ペンドラの選手を倒すための戦術と注意点|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ ペンドラの選手を倒すための戦術と注意点|頭で勝つ!卓球戦術

2023.09.24

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

今回のテーマは久々の戦型別攻略法ということで、ペンドライブ型の選手に打ち勝つ為の作戦について考えていく。

ペンドライブと言っても様々なタイプがいるが、特に裏面を振るか否かが大きな分かれ目となる。

裏面を振るタイプであれば、ほとんどシェークドライブ型と攻め方は変わらない。今回は裏面を振らないタイプ、日本式のグリップでラバーが片面のみのいわゆる「ペンドラ」の崩し方について考える。

プレイヤーの数としてはどんどん減ってきているものの、強いペンドラはどんな地域にも必ずいるので、やはり対策はしておくべきだろう。

ペンドラの特徴

ペンドラ特徴①サーブ、台上などの細かい技が得意

それではペンドラの対策をするにあたって、まずはその特徴をおさえることから始めよう。

まずドライブ型に限らず、ペンホルダーの選手は台上の細かい技を得意としているケースが多い。

その理由のひとつとしては握り方だ。ペンホルダーはペンを持つようなグリップ、シェークハンドは握手をするようなグリップである。握手をするときとペンを握って文字を書くとき。どちらが細かく繊細な作業かと問われれば、考えるまでもないだろう。

もうひとつは、手首の可動域の違いだ。

シェークハンドの場合は、ラケット面を動かせる角度としては30度程度に限られる。対してペンの場合は120度くらいまで動かすことが出来る。より柔軟な動きや、力を加えた威力のあるボールが打てる要因だろう。

ペンドラ特徴②フォアハンドの威力とフットワーク

またこれも握り方に起因するところなのだが、ドライブなどを打つ際シェークよりもペンの握り方の方が、身体構造上力を加えやすいとされている。

ただこれに関しては大差はなく、必ずしもペンの方がボールスピードがあるとも言い切れないと思われる。決定的に違うのは、ペンの方が手首を柔軟に使える分、カーブドライブやシュートドライブといった癖のあるボールを繰り出すことができる点だ。強烈な横回転でぐにゃりと曲がってくる許昕選手のカーブドライブは有名だ。

張本智和(木下グループ・写真左)と許昕(中国)
写真:張本智和と許昕(中国)/撮影:ラリーズ編集部

またペンドライブ型はその特性上フットワークに自信をもっている選手が多く、普段なら返ってこない厳しいコースへのボールでも、足を使ってフォアドライブで粘ってくるといったところもポイントだ。

ペンドラ特徴③バックショートを侮るなかれ

ペンの弱点はバックハンドだ。それは紛れもない事実だろう。

ただしだからといって油断していいわけではない。ペンのバックがシェークのバックよりも優れている点はたくさんあるのだ。

まず打球ポイントがシェークのバックよりも身体の前方にあるので、高い打球点での返球が可能である点だ。そしてラケット角度の微調整がしやすく、細かくコースを狙うことに長けている。さらには順回転や逆回転のサイドスピン、さらにナックルといった変化も非常に出しやすいのだ。

スピードのあるボールは少ないが、いやらしい独特のボールが飛んでくることに注意したい。とくにナックル性のボールはフォアハンドとの回転量の差でかなりやりにくいはずだ。

ペンドラを攻略する3つの戦略

ペンドラ攻略①細かい技術での勝負を避ける

ではいよいよペンドライブ型を崩す作戦について考えよう。

まずはペンが得意とする細かい技術を発揮できる土俵で勝負しないことが大切だ。

そのためにはショートサーブやストップレシーブといった台上のボールではなく、ロングサーブ、ツッツキといった長いボールからの展開を心がけよう。

ペンはチキータこそないものの、ビタっと止まるストップや打つ寸前までコースの分からないフリックなど、細かい技が本当に多彩である。なるべく台の中ではなく、台の外での展開から仕掛けていこう。

ペンドラ攻略②まずはフォア。フォアに飛ばしてバックを詰める

ペンドライブ型を崩すためには、フォアに飛ばしてバックを詰める、なんといってもこれが常套手段である。

やはりフォアハンドが怖いので、それを恐れてバック側にツッツキ、というような思考に陥りがちであるが、実はそれが最もやってはいけないパターンなのだ。

回り込まれると卓球台が邪魔にならずに踏み込むことができる上、クロスにもバックにも容易に打ち分けられるので、非常に分が悪い。そして当然回り込みの練習を人一倍やっているので、もはや十八番なわけだ。


写真:吉田海偉/撮影:ラリーズ編集部

なのでまず攻めるべきはフォアだ。

ペンドラ選手はバックを回り込めるように意識を置いてる分、フォアサイドへの対応はやや遅れるはずなので、それほど早い打点で打ち込まれることは少ないと考えられる。

フォアを突いたらドライブが返ってくるので、それをできればもう一度フォアへブロックしてやろう。2本フォアを突けば、相手は少しは台から下がっているはずだ。そこでようやくバックサイドを狙うのだ。

台から下がった位置からのペンのバックは、威力のある球が返ってくることはそうそうない。カットなどでしのぐことも難しいので、この時点で相当有利な展開になるはずだ。


写真:吉田海偉/撮影:ラリーズ編集部

逆に強いペンホルダーはここのボールの処理がうまい。韓国で長きに渡って活躍した金擇洙(キムテクス)さんなどはグリップを持ち替えてカットをする場面がしばしば見られた。吉田海偉選手は、肘を折りたたんでの強烈なバックハンドを持っているし、近年はロビング技術にもかなり磨きがかかっている。

ペンドラ攻略③極端にバックサイドを割る横回転のサーブ

最後にサーブの配球としておすすめなのが、極端にバックサイドを割るコースへの順回転のサーブだ。よく右利き選手が左利き選手に対して出すようなサーブである。

このサーブを右利きのペンドライブに出すとどうなるかというと、まずバックハンドでは当然威力のあるボールが打てない。台上ならともかく、サイドを割って出るボールだと、どうしても有効なレシーブの手立てがないのだ。

かといって、回り込んでフォアドライブを打ってきたとしても、ほぼほぼこちらのバックサイドにコースは限定される。そしてガラ空きのフォアへブロックをすれば、大方こちらの得点になるだろう。

レシーブのときに限らず、ペンのバック技術は体の正面のボールに対しては色々な引き出しがあるのだが、正面よりもフリーハンド側へのボールに対して極端にできることが少なくなる。そこが一番の弱点であると言えるので、しっかりと頭に入れた上で対戦することを心がけよう。

ペンドラ攻略法まとめ

ペンドライブ型の選手の攻略法について考えてみた。明確な弱点がある分、プレイヤーの人口が減ってきているのはどうしても仕方がないことだ。

筆者の周りで学生時代はペンドラで活躍していた選手たちも、社会人となった今、ほとんどは裏面を貼っているかシェークに変えているかのどちらかである。

逆に考えれば、現在もペンドラのプレイヤーはその弱点を持ってしても活躍している実力者であるとも言える。なので対峙するときはなおさらその特徴や弱点を理解しておかないと、優位に試合を運ぶことはできないのである。

今回の話が、ペンドラ対策の助けになれば幸いである。

若槻軸足インタビュー記事

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