初心者同士で練習をさせてはいけない理由|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:卓球の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

卓球プレーヤー向け 初心者同士で練習をさせてはいけない理由|頭で勝つ!卓球戦術

2022.04.06

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は、「初心者同士で練習をさせてはいけない理由」というテーマでお送りする。

季節も春になり中高の部活動などではチームに新たな仲間が加わり、初めてラケットを握る選手も増えてくるだろう。

そんなチームでよく見かけるのが、ラケットを握りたての初心者同士で練習をしている風景だ。この季節ではごく当たり前の光景かとも思うが、実はあまりオススメではない。短期的にも長期的にも、チーム全体にとって有効なやり方ではないのだ。なぜこれがよくないのか、どうすればよいのか、そんな内容について今回はお伝えしたいと思う。

初心者同士で練習をさせてはいけない理由①:お互い永遠に上手にならない

卓球を競技として始めるという方で最も多いのはやはり中学校の部活動だろう。初めてラケットを握って、基礎のフォア打ちから覚えていくことになると思うが、その際に多いのが同じ初心者同士でペアになって練習をするということだ。私自身も卓球を始めた中学1年生のときはそうであった。ただ、今となっては絶対におすすめしない。

私見ではあるが、様々な球技があるなかで卓球競技というのは「難しい」部類に入ると思っている。打つボールは毎回違うところに返ってくる。ひとつとして同じボールというのは存在しない

さらにボールには常に回転がかかっていて、それを見極めた上で適切な打法を選択しなければならない。かつ力いっぱい打てばいいわけではなく、相手コートに収まるように非常に繊細な力加減が求められる。そういった要素のなかで、様々な球質のボールへの対応の仕方や、そして打法を自身の体に染み込ませなければならない。

それらをふまえたうえで改めて考えてみよう。

例えば最初の「フォア打ち」を身につけるという段階で、お互いが同じようにまだラケットを握ったばかりの初心者だとする。通常は自分のフォアサイドと相手のフォアサイドの、クロスのコースで打ち合う。その中で常に同じスイングで、同じ打球点で、ボールと体の位置関係を毎回同じポイントで打球をすることで、スイングや体の使い方を覚え込ませていく。

つまりお互いがある程度決められたコースに打ち合い続けられることで、初めて練習が成立するのだ。

しかし、それが初心者同士ならば当然ままならないわけだ。相手からの返球があさってのコースに来た場合、それに対応しようとして手を伸ばしたり足を動かしたりと、余計な動作が加わってしまう。決められたコースに返してほしいのに、そうではない迷惑なボールだということになる。(もちろん足を動かしてボールに対応することも立派な練習だが、この段階ではまだそこまでのレベルに至っていない)

そして当然あさってのボールをなんとか返球できたとしても、そのボールも大抵は相手のあさってのコースへ飛んでいくことなるので、相手側としても同じように迷惑なボールになるわけだ。

このように、お互いが初心者だと、お互いに相手の打ちにくいボールを出し続けることになり、いつまで経っても技術が向上しないのである。

さらに言うと同じチーム内で練習するとき、大体いつも実力の似通った決まった相手と練習をする、ということになりがちである。ある程度基礎ができた選手同士ならよいが、下手な選手同士で練習するとその選手達は永遠に上手くならない、という事態に陥ってしまうのである。

そしてそうなると、どんどん上手い選手達との差は開いていく。そうなれば当然他の選手達は、その下手な選手と練習をすることは嫌に感じるわけである。こうなるとチーム全体の底上げには到底つながらず、上手い先輩達が引退した途端にチームのレベルが大きく下がるといったことになるのだ。

初心者同士で練習をさせてはいけない理由①:経験者が初心者の相手をする

そうならないためにはやはり初心者同士ではなく、経験者と初心者でペアになって練習しなければならないし、それが当たり前だと定着させていく必要がある。もちろん経験者側からすれば、初心者と打ったってちっとも面白くないだろう。しかしそれは承知の上で、少しでも自分にとってプラスになる要素をいかに見いだせるかが重要になってくる。

たとえば初心者が打つコースがあちこちに散らばったとしても、必ずしっかり動いて対応し、かつ毎回同じコースに返球することを心がける。たとえば初心者に指導をすることで、自分の中であいまいだった感覚を言語化することにつながり、新たな発見につながる。たとえば今しっかり相手をしておけば、将来的には重要な練習相手になってくれて、自分を強くしてくれることに繋がるのだという意識を持つ、など。

このような意識を経験者側が持ちながら練習することで、初心者を相手にしている時間も有効に使うことができるのである。

ただしもちろん、常に経験者が初心者の練習相手をするというわけにはいかないというのも事実だろう。そういった場合はマシンをうまく活用するだとか、1球の練習ではなく多球練習にして、初心者がなるべくたくさんボールを打てるよう工夫していく必要がある。もちろん1人の経験者対複数の初心者で多球練習をするというのも有効である。

こういったやり方と経験者との1球での練習を上手く組み合わせて、効率的な初心者の技術アップをはかっていきたい。

まとめ

今回は初心者同士で練習をさせてはいけない理由というテーマでお話してみた。

私も中学で卓球を初めて、運良く指導者にも恵まれある程度上達することはできたが、やはり上手くならない子はいつまでも上手くならないということが起きていた。こと部活動であれば毎年メンバーの入れ替わりがあるので、極端に技術力の低い選手を作らず、全員がある程度のレベルまで達していることが重要であると考えている。

そのためには今回の内容を参考に、チーム全体のレベルを底上げできるような指導をしていって頂ければ幸いである。

若槻軸足インタビュー記事

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