【卓球】対下回転サーブの最適なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 【卓球】対下回転サーブの最適なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座

2019.08.31

文:ラリーズ編集部

下回転サーブは、日本卓球界を牽引してきた水谷隼選手がチキータ封じによく使うサーブだ。

最もシンプルなサーブであるだけに応用の幅が広く、同じフォームから無回転のナックルサーブを織り交ぜることで、より分かりにくいサーブになる。そうすることで相手のレシーブの面を狂わせ、レシーブを甘くすることで試合の展開を有利にできる。

そこでこの記事では、下回転サーブに対するレシーブのコツをトップ選手のプレーを見ながら学んでいきたい。相手選手に下回転サーブを出されると先手を取られ、強打を浴びてしまうような初心者、中級者プレーヤーは必見だ。

>>勝てるナックルサーブの出し方を徹底解説 下回転との出し分けが大切|卓球基本技術レッスン

1.下回転サーブの特徴とレシーブ

下回転サーブは、横回転が一切入っていないサーブであるために、軌道に変化のある横回転サーブと違って、ラケットにあてやすい。

代わりにレシーブの面は寝かせた状態で、ボールのやや底を捉えなければならない。下回転サーブは、このレシーブの特徴を活かして回転量に変化をつけて相手のレシーブを甘くできることが利点だ。

一方でサーブの軌道が変化しない横回転サーブに対するレシーブと違い、ボールの外側を取るチキータや逆チキータといった攻撃的なレシーブをしづらい上に、打てたとしても弾道が高くなったり、ネットにかけたりのリスクが高く、質の高いレシーブが送りにくい

この記事では、試合の動画を見ながら、トップ選手が具体的にどのようにレシーブをしているのかを見ていきたい。

>>ナックルサーブに効果的なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座

2.トップ選手のレシーブ例

今回は、全日本大学総合卓球選手権大会と関東学生卓球リーグの試合を見ながら、下回転サーブに対するレシーブ方法を見てみよう。

2017年の全日本大学総合卓球選手権大会と2019年の春季関東学生卓球リーグ戦の試合から、トップ選手のレシーブを確認する。

>>「真晴の弟」からの脱却。諦めない男、和弘が突き進む「卓球道」【吉村和弘インタビュー#3】

森薗政崇 vs 吉村和弘

まず、こちらの明治大学所属(当時)の森薗政崇選手と愛知工業大学所属(当時)の吉村和弘選手の試合。両者ともにチキータや台上ドライブからの展開に強みを持つプレーヤーだ。

この試合では、お互いにチキータを警戒し、試合序盤からフォア前に落とす下回転サーブとバック側への下回転ロングサーブを多用し、チキータを封じようとした。作戦通り、試合の終盤まで吉村は得意のチキータを普段より多用しなかったが、一方で森薗はリスクを覚悟の上で強気でチキータを打っていたことが印象的だ。

まずは1ゲーム目の4-4の場面での吉村のレシーブに注目だ。このレシーブではバックスイングなしでいきなり森薗のバック深くにツッツキを送り、森薗を詰まらせた。詰まった森薗の質の落ちたループドライブを吉村は狙い撃った。

バックスイングの小さなツッツキはストップと判別しづらいため、相手の待ちを外しやすいことがわかる

一方で3ゲーム目の0-1の場面では、吉村は打点の早いストップで下回転サーブをレシーブレシーブのタイミングが早く、質の高いストップレシーブを送っている

この1本と合わせて覚えたいのが、3ゲーム目の5-4の場面での吉村のレシーブだ。この場面では先ほどのストップと同様に早い打点でレシーブしているが、今回はツッツキで意表をついている

詰まらされた森薗の甘いバックドライブをカウンターで狙い、吉村が得点を奪った。ツッツキとストップの打点を同じにすることで相手にレシーブを読ませない工夫が詰め込まれた技術となっている。

>>森薗政崇インタビュー 「恐怖のオヤジ」1日7時間の練習…「俺は卓球マシーンか!」

金光宏暢(日本大学)vs 青山昇太(法政大学)

続いては日本大学の金光宏暢選手と、法政大学の青山昇太選手との対戦を見てみよう。

この試合では青山の高速卓球を封じるため金光はバック側に下回転サーブを多用していた。青山はツッツキやストップを多用していたが、3ゲーム目以降は積極的にスピードのある台上ドライブで対応していた。

強い下回転に対しては強くインパクトをしないとネットミスを大量にしてしまうが、青山は思い切りバックハンドを振りぬき、威力のある台上ドライブが光った。

3ゲーム目の4-2の場面を見てみよう。金光は青山のバック前に下回転サーブを出したが、青山は十分に溜めを作りボールの真後ろよりやや外側を取って一気に振り抜いた

このレシーブを受け、同じく3ゲーム目の6-4の場面で金光は青山のミドル前に下回転サーブを出したが、青山はやはりやや外側を捉えて台上ドライブで金光のフォア側に返球している。

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3.まとめ

下回転サーブのレシーブは、ラケット面からコースを予想しやすく質の低いレシーブは3球目で先手を取られてしまう。そこで打点に変化をつけたツッツキ・ストップや、相手のサーブの回転軸を少し外してボールのやや外側を捉える台上ドライブをトップ選手は多用していた。

動画では主にツッツキ・ストップや台上ドライブの3種類が用いられていた。レシーブがシンプルだとミスが生じにくく、相手にとってはやりづらさを感じさせることができ、その後のラリー戦の主導権を握りやすくなる。一方でリスクを負った台上ドライブで相手に強打されないように返球していた。

レシーブに悩むプレーヤーは、日本のトップ選手のレシーブを参考にすることで何か答えを見つけられるかもしれない。

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