文:ラリーズ編集部
今回は、世界ジュニア選手権で史上初の2度の金メダルを獲得し、2017年の世界選手権で銀メダルを獲得した朱雨玲(ジュユリン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、数多くのメダルを獲得している国際大会での戦績についても触れます。
朱雨玲とは?
朱雨玲は2010年の世界ジュニア選手権で日本の石川佳純に勝利し、優勝を果たしました。その後2012年の世界ジュニア選手権でも優勝しました。世界選手権では2013年のパリ大会ではシングルス3位、ダブルス3位、2015年の蘇州大会ではダブルス優勝、2017年のクアラルンプール大会ではシングルス準優勝、ダブルス準優勝と結果を残しています。
その他の大会でもアジアカップ3連覇、T2ダイヤモンド・マレーシア大会で優勝をしており、世界ランキング1位にもなったことのある世界トップの実力者です。
朱雨玲のプロフィール
朱雨玲(ジュユリン/Zhu Yuling)は1995年1月10日生まれの29歳(2024年1月時点)で、中国の四川省綿陽市出身です。5歳で卓球を始めると、7歳で地元のスポーツ施設で卓球を教えていた王強コーチの目に留まり、本格的に競技を開始します。
その2年後には早くも四川省のジュニアチームに入り、四川省女子チームの李永生監督の指導を受け、順調に実力を伸ばしてきた。2009年に14歳で全中国ジュニア選手権ベスト8、そして今年1月のジュニア選抜集合訓練で3位となり、国家2軍(ジュニア)チーム入りを果たした。そして、2010年のジャパンオープン萩村杯で日本の平野早矢香、福原愛など強豪を連破し準優勝、世界で注目を集めました。
同年の世界ジュニア選手権では優勝を果たすと、2012年の世界ジュニア選手権では自身2度目となる女子シングルス金メダルを獲得。世界ジュニア選手権でシングルス金メダルを2度獲得した初めての選手となりました。
その後は、世界選手権やアジア選手権、アジアカップで数多くのメダルを獲得してきた朱雨玲ですが、2016年のリオデジャネイロ五輪では代表選考レースに敗れ、出場を逃しました。
その後は若手の台頭もあり、2019年世界選手権では世界ランキング2位(当時)にもかかわらず代表落ち。ワールドツアーでも格下選手に敗れるなど、成績が低迷していきました。しかしながら2019年のアジアカップではライバルの陳夢(チェンムン・中国)に勝利し、3連覇を達成。T2ダイヤモンドマレーシア大会でも中国の次世代エースと期待されている王曼昱(ワンマンユ)を下して優勝を果たすなど、徐々に復調の兆しを見せていました。
2022年には国家チームを引退し、同年に電子科技大学入学を発表しました。
朱雨玲のプレースタイル
朱雨玲の戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型です。中国女子チームの中では小柄な選手ですが、強打で左右に振られても、何本でも返球して相手の焦りを誘い、要所で強打を決めて試合を優位に展開します。ポーカーフェイスで競った場面や劣勢の場面でも冷静に点数を重ねることができるメンタルの強さと戦術能力を持っています。
サーブはシンプルな横下回転や下回転を多用し、ミスの少ないバックやループドライブからラリーを展開する場面がみられます。レシーブでもフリックで上回転のラリーにするよりも、ストップやツッツキで相手に打たせてからの展開が得意と思われます。
一発で決めれる強いボールは少ないですが、ミスの少ない卓球をし、攻撃力のある中国女子選手と組むダブルスでは好成績を残しています
朱雨玲の使用用具
朱雨玲の使用ラケットはSTIGAの木材5枚+カーボン2枚合板「カーボネード45」で、ラバーはフォア面は紅双喜の「キョウヒョウ NEO 3」、バック面はバタフライの「ロゼナ」を使用しているようです。
朱雨玲の世界ランキング
2024年1月時点で朱雨玲は世界ランキングを持っていません。最高ランキングは1位(2018年1月)です。
朱雨玲の世界ランキングは2010年のジャパンオープン萩村杯の準優勝、アジアジュニア選手権優勝の結果で12月に行われた世界ジュニア出場時点では23位でした。その後、成績を残し続け2013年3月の世界ランキングでは8位とトップ10入りを果たしました。2017年の11月に初めて世界ランキング1位になると、2位になることもあるものの2018年12月まで1位をキープしていました。
朱雨玲の主な戦績
2010年 | 世界ジュニア選手権 | 女子シングルス:金メダル、女子ダブルス:金メダル、女子団体:銀メダル |
2012年 | 世界ジュニア選手権 | 女子シングルス:金メダル、女子ダブルス:金メダル、混合ダブルス:銅メダル、女子団体:銀メダル |
2013年 | 世界選手権パリ大会 | 女子シングルス:銅メダル、女子ダブルス:銅メダル |
2014年 | 世界選手権東京大会 | 女子団体:金メダル |
仁川アジア競技大会 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:金メダル、女子団体:金メダル | |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 女子ダブルス:金メダル |
アジア選手権 | 女子シングルス:金メダル | |
2016年 | 世界選手権クアラルンプール大会 | 女子団体:金メダル |
2017年 | アジアカップ | 女子シングルス:優勝 |
世界選手権デュッセルドルフ大会 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:銀メダル | |
2018年 | アジアカップ | 女子シングルス:優勝 |
韓国オープン | 女子シングルス:優勝 | |
世界選手権ハルムスタッド大会 | 女子団体:金メダル | |
スウェーデンオープン | 女子シングルス:準優勝 | |
オーストリアオープン | 女子シングルス:準優勝 | |
2019年 | アジアカップ | 女子シングルス:優勝 |
T2ダイヤモンドマレーシア大会 | 女子シングルス:優勝 | |
韓国オープン | 女子シングルス:優勝 | |
アジア選手権 | 女子ダブルス:金メダル | |
世界選手権ブダペスト大会 | 女子ダブルス:銅メダル | |
女子ワールドカップ | 女子シングルス:準優勝 |
まとめ
ジュニア時代から世界で頭角を現し、アジアカップ3連覇、T2ダイヤモンド・マレーシア優勝など成績を残している朱雨玲。東京五輪を含め今後も日本の選手の壁となって立ちはだかってくることが予想される。戦術が豊富かつ小柄で日本人に体格も似ているため、彼女のプレーを参考にするのもいいだろう。