今回は、パラ卓球界で日本のトップ選手の1人となっている八木克勝(モルガン・スタンレー・グループ)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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八木克勝とは?
八木克勝は、パラ卓球界で日本代表をけん引する主力選手の1人です。立位で、手が短いハンディキャップを背負いながらも持ち前の運動量と鍛え抜かれた足腰で、健常者と対等以上に戦うことができます。
高校生の時に、現在のプレースタイルに巡り合ったと同時にパラ五輪について関心を持ち、以後は東京パラ五輪に向けてひたむきに練習に取り組んでいます。大学生になってからは、“パラの全日本選手権”で優勝したり、東海学生リーグでも活躍したりと実力を評価される機会が増えました。
プロフィール
八木克勝は、1990年6月17日生まれの30歳(2020年11月時点)です。愛知県豊橋市出身で、先天性両橈骨欠損症によって生まれたときから肘より先が短くなっています。また、手首も上手く使えず守備範囲が狭くなるというハンディキャップを背負っています。
中学生の時から部活動で卓球を始め、類まれな運動能力とセンスで上達し、愛知大に進学してからは1年次で“パラの全日本選手権”、国際クラス別選手権で2位、2年次には同大会で優勝を果たしました。2015年からは国際大会に出場するようになり、2017年ごろからは国際大会でも上位入賞を積み重ね、世界ランキングも1桁と勢いに乗っています。
東京パラ五輪を意識し、卓球に専念できるよう所属をモルガン・スタンレー・グループに変えて、ますます実力を上げてきています。
プレースタイル
八木克勝の戦型は右シェーク裏粒の異質攻撃型です。かつては裏裏の攻撃型でしたが、障害により手首にハンディを抱えていた八木にとって粒高ラバーは好都合でした。
八木のプレーの特徴は、素早いフットワークです。手の長さが短い分足を使って動く場面が多くなるため、足腰を鍛えることを重視していたそうです。パラ卓球では立位と車いすに部門が分かれますが、立位では足腰の動きが重要視されます。八木は足腰の強さで健常者の上級者とも対等に渡り合っています。
バック面は粒高ラバーにすることで、相手のサービスや強打に対しても変化をつけてレシーブすることができるため、フォアハンドは攻撃に専念することができます。自らのハンディを強みに活かした典型例と言えます。
使用用具
八木克勝の使用用具は、ラケットはWRMの「幻守」、ラバーはフォア面に裏ソフト、バック面に粒高ラバーを使用しているそうです。
「幻守」はWRMから販売されている、粒高ラバーと相性が良いラケットです。通常の7枚合板ラケットよりも弾みを控えめにすることで、粒高ラバーでカット性ブロックやカットをした際の変化量を大きくしています。また、ブレードサイズは攻撃用ラケットと同じであるため、攻撃的な技術にも対応可能です。
世界ランキング
八木克勝の世界ランキングは立位のクラス7で8位(2020年4月時点)です。東京パラ五輪に向け、着実に順位を上げてきています。
パラ卓球界では、立位と車いす、知的障害の3部門に分けられ、各部門ごとにクラスが設けられています。そしてその中でランキングがつけられるため、世界ランキングが同順位の選手が複数存在しています。同じ立位では岩渕幸洋(協和キリン)がクラス9で3位にランクインしています。
日本国内・国際大会での主な成績
2009年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス準優勝 |
2010年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス優勝 |
2014年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス優勝 |
2015年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス優勝 |
2016年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス優勝 |
2017年 | 国際クラス別選手権 | 男子シングルス優勝 |
パラ世界選手権 | 男子団体第3位 | |
2018年 | アジアパラ競技大会 | 男子シングルス第3位、男子団体第3位 |
パラ世界選手権 | 男子シングルスベスト8 | |
2019年 | パラアジア選手権 | 男子シングルス準優勝、男子団体第3位 |
まとめ
ひたむきに練習に励み、東京パラ五輪で同じ病を抱える人々に希望を与えることができるのか。今後の彼の活躍に期待です。