文:ラリーズ編集部
今回は、武楊(ウーヤン・中国)と並ぶ中国屈指の守備型である劉斐(リュウフェイ・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
>>早田ひなを育てた石田卓球クラブ代表に聞く なぜ中国は卓球が強いのか?
劉斐とは?
劉斐は、中国国内で再び成長を遂げているカットマンです。2020年の世界選手権中国代表選考会である「地表最強12人」に出場、国際大会では各国のトップ選手に勝利した実績を持っています。典型的なカットマンのスタイルでありながらトップ選手の中にはほとんど見られない戦型の為、格上にも勝利することが度々あります。T2や、中国国内のリーグにも参戦し、数々の猛者たちと技術を伸ばしあっていました。
プロフィール
劉斐は、中国出身の26歳(2020年6月時点)です。中国卓球クラブスーパーリーグに山東魯能の一員として参戦し、2018-2019シーズンはチームのプレーオフ優勝に貢献していました。また、T2にも参戦していたこともあり、2017年のT2グランドファイナルでは3位入賞に輝いています。
中国代表としても国際大会で数々の猛者に勝利しています。2018年から2020年の間で見てみると、蘇慧音(スーワイヤムミニー・中国香港)やユ・フ(ポルトガル)、日本の代表選手では石川佳純(全農)と木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)に勝利するなど、世界ランキングで格上となる相手にも互角以上に勝負できるのが彼女の強みです。
写真:劉斐/提供:ittfworld
プレースタイル
劉斐の戦型は右シェーク裏粒のカットマンで、現代のカットマンでは珍しい徹底した守備が特徴です。基本的に自分から隙を伺って攻撃するのではなく、高確率で決まると思った球に対して攻撃する以外はカットに徹するのが彼女の卓球です。
元々カットマンは劉斐のようにカットの変化で相手を翻弄し、チャンスボールが来たらドライブを打つのがセオリーでしたが、ルールの変更とともにそのスタイルはより攻撃的に変わっていきました。特に、プラスチックボールへの移行は、プラスチックボールで回転量が失われる分、カットの変化もつけづらくなるため攻撃が必要となり、多くの選手がカットとドライブを併用するようになりました。このような選手は、短いラリーでの得点率は上がるものの、自らも攻撃のリスクをとるため、完全守備のカットマンよりも失点しやすいです。
また、自ら変化をつけて返球することが難しい粒高ラバーに代わって、自ら回転の強弱を操ることができる表ソフトラバーをカットに使用する選手も増えました。しかし、そういった選手が増えることで、裏粒という組み合わせの選手の割合が小さくなり、対策が取りにくくなってきています。劉斐はその恩恵と確かな切れ味を武器に、2020年の世界選手権の代表選考会に出場するなど再び中国内で上位に上がってきています。
写真:劉斐/提供:ittfworld
使用用具
劉斐の使用用具は、ラケットが紅双喜の「S609」、ラバーはフォア面にVICTASの裏ソフト「VS402 Double Extra」、バック面にTSPの粒高ラバー「カールP-1R」を使用しているそうです。
VICTASの微粘着性裏ソフトラバー「VS」シリーズの中でも、「VS402 Double Extra」はスポンジが硬いため、カットに適しながらも充分な攻撃力を持ったラバーであると言えます。一方、バック面にはTSPの粒高ラバーである「カール」シリーズの中で最も変化幅の大きい「カールP-1R」を使用し、変幻自在なカットを生み出しています。
世界ランキング
劉斐の世界ランキングは67位(2020年4月時点)です。2015年までは30位台以上を維持していましたが、その後2018年までは世界ランキングの記録はなく、2018年の新システム採用に伴って更新された時には300位台まで下降していました。そこから徐々に順位を上げてきています。最高ランクは2015年4月の23位です。U21の部では最高ランクは5位です。
国際大会での主な成績
2014年 | カタールオープン | 女子シングルスベスト8 |
2015年 | ドイツオープン | 女子シングルスベスト8 |
2017年 | T2グランドファイナル | 女子シングルス3位 |
2019年 | ジャパンオープン | 女子シングルスベスト8 |
スウェーデンオープン | 女子シングルスベスト4 |
まとめ
中国の猛打をさばき続けるカットマンの彼女が国際大会でタイトル獲得なるか。今後の彼女の活躍に目が離せません。
>>劉斐の関連記事はこちら