ロビング打ちの極意(前編)鉄則のコース取りとは?|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:水谷隼/提供:ittfworld

卓球技術・コツ ロビング打ちの極意(前編)鉄則のコース取りとは?|頭で勝つ!卓球戦術

2020.04.21

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

このシリーズでは、初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明やそのやり方、対処法などについてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。

(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)

さて今回は「ロビング打ち」についての私なりの考えをお話したいと思う。

ロビングとは台から遠く離れて、ボールを高く山なりに返球して相手の強打をしのぐという技術だ。我らが水谷隼選手や、ロビングの名手と呼ばれたデンマークのメイス、あるいは現男子ナショナルチーム監督の倉嶋洋介氏など、名だたる名選手がロビングという技術をひとつの武器として、会場が湧き上がるプレーを繰り広げてきた。

ただ今回はもう少し目線を落とし、攻撃主戦の選手にロビングでしのがれたときに慌てずに対処する方法、といったニュアンスでお伝えしたいと思う。ロビング打ちが苦手という方もたくさんいると思うので、ぜひ参考にして頂ければと思う。

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ロビング打ちで最も大切なのは、絶対にミスをしないということ

ロビング打ちの極意、それは「絶対にミスをしないこと」である。ロビングは「さあ打ってきてください」といわんばかりの山なりのボールで、挑発されているように感じるかもしれない。しかし、必ずしも強打で打ち抜く必要はない

「強打で打ち抜かないといけない」と考えると、余計な力が入ってしまってミスをしてしまう。そもそも、ロビング打ちとは難しいものだ。なぜならば、普段ロビングのような高いボールを打つ機会は、圧倒的に少ない。普段の練習の中、フォアのラリーから始まり、バックのラリー、フットワーク、システム練習、といったメニューの中に、ロビング打ちを取り入れている方はおそらく少ないだろう。

練習場の環境上、ロビングが出来ないケースだって多くあるだろう。そんな圧倒的に打つ機会が少ない技術を、試合の中で急にやらなくてはいけない場面が出てくるのだ。そりゃあ難しいに決まっている。ロビングが苦手だという方が多いのもうなずける。

だからこそ、無理をする必要はないのだ。ロビングが上がってきたら、一旦落ち着いて、台との距離をしっかり確認し、しっかりとボールを見て7割~8割の力でバック側へスマッシュ。これでいいのだ。何本も返ってきたからといって焦る必要もない。

何本でも落ち着いて7~8割で打てばいいのだ。肝心なのはこちらが先にミスをしないこと。

状況的に見ても、相手は下がっている。そしてあなたは台の近くにいる。つまり攻めているのだ。相手だって普段やる機会の少ない技術をしているので、ミスをする確率だって十分にある。

あなたはリスクを冒さず7~8割くらいで確実に入れて、相手のミスを待つ、という作戦でよいのだ。相手がしびれをきらして反撃してきたとしても、後陣からのボールなので、あせらず落ち着いて対処すればブロックも簡単に出来るだろうし、その後もしっかりと受け身にならず、丁寧に攻め続けることが出来れば、決して展開として悪くはならないだろう。

ロビング打ちの鉄則のコース取り

ロビングをされる展開というのは、実はほとんど決まっている。相手のフォアサイドを突いて、やや台から下げさせることに成功した。その後バックをついたら、相手は下がった状態から、低い弾道の「フィッシュ」という技術でしのいできた。それに対して続けてバック側を攻めれば、ロビングでしのいできた。おそらくこれが最も多いロビングに入る展開だろう。

そしてこのロビングの展開になったときには、鉄則のコース取りがある。まずはバック側を攻める、その次はバックを突いて、さらにバックに攻め込む。つまりロビングを上げている相手に対して、攻めるコースは基本的にバックサイド一択なのだ。

なぜならば、そうした方があなたが楽だからである。理由は2つだ。

理由1

まず1つ目は、ワンコースで攻め続ける方が、厳しいコースに送球することが出来るからだ。相手は後陣にいるわけなので、サイドを割るコースへ厳しく送れば送るほど、相手は大きく動かなければいけなくなる。

そうして相手をどんどんバックサイドの端へ追い込むことが出来れば、空いたフォア側へのプレッシャーをかけることが出来るし、回り込んでフォアハンドで逆襲することのリスクを高めさせることが出来る。

その為、出来ればほんの少しでいいので、バックサイドを割るコースへ打つように意識してみよう。シュート気味にスマッシュをして、バックサイドへ逃げるようなボールが打てればもっといい。

理由2

そして2つ目が、フォア側に送ると球質の違ったボールが返ってくるからだ。バックハンドでのロビングに対しては、おそらくそこまで手こずることはないだろう。一方フォアハンドのロビングの場合は、より強い上回転がかかっていたり、横回転がかかっていたりと、球質がバックに比べて多いはずだ。もちろん後陣から逆襲攻撃が来る可能性だってある。

もっと言えば、フォアに送るということは、こちらのフォアに返ってくる可能性が高く、そうなると卓球台が邪魔になるのでやや打ちづらくなってしまうのだ。なので、フォアに送るのは極力避けるべきだ。やるとしたら、よっぽど浅く返ってきて、確実に打ち抜ける自信があるときか、相手がバック側で回り込む動きが見えたときくらいである。

ロビング打ちの極意 後編へ続く)

若槻軸足が書いた記事はこちらから

頭で勝つ!卓球戦術

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