文:ラリーズ編集部
今回は、2019年の世界選手権にて女王に輝き再び世界のトップに躍り出た高速卓球のパイオニア、劉詩雯(リュウスーウェン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
劉詩雯とは?
劉詩雯は、2013年から女子ワールドカップを何度も制覇、2019年にはそれまでベスト4どまりだった世界選手権女子シングルスで初優勝を飾るなど、長きに渡り世界の女子卓球界のトップを走り続ける選手です。シングルスの強さはもちろんのこと、ダブルスの天才と言われる許昕(シュシン・中国)と組んだ混合ダブルスでも、国際大会や世界選手権で優勝を重ねています。
リオ五輪にも団体戦のメンバーとして出場し優勝を飾るなど、簡単には崩れない中国女子の牙城を支える主力選手の一人です。かつては、団体戦での惜敗を機に、厳しい状況に追い込まれましたがすぐにそこから脱し、今では中国の優勝を導く選手となっています。
劉詩雯のプロフィール
劉詩雯(リュウスーウェン/Liu Shiwen)は1991年4月12日生まれの32歳(2024年2月時点)で、中国の遼寧省出身です。現在は中国代表として国際大会に出れば上位進出は当然、と言われるほど次々にタイトルを獲得しています。
2016年のリオ五輪では団体戦のみの出場でしたが、中国の団体戦優勝に大きく貢献しました。
写真:劉詩雯/提供:ittfworld
かつては、個人戦では世界選手権で常にベスト4、最高でも準優勝と頂点になかなか君臨することはできていませんでしたが、2019年の世界選手権では決勝で陳夢(チェンムン・中国)を下し、世界選手権女子シングルス初優勝を果たしました。
2021年の東京五輪では、混合ダブルス決勝で水谷隼/伊藤美誠ペアに敗れ、銀メダルに終わりました。そして、女子団体にも出場予定でしたが、ケガのため途中離脱してサブの王曼昱と入れ替えとなり、女子団体でのメダル獲得はなりませんでした。
劉詩雯のプレースタイル
劉詩雯の戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、前中陣でのミスのない両ハンド攻撃が特徴です。前中陣であればどこからでも強打を打つことができるのが彼女の卓球です。
写真:劉詩雯/提供:ittfworld
劉詩雯は“高速卓球のパイオニア”と呼ばれるほど前陣でのボールさばきが上手く、彼女に並ぶ者はいないと言われています。前中陣では巧みなボールさばきと素早い反応によって、どんなボールでも充分な力で打ち返すことができます。欠点となる技術もないため、相手からすると無限にボールが返ってくるような感覚に陥ります。
またフォアハンドの威力はとても高く、小柄な身長では不利とされる対カットマンにも強さを発揮することができます。近年では、後陣に下がってもドライブを放つことができるようになり、ますます隙の無い選手へ近づいています。
劉詩雯の使用用具
劉詩雯は、ラケットはバタフライの特注品で、ラバーはフォア面に紅双喜の『キョウヒョウ3 国チーム用』のブルースポンジ、バック面はバタフライの『ディグニクス05』を使用しているそうです。
劉詩雯の世界ランキング
2024年2月時点で劉詩雯は世界ランキングを持っていません。最高ランキングは1位(2016年9月)です。
劉詩雯の主な成績
2009年 | ワールドカップ | 女子シングルス:優勝 |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
世界選手権横浜大会 | 女子シングルス:銅メダル | |
2010年 | 世界選手権モスクワ大会 | 女子団体:銀メダル |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
広州アジア競技大会 | 女子ダブルス:銀メダル(ペア:丁寧)、女子団体:金メダル | |
2011年 | 世界選手権ロッテルダム大会 | 女子シングルス:銅メダル |
2012年 | ワールドカップ | 女子シングルス:優勝 |
世界選手権ドルトムント大会 | 女子団体:金メダル | |
2013年 | ワールドカップ | 女子シングルス:優勝 |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
世界選手権パリ大会 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:銀メダル(ペア:丁寧) | |
2014年 | 世界選手権東京大会 | 女子団体:金メダル |
仁川アジア競技大会 | 女子シングルス:金メダル、女子ダブルス:銀メダル、女子団体:金メダル | |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:金メダル(ペア:朱雨玲) |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
ワールドカップ | 女子シングルス:優勝 | |
2016年 | アジアカップ | 女子シングルス:優勝 |
世界選手権クアラルンプール大会 | 女子団体:金メダル | |
カタールオープン | 女子シングルス:優勝 | |
ジャパンオープン | 女子シングルス:優勝 | |
リオデジャネイロ五輪 | 女子団体:金メダル | |
2017年 | 中国オープン | 女子シングルス:ベスト4、女子ダブルス:優勝(ペア:丁寧) |
世界選手権デュッセルドルフ大会 | 女子シングルス:銅メダル、女子ダブルス:金メダル(ペア:丁寧) | |
2018年 | カタールオープン | 女子シングルス:優勝 |
オーストラリアオープン | 女子シングルス:優勝 | |
タイオープン | 女子シングルス:優勝 | |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
世界選手権ハルムスタッド大会 | 女子団体:金メダル | |
2019年 | 世界選手権ブダペスト大会 | 女子シングルス:金メダル、混合ダブルス:金メダル(ペア:許昕) |
女子ワールドカップ | 女子シングルス:優勝 | |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
中国オープン | 女子ダブルス:優勝(ペア:顧玉婷) | |
ジャパンオープン | 女子ダブルス:優勝(ペア:陳夢) | |
カタールオープン | 混合ダブルス:優勝(ペア:許昕) | |
ハンガリーオープン | 混合ダブルス:優勝(ペア:許昕) | |
グランドファイナル | 混合ダブルス:優勝(ペア:許昕) | |
アジア選手権 | 混合ダブルス:金メダル(ペア:許昕) | |
2020年 | ドイツオープン | 混合ダブルス:優勝 |
2021年 | 東京五輪 | 混合ダブルス:銀メダル(ペア:許昕) |
2022年 | WTTマカオ | 女子シングルス:準優勝、混合ダブルス:優勝(ペア:許昕) |
まとめ
世界ランキング1位を何度も経験し、長期にわたり世界のトップ選手として活躍し続けている劉詩雯。高速卓球のパイオニアと呼ばれる彼女が東京五輪でどのような活躍を見せるのか、注目です。