サービスエースとレシーブエースはどちらが多いのか|データでみるTリーグ | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:早田ひな(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部

卓球プレーヤー向け サービスエースとレシーブエースはどちらが多いのか|データでみるTリーグ

2020.07.26

文:石丸眼鏡

卓球という競技において、サーブ・レシーブの重要性は非常に高い。

とりわけ、サーブはその後のラリー展開を大きく左右する。サーブは、相手の影響を受けず、自分の求める回転、コース、スピードでボールを放つことができる。卓球のラリーの中で最も戦略の自由度が高いといえるだろう。


写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

サーブが得意なプレーヤーならば、強烈な回転をかけたり、回転の判別しづらいフォームでサーブを出したりすることで、相手のレシーブミスを誘うこともできる。

一般的に卓球はサーブ側が有利とされており、その傾向はTリーグのデータにも表れている(Tリーグ2019-2020シーズンのサーブ側の得点率は約53%)。

>>サーブ側有利は本当?「サーブ時ポイント獲得率」で調べてみた

中でも、サーブだけで得点を取る「サービスエース」は相手にとって最も嫌な失点になる。サーブの回転を読み切れずにレシーブミスをしたり、急なロングサーブに対応できずノータッチでエースを奪われたり、その後の試合の流れを変えてしまうこともある。


写真:森さくら(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部

とはいえ、昨今はレシーブ技術の発展も著しい。その代表格はやはり「チキータ」だろう。バックハンドで順横回転をかけて返球するこのレシーブの台頭により、レシーブから攻撃的にラリーに入るという新しい展開が誕生した。

今回はサーブとレシーブという2つの技術、その中でも「サービスエース」と「レシーブエース」について調べてみた。

>>吉村真晴、飛躍。切り札「アップダウンサーブ」の裏側

サービスエースとレシーブエース、多いのはどっち?

サービスエースとレシーブエースはどちらが多いのだろうか。チキータの登場によりレシーブから積極的な攻撃展開を作るプレーヤーが増えているものの、やはりサービスエースのほうが多いというイメージがあるのではないだろうか。


写真:吉村真晴(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部

今回は、Tリーグのデータをもとにその傾向を調べてみた。Tリーグの公式サイトには各選手の様々なデータが掲載されたスタッツページがある。

このデータから、サービスエース数/1ゲーム、レシーブエース数/1ゲームの全選手平均を集計したところ、以下のような結果となった(平均値は各選手のサービス・レシーブエース数/1ゲームに出場ゲーム数を乗算し、全選手のサービス・レシーブエース数合計/全選手の出場ゲーム数合計で算出)。


写真:松平健太(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

サービスエース数/1ゲーム:1.07回/1ゲーム
レシーブエース数/1ゲーム:1.68回/1ゲーム

意外にも、レシーブエース数がサービスエース数を上回る結果となった。1ゲームあたり1.68回というその頻度もかなり高いように感じられる。


写真:石川佳純(KA神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

ただし、ここでいう「レシーブエース」は自分のレシーブの次の球、いわゆる3球目で相手が返球できなかった全てのケースが含まれる。つまり、甘いレシーブをしてしまったが相手が3球目攻撃をミスした、というような場合も「レシーブエース」として扱われる。これが我々のイメージと実際のデータが乖離している1つの要因ではないだろうか。

男女のプレースタイルの違いは影響するか

同時に、男子と女子でこの指標に差があるかどうかを調べてみた。

仮説としては、男子選手は女子選手に比べチキータを多用する選手が多く、レシーブエースでの得点も多いのではないかと考えた。


写真:森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部

男女別に集計した結果は、サービスエース数/1ゲームは男子が女子を、レシーブエース数/1ゲームは女子が男子を上回り、仮説とは異なる結果となった。

男子

サービスエース数/1ゲーム:1.10回/1ゲーム
レシーブエース数/1ゲーム:1.66回/1ゲーム

女子

サービスエース数/1ゲーム:1.05回/1ゲーム
レシーブエース数/1ゲーム:1.70回/1ゲーム

男子選手の中では、チキータは当然のようにマスターしている技術になりつつある。逆に言えば、チキータ対策もそれだけ進んでいると考えられる。そのため、チキータでの一撃でレシーブエースを奪うことは難しくなっているのかもしれない。チキータからいかに自分に有利な展開でラリーを進めることができるかが重要となっている。

一方、女子のレシーブエーストップ3は、平野美宇、早田ひな、石川佳純といった日本代表のトップ選手が独占した。彼女たちは、チキータから積極的に攻める展開を取り入れ、世界でも実績を残している。

男子はチキータからのラリー展開、女子はレシーブエースを狙えるチキータ、という卓球のプレースタイルの違いがわずかな数値の差として表れたのではないだろうか。

参考:サービスエース数/1ゲームランキング 選手別ランキング

(所属は2ndシーズン時)

男子

1位:加山裕(琉球アスティーダ)、林昀儒(岡山リベッツ)1.8回
2位:陳建安(琉球アスティーダ) 1.6回
3位:大島祐哉(木下マイスター東京)、平野友樹(T.T彩たま)、吉村真晴(琉球アスティーダ) 1.5回

女子

1位:早田ひな(日本生命レッドエルフ) 1.8回
2位:赤江夏星(日本生命レッドエルフ)、山本笙子(TOP名古屋) 1.6回
3位:木原美悠(木下アビエル神奈川)、森田彩音(TOP名古屋) 1.4回

参考:レシーブエース数/1ゲームランキング 選手別ランキング

(所属は2ndシーズン時)

男子

1位:加山裕(琉球アスティーダ) 2.8回
2位:マルコスフレイタス(木下マイスター東京) 2.6回
3位:趙大成(岡山リベッツ) 2.5回

女子

1位:平野美宇(日本生命レッドエルフ) 2.8回
2位:早田ひな(日本生命レッドエルフ) 2.3回
3位:石川佳純(木下アビエル神奈川)、サウェータブットスターシニー(日本ペイントマレッツ) 2.2回

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