卓球技術・コツ 【高校卓球】「用具も含めて卓球」変な癖を抑え込むために用具の力を借りる
2021.12.31
卓球の低年齢化が進む中、遅咲きで全国大会を目指す選手に送る本企画。第10回のテーマは、「用具の力を借りる」についてだ。
今回も中学から卓球を始めた卓球歴3年の宗萌美さん(千葉商科大学附属高校1年生)をモデルに、プロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。
原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。
このページの目次
宗さんの現状
原田:ラケットが当たった瞬間に手首が動いてボールが変な方向に動いてしまうという癖を発生させてしまったことにより、なかなか活路を見いだせない状況が続いています。
そこで2つの用具の力を借りることにしました。
ラバーとサポーターの力を借りる
原田:1つめはラバーです。今回変な癖がついてしまったことを受けて宗さんはラバーを変えたのですが、以前よりもボールを短く止められるようになって、相手からすると嫌らしいボールが出せるようになりました。
2つめはサポーターです。手首が動かないように固定しています。
この2つの用具を用いることで癖が少し緩和されて、本来自分がやりたいと思ってできなかったことを「抑え込んでいる」感じにはなっています。
「抑え込んでいる」というのもポジティブに考えると、自分がこの用具を使うことによって少し安心できる、つまり精神面での不安材料を少しは削れるという風に考えられます。
ネガティブに考えると、感覚技術を育てにくい状態が続いているので、用具に頼らないとうまく改善できない、という感じです。
個人的には用具も含めて卓球なのではないかと考えていて、用具が本人にとってプラスの要素になるのであれば、僕はすごく良い選択だと思っています。
「全部受け入れなければいけない」
原田:課題の根本的なところは変わらないのですが、用具によって助けられる部分もあるんだなと感じました。
今は、新しい技術を取り入れるという段階ではなくて、本人が上手くできないところをどうやって修正していくかという段階です。
当初は全国大会を目指すために徐々にステップアップしてやっていこうと考えていたのですが、今はそれができていない状態でした。さらにそこに今回のようなことが起きてしまったのですが、これを完全に抑え込むことは難しい。
(宗さんには)上手くいかないことも変な癖がついてしまうことも全部受け入れなければいけない、ということを説明しました。それをまずは肯定して受け入れてもらって、それを踏まえて、本人が少しでも楽しんで次のことを考えられるようになっていければいいなと思っています。
原田コーチの指導の様子 2:56~
原田コーチのコメント
原田:今回も試合の動画を撮っていなかったので本当はガツンと言いたかったのですが、宗さんは今不安なところがたくさんある状態なので、注意するのはやめました。
ただ、試合動画は練習と試合での違いやその日の調子や雰囲気を知るにはすごく良い材料なので、次は撮ってくるように言いました。
しばらくは、上手くいかないことをどうやって良くしていくか、ということに重きをおいていきたいと思っています。その後に何か新しいことが見えてくれば良いかなと思っています。