文:ラリーズ編集部
卓球の低年齢化が進む中、遅咲きで全国大会を目指す選手に送る本企画。第6回のテーマは、試合に臨むための準備についてだ。
今回も中学から卓球を始めた卓球歴3年の宗萌美さん(千葉商科大学附属高校1年生)をモデルに、プロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。
原田氏は今回「正直腹が立っています」と怒り心頭だ。その理由について見ていこう。
原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。
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このページの目次
今回のあらすじ
高校から全国を目指すためには、今の自分のポジションを知る必要がある。
そのための宿題として原田氏は宗さんに「自分が今、千葉県で何位に位置するかを把握せよ」という宿題を出していた。
>>【宿題が出された回】中学スタートで全国大会を目指すために大切な“初期設定”とは
ところが…。
春の県大会に出場した宗さんは、初戦で敗れてしまったうえ、大会の参加人数を把握していなかった。また試合のビデオも操作ミスにより撮影が出来ていなかったことが判明する。
原田コーチと試合を振り返る宗選手
原田氏は「これでは何人中何位だったかが分からない。ポジションを知るための最初の入り口に立っていない」と苦言を呈す。また、手元にトーナメント表やビデオなどが無いとコーチも現状が把握できず、話ができないと呆れてしまう。
試合後の反省会の様子 2:30〜
なお、宗さんが敗れた相手は、トーナメントを勝ち上がり、千葉県大会でベスト32に入った。フォア表、バック裏ソフトの相手選手に対し、フォアが表ソフトということで相手のフォアハンド攻撃を警戒した宗さんは、序盤からバックにボールを集める戦術を選択した。ところが、相手は実はバックハンドの方がうまく、リードを許してしまう。
試合の後半でコースを変え、フォアに切れた下回転を送ったところ相手のミスを誘うことに成功したというが時すでに遅し。ゲームカウント1-3で敗れてしまった。
宗さんは「もっと早くフォアを攻めていればよかった」と反省。原田氏は、試合内容の分析については一定の成長を認めたものの、ビデオが無いため「宗さんの分析が正しかったのかどうか、会話ができない」点を残念がった。
原田コーチのコメント
原田:全体的に「これから全国大会を目指したい」と思う選手の行動ではなかった。あまりに意識が低く、これでは厳しい。卓球が好きです、楽しいです、強くなりたいですと言っているだけで、入り口に立てていない。
2年後の引退までに全国に行くためにはどうしていくのか、もう一度考えていかなければならない。
卓球の勝負は技術課題だけではない。
このまま行ったら、試合する前に負けてしまう。試合への身構えや準備について厳しく考えるべきというのを、今日は伝えたいと思います。
今回のまとめ
図:まとめ/作成:ラリーズ編集部