ブロックマンが勝つために必要な2つの戦術|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:ブロック/撮影:ラリーズ編集部

卓球技術・コツ ブロックマンが勝つために必要な2つの戦術|頭で勝つ!卓球戦術

2020.08.25

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

このシリーズでは、初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明やそのやり方、対処法などについてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。

さて今回も、前回と前々回に引き続き、「ブロックマン」という戦い方についての内容だ。

本記事では今までの内容を踏まえて、より具体的な内容に踏み込んで、実戦で使える戦術をお伝えしたい。これからこの戦型を目指す人や、すでに取り組んではいるがさらなる上達に向けてのヒントが欲しい方に参考にして頂きたい。

>>前回の記事はこちら ブロックマンという戦型をオススメする3つの理由|頭で勝つ!卓球戦術

>>前回の記事はこちら ブロックマンで戦う為に必要な3つの心得|頭で勝つ!卓球戦術

サービスからの展開


写真:サービス/撮影:ラリーズ編集部

まずはこちらのサービスからの展開だ。

下回転を打たせてから振り回す

オーソドックスな下回転サーブをバックに出してからの展開を考えてみよう。

基本的にバック前に下を出したら、フォア前にストップされるかバックにツッツキされるかのどちらかであることがほとんどだ。そのどちらが来ても、相手のフォアサイドへツッツキを送る。このときなるべく台の深くを狙うことを心がけよう。

無理に回転を強くかけようとしなくて大丈夫だ。フォアサイド深くへツッツキ、よっぽど相手が万全の体勢でない限り、クロスであるこちらのフォアにドライブで返してくるだろう。それを落ち着いて再度フォアサイドへブロックする。ドライブが甘ければカウンターを叩き込んでもいい。フォアミドルへを送るのも面白いだろう。

大切なのは、この1本目のブロック、つまり5球目で安易にストレートを狙って相手のバックを詰めないことだ。

相手をフォアへ動かして、バックに詰めるというのは、基本的には有効な戦法ではあるが、必ずしもそうとは限らない。人間は右に大きく動いたら、その後は元の位置に戻ろうとする習性がある。そのため、フォアを攻めてバックを攻める、というのは実はスムーズに対応されてしまうケースも多いのだ。

そこでその習性の逆を突いて、フォアを狙ったらその後もう一度フォアを狙うのだ。これは「二度突き」とか「ダブルコース」などと呼ばれたりもする。

これを上手く使って、予測の逆をついて反応を遅らせ、少しでも台から下げさせることを意識するといい。うまく台から下げることができたならば、あとはこっちのものだ。

台から下げさせることができれば、ブロックも容易になるし、前後の揺さぶりもかけられるし、左右の揺さぶりも幅が広がってより効果的になるのだ。そして一度下がったら、ラリーのなかでうまく前陣に戻ってこれる選手はそういないだろう。一度相手を下げることに成功したら、まず有利な展開になると考えて頂いて間違いない。

まずはとにかく相手を台から下げさせる。そのためには、早い段階で相手のフォアサイドを狙うことが必須である。

レシーブからの展開


写真:レシーブ/撮影:ラリーズ編集部

続いてはレシーブからの展開だ。ここでは相手のサービスの回転が分かる場合と、分からない場合に分けて考えてみよう。

回転が分かる場合はバック深くに詰める

まず回転が分かったのならば、適切なレシーブを相手バックサイドに送る。このときもやはり相手の台の深くに送ることを意識してもらいたい。

うまくレシーブができていれば、クロスで相手の攻撃を待とう。回り込んできたのならブロックを相手の空いているフォアへ送る。

その後は先程サービスからツッツキでフォアを攻めたときと同じ形だ。バックドライブで攻めてきたのなら、次はできるだけバックサイドを割る厳しいクロスへブロック。その後にフォアへ振って相手を下げさせる、という具合だ。

回転が分からなければフォアに

そして次に相手のサーブの回転が分からなかった場合は、フォアへレシーブすることをオススメする。このときは、レシーブが甘く浮いてしまって、3球目で強打を叩き込まれることを常に想定しておきたい。そして実際にレシーブが浮いてしまったときも、フォアサイドなら撃ち抜かれる可能性をある程度抑えることができる。

なぜなら、バックサイドへ浮かせてしまうと、相手は回り込むことで台の内側へ踏み込んだ攻撃ができるからだ。そうなると、受け手としては非常にコースが読み辛いのだ。

一方でフォアサイドなら、たとえ浮いたとしても、回り込むことができず卓球台が邪魔になるので、窮屈になる分ミスをする可能性も持たせることができるのだ。相手がドライブ型であればなおさらである。そしてこの際もクロスで待てばよいだろう。強い球が来るのに備えてやや距離をとってしっかりブロックしよう。

3球目をブロックできたらラリーに持っていく

3球目を上手くブロックができたらあとは先程と同様に、ラリーでなるべくフォアサイドを上手く使って相手を下げさせることを意識しよう。

また、ラリーになってからも常に反撃の機会を伺うことを忘れないで欲しい。相手が打てずにつないできたときや、打点を落として来たときはチャンスだ。迷わず強打をお見舞いしよう。ブロックマンだからといってブロックだけしていれば勝てるかと言えば大間違いだ。

・カットしかして来ない
・カットを主体に、攻撃も織り交ぜてくる

怖いのはどちらだろう。間違いなく後者だ。それと同じでブロック一辺倒ではなく、攻撃も織り交ぜることで、常に相手にプレッシャーを与えることができる。その結果、相手は多少無理をしてでも強気で攻撃をせざるをえず、ミスを誘うことができるのだ。

まとめ

今回はブロックマンの戦術について考えてみた。ブロックマンは長くラリーを続けて粘り勝つというスタイルなので、大切なのはいかに3、4球目といった早い段階で決められないようにするかだ。

そのためには、台の深くへボールを送ることや、強く打たれても対応がしやすいコースへ送球しておくことが非常に大切になる。

「どんなボールにも反応する神がかった反射神経」などといったものは誰も持っていない。なので、「こういう攻撃が来るだろう」という予測が立つように、一つ前のボールを意識することが何よりも大切なのである。

若槻軸足インタビュー記事

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