卓球技術・コツ “豪打”が持ち味 パワーヒッターとの戦い方|頭で勝つ!卓球戦術
2022.01.07
戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は「パワーヒッターとの戦い方」というテーマでお話していく。
これはいわゆる、サービス3球目あるいは4球目で強力な攻撃を繰り出すことが得意で、ラリーに持ち込ませず短期決戦で得点を重ねていくタイプの選手を指している。
相手に豪打を叩き込まれてあっという間に試合が終わってしまうことも多い。こういったタイプとの戦い方について今回は考えていこう。
このページの目次
パワーヒッターとの戦い方①打たせない
まずパワーヒッターとの戦い方で、最も理想的なのは打たせないということだ。
相手のサービスに対して、全て的確にストップができれば相手に強打を打たれることもない。もしくはフリックやチキータなどの攻撃的なレシーブをして、相手の3球目を封じるというのでもいい。こうして相手にフルスイングさせることなくこちらが点数を重ねていく、というのが最も理想的な戦い方だ。
ただし、あくまでこれは「理想」であり、実際に行うのはかなり厳しいだろう。なぜなら相手が3球目攻撃でガツンと打ち抜くことを得意としているのであれば、当然のようにサービスも得意だからだ。
回転の判断が難しいサービスだったり、ストップをしてもわずかに台から出てしまうサービスで、それを見逃さずに強打できる技術、そういったものを持ち合わせているからこそパワーヒッターというスタイルを確立できているわけだ。相手の得意な部分と真っ向勝負をするのは、おそらく分が悪いと考えるのが妥当であろう。
さらに私のこれまでの経験測で言うと、「打たれてはいけない」という気持ちでプレーをしていると、プレー自体がすごく慎重になり、非常に消極的な展開になってしまうことが多い。あえて曖昧な表現を使うと、おそるおそるでおっかなびっくりな戦い方になってしまうのだ。
そうなると、たとえストップレシーブがうまくいってこちらにチャンスが来たときも、力んで攻撃を失敗したりする。そして打たせまいとしたストップが台から出て打たれてしまったときは、全く対応ができない。
こういったことを考えても、やはり「打たせない」ようにするプレーは総じて得策ではないと私は考えている。
パワーヒッターとの戦い方②打たれるのを覚悟でプレーする
ではどうすればいいのか。正解はあきらめることだ。
もちろん、勝ちをあきらめるわけではなない。相手に打たれないようにするのをあきらめるのだ。どうやったって3球目でパワーのあるボールが来る。そう開き直って正面から迎え撃ち、なんとか1本をブロックするぞと考え方を変えるのだ。
最初の攻撃をなんとかブロックすることができてラリーに持ち込めさえすれば、五分五分に近い展開になることも多い。というのも、パワーヒッター型の選手は、3球目4球目といった早い段階でラリーが終わってしまうケースが多いので、その後にラリーを引いて得点をするパターンは自ずと少なくなるからだ。
つまりラリーになればこちらの土俵だ。1本目さえしのげれば勝機はある、そのために1本目をしのぐために全神経を注ぐのだ。
もちろん、「頑張ってブロックする」だけでは能がないので工夫は必要だ。レシーブでのツッツキひとつをとってみても、強気でガツンと切って下回転をかける。いつもよりもほんの少し早いタイミングを捉えて、相手の時間的余裕を少なくする。なるべく台の奥深くを狙って、相手のミスを誘いながら打たれたときの時間を稼ぐ。
バックサイドでもフォアサイドでも、ボール1個分でも厳しいコースを狙って、返球の的を絞れるようにする。たとえこちらがミスするリスクを負ってでも、こういった工夫をすることで相手に全力で打たせないようにしてブロックを確実に決めていくのだ。
またこのように打たれる前のボールを厳しく送ることで、相手にはこれまでよりも確実にプレッシャーがかかることになるだろう。そうすれば攻撃のミスも増えてくるし、すると次は安定性を重視した攻撃になってくるので、こちらもブロックがしやすくなるという好循環になっていくのだ。
パワーヒッターとの戦い方③なるべくフォアサイドを狙う
加えてもう1点お伝えしたいのが、コースの選択である。やはりパワーヒッターの選手はフォアハンドの豪打が持ち味である。となるとどうしてもそれを避けたいので、無意識にバックサイドへボールを集めてしまいがちなのだが、実はこれは間違いである。
フォアが得意な選手ほど、フォアサイドを突くべきである。基本的には卓球はバックサイドからラリーが始まることがほとんどだ。バックからサービスを出して、バックにツッツキが来る。そしてフォアハンドが得意な選手は、回り込んでバックサイドもフォアハンド攻撃をする練習を多くしている。
さらにフォアサイドは卓球台が邪魔になるので、どうしても窮屈な打ち方にならざるを得ないが、バックサイドで回り込んだ場合は、台がなく自由に踏み込んで打てるし、コースの打ち分けも自由自在なのである。
ファアサイドにボールを送るのは勇気がいるが、フォアサイドのボールの方が実は打ちにくいのだ。これは相手の戦型によらず共通して言えることなので、ぜひ覚えておこう。
まとめ
いかがだっただろうか。今回はパワーヒッターと呼ばれる、3球目4球目で圧倒的な攻撃をする選手に対しての戦い方について考えてみた。あなたのチームや同じ県のライバル達の中にも、こういった選手は必ず一人や二人はいることだろう。
この手のタイプと戦う際は。何か策を見いださないと防戦一方であっという間に試合が終わってしまう。それではあまりにも悲しい。今回の内容を参考に少しでも食らいついていこうではないか。
若槻軸足インタビュー記事
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