卓球技術・コツ 普通のサーブよりも強力!王子サーブの由来と打ち方
2017.07.01
文:ラリーズ編集部
*写真は王子サーブの使い手、日本代表の松平健太(木下グループ)
卓球未経験者でも、耳にしたことがあるかもしれない「王子サーブ」。あの福原愛がかつて愛用し、現在は松平健太も使っているテクニカルなサービスの一種です。
非常に回転量が多く、速度も速いスピードボールを打ち出すことができるものの、それにはとても高い技術が必要です。今回は、そんな王子サーブの特徴や練習方法、上達するためのコツをご紹介します。
このページの目次
王子サーブの由来と誕生秘話
王子サーブはボールを2〜3mほどハイトスし、落下しているボールの力をしゃがみながら切る高等テクニック。台上の高さ10cm以内で、ラケットを顔の前で縦に振り、裏側(バック)を使って打ち込みます。
手元はもちろん、下半身の脚力を使ってボールに回転を与えるため、非常に高いコントロール技術が必要。その分、うまく決まれば強烈な回転のボールをサービスすることができるのです。
このサーブはおよそ50年前、大阪の王子町にある王子卓球センターの作馬六郎が考案したもの。現在、彼が代表を務める卓球センターの名称が、そのままサーブ名の由来となっているのです。もともと卓球初心者だった作馬六郎氏が常連客に試合で勝ちたいがゆえに、サーブの研究に明け暮れた結果、この「王子サーブ」を思いついたという誕生秘話もあります。
王子サーブが持つ強み・弱点
王子サーブは、その速い速度と強烈な回転が強み。レシーブを苦手とする選手に対しては特に有効です。
一方で、相手がミスなく打ち返したボールには、王子サーブの強烈な回転が残って返ってくる事に加え、サーブ自体の動作が大きいので、3球目が難しくなる傾向があります。しかし、あらかじめ3球目までの試合展開を意識し、練習に打ち込めれば十分カバー可能です。マスターできれば強力な武器になるのは間違いありません。
王子サーブを使用していた選手
そんな王子サーブを実戦で使用しているのはプロ卓球選手が大半。実際に試合で使用していた選手は、・福原愛
・松平健太
・福岡春菜
などがあげられます。
王子サーブは上級者向け?
王子サーブは経験者であっても習得に苦労するテクニックです。そのため、初心者はまず基本的なテクニックを身に付けて、卓球のプレーに慣れましょう。
そんな王子サーブも、ここ数年で使用率が一気に減少しています。考案直後は日本選手を中心に流行していたのですが、海外選手に研究され尽くしたこと、動作が大きく隙を与えてしまうことが懸念され、プロの間でも少しずつ使われなくなりました。それでも、相手選手を翻弄させる“必殺技”として、習得することは損になりません。
王子サーブのコツと効果的な練習方法
そんな王子サーブの効果的な練習メニューには、代表的なものとして以下の流れがあげられます
1.あらかじめ天井に的のようなマークを付けておき、手の平から真っ直ぐ上にボールを投げます。マークに向かって正確に、何度も投げる練習をしましょう。
2.屈伸した後の身体バランスやフォームに気をつけてサーブを放ちます。ボールに強い回転がかかっているか、その都度確認するようにしてください。
そもそも王子サーブは、しゃがみ込んだときのバネを利用してボールに強力な回転を加えるサービス。身体のバネを生かせていないと、放ったボールの回転力が一気に弱まります。膝に力を入れて、強くしゃがみ込むのがコツです。
ラケットの当て方に関しては、落下中のボールが卓球台に対して低く入るようにタイミングを合わせ、ラケットの先端部分に当てます。インパクト時にラケットを左右に振れば横回転になり、下や斜め下に振り下ろせば下回転、横下回転をかけることが可能です。身体のバネで回転力を加え、手首のスナップで回転方向を決めるわけです。
また、福原愛や福岡春菜、松平健太など、王子サーブで有名な選手の動画をYouTubeなどで探し、その動画を参考に練習するのがおすすめです。実戦で使用しているプロ選手のフォームやボールの当て方などを細かくチェックしましょう。
ただでさえ難しい王子サーブのコツですが、最初のうちはボールに回転力を加えることだけに集中し、長い時間をかけてサーブしましょう。慣れてきたらスイング動作を少しずつ小さくしつつ、しゃがんだ後も早く戻るよう意識しましょう。王子サーブの大きな動作を、いかに小さくできるかがカギです。
加えて、王子サーブの特性を生かすためにも、“ここぞ!”という場面のロングサーブで使用するのがおすすめです。強力な王子サーブではあるものの、短く出すのが難しいこと、短く出すことでスピートが落ちてしまうことが考えられます。相手が上級者だと厳しいコースに返球される可能性も高くなり、中途半端な威力の王子サーブを放つのは、逆に命取りとなるのです。
マスターすればビッグサーバーの仲間入り
普段から「どこにサーブを打つのが効果的なのか」、「対戦相手は○○が苦手だからあのコースに打とう」と意識し、王子サーブを練習すると早く上達できるはず。王子サーブをマスターすれば“ビックサーバー”の仲間入りすることも夢ではないので、ぜひともチャレンジしてみてください。
写真:松尾/アフロスポーツ