【はじめて卓球部顧問になったあなたに】全員が中学校から始めた選手で習う先輩もいません | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:質問「全員が中学から始めた選手で習う先輩もいません」/作成:ラリーズ編集部

卓球プレーヤー向け 【はじめて卓球部顧問になったあなたに】全員が中学校から始めた選手で習う先輩もいません

2022.05.20

この記事を書いた人
1992年1月9日生まれ。金沢ポート株式会社の代表取締役兼金沢ポート監督。
石川県金沢市の卓球専門店「清水スポーツ」代表取締役社長でもあり、石川県卓球連盟の最年少理事も務める。
遊学館高校、北陸大学卓球部出身で、元日本代表選手から卓球始めたばかりの中学生まで、幅広い層への指導力に定評のある金沢市在住プロコーチ。
現役時代には、2009年春の高校選抜で当時最強の青森山田高から2勝を挙げて注目を浴びる。北陸大学時代には全日本学生選手権ダブルス3位の実績を持つ、北信越が誇る卓球人の一人。

石川県金沢市で、卓球専門店の腕利きスタッフとして働く西東輝(さいとうあきら)さんの元には、日々、卓球部顧問の先生からの相談が舞い込んできます。

今日もお願いします。(編集:槌谷昭人)


写真:金沢市の卓球専門店で接客する西東輝さん/提供:本人

質問


写真:質問「全員が中学から始めた選手で習う先輩もいません」/作成:ラリーズ編集部

全員が中学から始めた選手で習う先輩もいません。どうしたら良いですか?

西東さんの回答


写真:西東さんの回答「積極的に大会に出てみましょう」/作成:ラリーズ編集部

まずは、積極的に大会に出てみることをお勧めします。
それが、卓球という競技性の理解を深める一番の近道だからです。

中学生の大会には、日本中学校体育連盟(中体連)と、日本卓球協会の主催する公式戦があります。それ以外のオープン大会も多く開催されています。


写真:大会会場の様子/提供:本人

負けた後、試合を観るのが大切

最初はすぐに負けてしまってもしかたないと思います。
負けた後がポイントで、終日会場に残って試合を見学することが大切です。

多くの学校が負けるとすぐに解散し、子どもたちは帰宅してしまいます。会場に1日いるだけでも、かなり体力を使うことなのです。

試合を見学しながら「○回戦にはどんな技術が必要か」を研究してほしいと思います。

例えば、次のようなことです。
・1回戦は「ツッツキができれば勝てる」
・2〜3回戦は「ドライブができれば勝てる」
・4回戦は「横回転サーブが必要になってくる」
・5回戦は「相手の打たれたボールを返せれば勝てる」

もちろん、組み合わせの妙味があるので勝ち上がりにこそ差がありますが、平均的に「この技術がないとここまでは勝ち上がれない」という指標はあります。

現在の金沢市では

現在の金沢市の中学生で言えば、シード選手と当たった場合は除いて「ツッツキ対ツッツキを安定してノーミス20本」ができれば、部活動のレギュラーになれるでしょう。

下回転打ちを安定して10球中6本入れることができれば、ベスト32には入れて、県大会出場ができます。

私のクラブではどんなに卓球を始めるのが遅くてもここまではできるので、所属13選手全員がベスト16に入ったことがあります。

「その目標を達成するためには具体的にどんな技術を上達すべきか」を明確にするためにも、まずは大会に出て、その後見学しながら研究してみてください。

技術を覚える順番は

その上で、必要な技術をどう練習していけば良いか。
すべての技術が重要なことは大前提ですが、あえて覚えていく技術の順番をつけるとしたら、下記をお勧めします。

1.基本ストローク(フォアロング・バックロング)
2.ツッツキ(相手が上回転出してきてもツッツキ)
3.下回転打ち(角度打ちorドライブの選択)

詳しい練習方法

※撮影協力:石川県川北町「川北クラブ」

習う先輩がいなくても

4年前のことです。
卓球部が発足したばかりの中学校卓球部の選手を6名、私のチームで指導することになりました。
まさに、教えてくれる先輩がいない状況でした。

大半が部活動練習で、私はクラブで教えるだけでしたが、子どもたちから部活での過ごし方や練習メニューの相談を受け、次のようにアドバイスし、一緒にプランを実行しました。

6人全員を違う戦型に

まず、全員を違う戦型にしました。
右シェーク裏裏、右シェーク裏表、左シェーク裏裏、カットマン、右ペン粒、右シェーク表裏、左シェーク裏粒です。

「その戦型のナンバーワンを目指せということ」「競争をさせたくなかったこと」「誰と練習をしても違う戦型の練習になること」が理由です。

少人数で、誰が欠けてもチームがまとまらない状況の中で、仲間割れは避けたかったのです。
どうしてもレベルにより優劣がついてしまいますが、戦型が違うことでそこを緩和したかったという狙いもあります。

誰と練習しても対応力が磨かれ、しかも全員と練習しあうことで結束力が生まれることを期待しました。

「カットマン辞めないでよかった」

カットマンの子がなかなか勝てませんでしたが「3年の時に勝つスタイルだから」とずっと励まして、結果的にチーム内で2番手まで成長しました。

団体戦では小学校から県トップクラスで活躍していた選手に勝利し「カットマン辞めないでよかった」と言ってくれたのは嬉しかったです。

その子たちは2年生のときに北信越大会に出場するまでになりました。

部活動に習う先輩がいなくても、工夫次第で上達はできると信じています。

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