
ラケット面を開くと、スマッシュのようにパチンと弾くような打ち方になってしまうので、それではうまく台に入ったとしても、全く威力のないボールのはずだ。卓球台より低い位置から打って、かつしっかりとラケット面を被せることで、ボールを擦り上げる感覚を掴むことができるのだ。
ここでしっかりと回転をかけて台に入れることをマスターできていなければ、次のステップに進むのは難しいので、しっかりと練習して確実にものにしよう。
ループドライブを習得するステップ②:膝の使い方を習得する
続いてのステップは、先程と同じことを立って行う。
写真:ループドライブ練習法/撮影:ラリーズ編集部
立って構えた状態から、ボールを手から離し、床でバウンドさせて頂点から落ちたあたりで打球するのだ。このとき、腕だけではなく膝を使って打球することを心がけよう。
バックスイングをとりながら右足に体重を乗せ、力をぐーっと溜めて、ボールを打つと同時に右足で床を蹴って体重を左に移す。このとき、なるべく台より低いところで捉えて打つことが大事だ。低い位置から擦り上げて打つことで、半ば強制的にドライブ回転をかけるということを身に付けさせることができるのだ。
さらに、先程は腕の力だけで打っていたので、結構しんどかったかもしれないが、ここでは膝も使えるので、腕だけに力を入れすぎないように注意しよう。腕は打つ瞬間に力を込める程度にして、膝で蹴る力と合わせてボールに伝えることを意識しよう。
ループドライブを習得するステップ③:ボールに合わせた打ち方を習得する
先程までのことがしっかりと習得できたならば、今度はいよいよ多球でボールを送球してもらい、ひとつひとつのボールにしっかりと動いてループドライブを打つ練習だ。
写真:ループドライブ練習法/撮影:ラリーズ編集部
送ってもらうボールは、まずはナックルで構わない。フォア側で少しコースを散らして送球してもらい、ひとつひとつのボールに脚を動かし、しっかりと位置を合わせてループドライブだ。
打球点は落ちてもかまわないので、毎回同じフォームで、しっかりと回転をかけることを心がけよう。フォア側がある程度カバーできるようになったら、同様にバック側にコースを散らして送ってもらい、回り込んで打つ練習だ。
ナックルでうまく打てるようになったら、今度は下回転をかけたボールを送ってもらおう。下回転に対しては、腕の力だけで持ち上げようとするのではなく、膝をよりしっかりと使って打球するように心がけよう。
ただし、上に飛び跳ねすぎないように注意したい。右足で溜めた力を、上ではなくて前へ、ボールにしっかりと伝えるように意識してみよう。このループドライブはカット打ちの際にも、相手の切れたカットを持ち上げる、つなぎの技術として必須となってくるので、ぜひともマスターしたいところだ。
まとめ
いかがだっただろうか。今回はループドライブの習得方法のコツについてお伝えした。
私も初心者の中学生などを指導することがあるのだが、その際もまずは今回のように膝立ちをして行う練習から始めさせている。この練習のメリットは、「ボールに合わせて動く」ということを取り除くことができる点にある。
卓球は常に動くボールを打ち合う競技なので、“同じ場所に”ボールが来ることはありえない。そのため一つ一つのボールに対して、自分の身体を動かして合わせていくのが非常に大切になるのだが、これがまた難しいのだ。
なので、今回のように自分でボールを一度床に着地させて打つというやり方は、おおよそ”同じ場所”で打つことがので、初心者に向いているというわけだ。同じ場所のボールを打つことが習得できてから、違う場所に来るボールを打つ練習へ移行する、というステップを踏むため、練習者も指導者側も、改善点などを切り分けて考えることができ、非常にオススメである。
ぜひ参考にして、今後の練習に取り入れて頂ければと思う。
そしてもちろんループドライブについても、困ったときに助けてくれる強力な武器となりうる技術なので、しっかりマスターして、試合で有効に活用していこう。
若槻軸足インタビュー記事
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