文:ラリーズ編集部
今回は、世界選手権でベスト16入り、Tリーグ2ndシーズンは岡山リベッツで活躍したカットマンのワン・ヤン(スロバキア)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
>>【頭で勝つ!卓球戦術】必ず身に付けたい鉄則のコース取りとは(前編)
>>【頭で勝つ!卓球戦術】格上の相手に勝つために有効な考え方とは
ワン・ヤンとは?
ワン・ヤンは、中国からの帰化選手で、2015年のパリオープンベスト4、ヨーロッパ選手権ベスト8とその実力を世界に示し翌年に行われたリオ五輪に出場、2019年の世界選手権男子シングルスではベスト16入りを果たしています。Tリーグ・岡山リベッツでもその才能あふれるカットを目にすることができます。
プロフィール
ワン・ヤンは、1994年9月24日生まれの25歳(2020年4月時点)です。中国出身で、スロバキアに帰化しています。帰化したのちには、スロバキア代表としてパリオープンやヨーロッパ選手権で上位進出を果たしています。現在は、ポーランド・スーパーリーグのジャウドヴォに所属し、国内リーグで活躍をしています。
また、Tリーグ2ndシーズンには岡山リベッツのメンバーとして参戦しました。Tリーグには、世界各国からトップレベルのカットマンが集結してきています。かつて世界ランキング5位にまで上り詰めた朱世赫(チュセヒョク・琉球アスティーダ)や、2019年に中国で行われた全中運動会を制した侯英超(ホウエイチョウ・木下マイスター東京)等、世界のトップを走ってきた強者たちだらけです。その中に、ワン・ヤンも仲間入りを果たしています。Tリーグ・T.T.彩たまにはパナギオティス・ギオニス(ギリシャ)が加入し、現在Tリーグには全チームにカットマンがそろう形となっています。
プレースタイル
ワン・ヤンの戦型は右シェーク裏表のカットマンです。台の下での両ハンドのカットが特徴で、回転の変化をつけるのが得意です。また、隙を突くフォアハンドドライブは高速かつ威力が高いです。
カットマンには、バック側に粒高ラバーを使用する選手と、表ソフトラバーを使用する選手が大半を占めています。ともに裏ソフトよりも回転の影響を受けづらい性質を持っていますが、カットの際にもこの2つのラバーには違いが生じます。粒高ラバーは、ほとんど相手の回転を利用してカットするのに対し、表ソフトラバーの場合は自分から回転をかけて返すことが多くなります。逆を言えば、粒高ラバーでのカットは相手のドライブに左右されることが多くなるのに対し、表ソフトでは自ら回転量の変化をつけることが容易になります。
近年では、粒高ラバーと表ソフトラバーの間を取ったようなラバーを使用するカットマンも増加してきています。このようなラバーは、2種類のラバーの長所を取ったものが多く、カットに適したラバーともいえます。
ワン・ヤンはこの表ソフトの特徴を活かしながら、台の下でカットをすることで相手にカットの動きを見せないようにして、回転量の変化をつけることができます。
使用用具
ワン・ヤンの使用用具は、ラケットが特注のもので、ラバーはフォア面にBUTTERFLYの「テナジー05ハード」、バック面にTSPの表ソフトの「スーパースピンピップス」を使用しているそうです。この「スーパースピンピップス」はスポンジの種類が豊富で、変化攻撃用のスポンジをつけたものから、カット用のスポンジをつけたものまでそろっていて、使用者の特性に合わせたラバー選びができます。
世界ランキング
ワン・ヤンの世界ランキングは32位(2020年3月時点)で自身最高ランクを記録しています。2012年から急激にランキングを上げ、近年は2桁ランクの間で落ち着いています。U21の最高ランクは9位と1桁ランクを保持した経歴を持っています。
国際大会での主な成績
2014年 | ハンガリーオープン | 男子シングルスベスト4 |
2015年 | カタールオープン | U21男子シングルスベスト4 |
パリオープン | 男子シングルスベスト4 | |
ヨーロッパ選手権 | 男子シングルスベスト8 | |
2018年 | スロベニアオープン | 男子シングルスベスト4 |
2019年 | 世界選手権 | 男子シングルスベスト16 |
2020年 | ヨーロッパトップ16 | 男子シングルス5位 |
まとめ
直線的な表ソフトによるカットと隙を突くフォアハンドドライブを持つ彼が、国際大会で世界トップに上り詰めることができるのか。今後の彼の活躍は見逃せません。
>>ワン・ヤンの関連記事はこちら