【卓球】上回転サーブに効果的なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 【卓球】上回転サーブに効果的なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座

2019.09.01

文:ラリーズ編集部

アマチュアレベルから中国の馬龍選手などの世界のトップレベルまで幅広いレベルで使われる上回転サーブ。

最近では、卓球の高速化により、上回転サーブを出してから3球目攻撃で得点するパターンが増えている。ただ、上回転サーブはどうしてもレシーブを浮かしてしまったり、レシーブが単調になってしまうという選手も多いだろう。

そこで今回は、上回転サーブに対するレシーブのコツをトップ選手のプレーを見ながら学んでいきたい。相手選手に上回転サーブを出されるとついレシーブが甘くなり、強打を浴びてしまうような初心者、中級者プレーヤーは必見だ

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1.上回転サーブの特徴とレシーブ

上回転サーブは、一般的に横回転サーブと混ぜて横上回転サーブとして出されることが多く、シンプルな上回転のみのサーブはロングサーブとして出されることが多い。

この球種に対しては、レシーブ側から見てボールの真後ろよりやや上側を捉えて返球するとある程度安定してレシーブしやすい。これはアマチュア選手のみならず、プロ選手も試合で実践している。

しかし一方で同じようなレシーブになりやすく、トップ選手は独自に工夫をし、違う球質のレシーブをするように心がけている。この記事では、試合の動画を見ながら、トップ選手が具体的にどのようにレシーブをしているのかを見ていきたい

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2.トップ選手のレシーブ例

今回は、2019年関東学生卓球リーグの試合を見ながら、上回転サーブに対するレシーブ方法を見てみよう。2019年の春季関東学生卓球リーグ戦の試合から、トップ選手のレシーブを確認する。

菅沼湧輝(明治大学)vs 弓取眞貴(中央大学)

まず、こちらの明治大学所属の菅沼湧輝選手と中央大学所属の弓取眞貴選手の試合。

1ゲーム目は、YGサーブからの展開を狙う弓取に対して、菅沼が男子選手には珍しくフォアフリックで攻めていくというゲームだった。

菅沼は点差がかなり開くまではフォア前の横上回転サーブをフォアでレシーブし、その後のラリーでも打点を落とさないことでラリーを優位に進めた

対して菅沼の横上回転サーブを、バックで回り込んでレシーブしようとした弓取は4球目の打点が遅れ、なかなか自分の有利な展開に持っていけなかった。さらに、フォアサイドを切るコースで長短の変化をつけられ、質の高いレシーブを送れずにいたことが対照的だ。

まずは、1ゲーム目0-0の場面、菅沼のフリックレシーブに注目してもらいたい。弓取の回転がわかりにくい横上回転サーブに対し、軌道の頂点を捉えてフリックすることで安定した返球をしている。それに加え、コンパクトなスイングで自分から少し上回転をかけたフリックをすることによって、ミスを減らすように工夫されている。

4ゲーム目4-1の場面での弓取のチキータレシーブにも注目だ。フォア前に出されたサーブに対してバックで回り込んでチキータで返球し、高速ラリーに持ち込むというのはどのサーブに対してもひとつの有効な戦術となりうるが、これは横上回転サーブに対しても同様だ。

素早くフォア前に回り込んで十分な溜めを作り、自分から回転を上書きすることによって、威力のあるボールで返球し、その後のラリーでチャンスを作ることができる

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及川瑞基(専修大学) vs 緒方遼太郎(早稲田大学)

続いては、専修大学所属の及川瑞基選手と早稲田大学所属の緒方遼太郎選手の試合を見てみよう。

この試合ではYGサーブの名手、緒方のサーブに対して、及川はチキータやツッツキ、フリックやプッシュなど多彩なレシーブで対応した。緒方のわかりにくいYGサーブと鋭いバックハンドに苦しむ及川だが、多彩なレシーブと運動量でカバーし、フルゲームデュースまでもつれる大激戦となっている。

まず2ゲーム目8-6の場面でのレシーブに注目したい。緒方が出したバック前のYGサーブに対して、それまで及川はチキータやツッツキでレシーブをしていたが、待ちを外してバックプッシュで返球している。得点には結びつかなかったが、レシーブの面を作り、そこから少し押すだけで良いため比較的ミスをしにくいレシーブと言える。初心者でも習得しやすいレシーブだろう。

また先ほど紹介したフリックレシーブについても、3ゲーム目の5-4の場面では、上回転をかけて返球するのではなく、相手の回転を利用してよりフラット気味に打球している。その際相手のサーブが逆横回転なので、ボールの少し右側を打球するとフリックしやすい。

こうすることによって初速の速いフリックで相手の反応を遅らせることができ、先程紹介した少し回転をかけるフリックと混ぜることで相手のミスを誘える

最後に紹介するのは3ゲーム目最後のポイントだ。ここでは緒方はそれまで使っていたYGサーブではなく、順横回転のサーブを使っている。バックミドルに横上回転サーブを出した緒方に対して、及川はラケットの面をしっかりと立ててツッツキでレシーブ

一般的には上回転サーブのレシーブはフリックやチキータが多く、レシーブが浮きやすいツッツキはリスクが高い。しかし、リスクを負って深いツッツキを送ることに成功した及川は緒方の意表を突き、レシーブで得点することができた

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3.まとめ

以上、今回は関東学生卓球リーグのトップ選手のプレーを見て、横上回転サーブに対するレシーブ方法を探った。

動画では、ツッツキ、フリック、プッシュ、チキータの4種類が用いられていたが、基本的に横上回転サーブに対して、レシーブが浮かないようにボールのやや上側を捉え、自分の回転を上書きすることによって安定した返球をしていた。

レシーブに悩むプレーヤーは、日本や世界のトップ選手のレシーブにヒントを得ることで何か答えを見つけられるかもしれない。

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