卓球技術・コツ 【初心者必見】順横回転サーブの活用方法|卓球基本技術レッスン
2019.02.26
戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明と、そのやり方についてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。
(特に記述がない限り、右利きの選手を想定している)
今回紹介するのは横回転のサーブの中で、とりわけ初心者でも簡単に出すことの出来る順横回転のサーブについてのお話だ。
なお、以前の記事でもその出し方については詳しく述べているので、そちらも合わせて読んで頂きたい。
順横回転のサーブとは
順横回転とは、一般的に右回転とも呼ばれ、サーバーから見て時計回りの回転になる。ボールの左側を捉えて回転をかけることで、この順横回転のサーブを出すことが出来る。
この回転は、相手のバックサイドに食い込むような軌道になる。バックハンドドライブや、フォアハンドでのシュートドライブも、同じような軌道を描く。そしてラケットに当たると、サーブの出し手のバックサイド方向に飛んでいく格好になる。
なので、相手も初心者で単純なレシーブが来ることを想定すれば、こちらのバックサイドに返ってくる可能性が高い。それを待ち構えて3球目を狙い打つことが出来る。
では以下からは、実戦でどういったコースを狙って順横回転のサーブを出すべきかを考えていこう。
順横回転サーブ3つの狙い所
①バック前
写真:ラリーズ編集部
まずは一番シンプルに、相手のバック側の短いところに出す戦法だ。順横回転は回転の性質上、相手が普通にレシーブするとこちらのバック側に返ってくるような飛び方をする。
なので、「70%くらいの確率でバック側に返ってくるだろう」というような待ちが出来る。また、横回転が入ったボールは短くストップすることが難しい。相手がストップをしてきたとしても、やや浮いたストップになりがちである。なので、基本的に台から出る長いレシーブが来ることを想定しておくと良いだろう。
また、バック前という場所はレシーブにおいてのトレンドかつ強力な「チキータ」が飛んでくるのを警戒しなければいけないコースだ。しかし実は、順横回転はチキータでは返しにくい回転なのだ。順横回転のボールに対して素直にラケットを当てると、相手のバック方向へ飛んで行ってしまう。それを防ぐためには、ボールの右側を捉えなければならない。
しかし、チキータという技術はボールの左側を捉えて回転をかける技術なので、サーブの回転に負けてバックサイドへアウトしてしまう危険が高い。
さらに、軌道的にもバックサイドへ逃げていく形になるので、うまくボールを捉えるのも難しい。もしチキータで返ってきたとしても、やや威力のない、安定性重視のボールであることが多いのだ。
以上の理由から、相手のチキータを封じる、あるいはチキータの威力を弱める為には、バック前に順横回転のサーブというのは非常に有効だと言える。
②バック深く
写真:ラリーズ編集部
今度はバック前ではなく、バック深く、それもサイドを切るコースへ速いスピードで順横回転を出してみよう。回転が強ければ強いほど、相手のバックサイドへ逃げていくようなボールになるはずだ。その為相手はバックハンドでレシーブしようにも、先程と同様にボールが逃げていく為に強い返球が難しく、返せるコースもクロスに限定されるのだ。
なので、なるべくサイドを切って、相手のバック側へ逃げていくように出すことを心がけよう。コースが厳しいほど、こちらのバック側に返ってくる確率が高くなる。
もし相手が回り込んでフォアハンドで対応してくるとしても、相手を詰まらせて、窮屈な体勢にすることが出来れば良い。そしてそうなれば、きっとクロスへ返ってくる。
③ミドル深く
写真:ラリーズ編集部
最後にもう一つオススメなのが、相手ミドルの深いところへ出す順横回転の速いサーブだ。コツとしては、相手側のコートでバウンドする地点が丁度ミドルになるように出してやる。すると、ちょうど相手がフォアハンドでレシーブしようとしたところへ、相手の体に食い込む形になり、非常に詰まった体勢になる。そうすれば、甘いつなぎのドライブで返ってくる可能性が高いので、3球目を狙い撃ちしやすい。
またその際でもやはりバック側へ返ってくる割合が高くなるので、3球目がかなり待ちやすくなるのだ。
ただし、相手の構えている位置によって、微調整が必要である。
ミドル=卓球台のセンターライン ではなく、
ミドル=相手のパンツの右ポケットの位置 ということを意識してコースを狙っていこう。
順横回転のデメリット
もちろん順横回転を出すことによってのデメリットもあるので、合わせてお伝えしておきたい。
ボールに回転をかけるということは、常に「相手に回転を利用される」というリスクも考えておかなければならない。例えば短く順横回転を出した時。先ほど順横回転に対してのチキータは、ラケットの角度を合わせるのが難しく、強いボールが打ちにくいと述べた。しかし逆に、フォアハンドのフリックの場合は角度がピタリと合うので、強いボールが返ってきやすいのだ。
また、フォアハンドでの「流し」といった技術も、順横回転に逆らわない、回転を利用したレシーブになるので、いいボールが返ってきやすい。さらに、相手が上級者であれば、流しをするのか、フリックをするのか、打つギリギリまで分からないような工夫をしながらレシーブをしてくる。これに対応するのはかなり難しい。
なので、相手が台上のフォアハンド技術が得意な場合は、順横回転のサーブを頻繁に出すべきではない、と言うことが出来る。
まとめ
今回は順横回転サーブの具体的な出しどころについてお伝えしてみた。
初心者の方にとって、新しくサーブを覚えることはとても大変であり、また嬉しいことでもあるだろう。だがしかし、サーブが出せるようになっただけでは試合では勝てない。そのサーブの特性をしっかりと考えて、どういう相手に、どういうコースで、どういう場面で出すべきか、といったところまで考えないといけない。難しいように思えるかもしれないが、それだけ複雑であるからこそ、卓球は面白いのだ。
しかしまずは何はともあれ、しっかり出せるようになること。マスターしたら、そのサーブの使い方に関して、この記事を参考に試行錯誤を繰り返していこう。