文:石丸眼鏡
創設2シーズン目を終えた卓球・Tリーグは今年11月から3シーズン目に突入する。9月には「2020 JAPAN オールスタードリームマッチ」を開催、その資金をクラウドファンディングで集めるなど、オフシーズンも話題に事欠かない。
オフシーズンのニュースとしては、移籍や新加入も大きな目玉となる。木下アビエル神奈川は、韓国の16歳・申裕斌(シンユビン)との契約合意を発表し、話題を呼んだ。また、木下には12歳・張本美和の3季連続参戦も決まっており、若い力がチームを活気づけている。
写真:申裕斌(シンユビン・韓国)/提供:ittfworld
一方、男子の木下マイスター東京には、セカンドシーズンMVPの39歳・侯英超(ホウエイチョウ)が、琉球アスティーダには40歳の朱世赫(チュセヒョク)が今季も参戦することが報じられた。
そこで今回は、現在Tリーグで活躍している選手たちを年代別にまとめてみた。若手からベテランまで幅広い選手が活躍するTリーグで最も活躍しているのはどの年代なのだろうか。
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年代別出場数からみるTリーグの選手構成
まずはTリーグの選手を年代別に分類。今回は、19歳以下、20~24歳、25歳~29歳、30歳~34歳、35歳以上という分類を行った(※ただし年齢は2020年4月1日時点)。
まずは年代別の出場数を見てみよう。集計対象は2019-2020シーズンのリーグ戦シングルス(VMを除く)とした。
年代別出場試合数合計
19歳以下:101試合
20歳~24歳:146試合
25歳~29歳:214試合
30歳~34歳:41試合
35歳以上:64試合
上記の結果、最も試合に出場しているのは25歳〜29歳の214試合となった。
この世代に含まれているのは、松平健太(28歳)、吉村真晴(26歳)、丹羽孝希(25歳)、大島祐哉(26歳)、石川佳純(27歳)ら日本代表での実績も豊富なメンバーだ。
写真:吉村真晴(琉球)/提供:ラリーズ編集部
丹羽と同級生の吉田雅己、町飛鳥(ともに25歳)らも多くの試合に出場している。リーグ戦シングルス男子最多出場の神巧也(27歳)、外国人選手最多出場のサウェータブット・スターシニー(25歳・タイ)もこの世代だ。
写真:吉田雅己(岡山)/撮影:ラリーズ編集部
年齢的にも脂の乗ってくる25歳~29歳の選手たちがTリーグの屋台骨となっているようだ。
逆に、最も出場数が少ない世代は30歳~34歳の世代となった。
水谷隼(30歳)やマルコス・フレイタス(31歳・ポルトガル)らを擁する世代だが、この世代でリーグ戦シングルスに出場したのはわずか6選手。現在のTリーグは男女計8チームの構成、1チームあたり1人を下回る結果となった。
最も強い世代はどこだ 年代別勝率から分析
続いて、上記と同様の区分で年代別の勝率を算出した。
若手からベテランまでが混在するTリーグで、今最も「勝てる世代」はどの世代なのだろうか。
年代別マッチ勝率
19歳以下 53.5%
20歳~24歳 40.4%
25歳~29歳 48.6%
30歳~34歳 63.4%
35歳以上 60.9%
年代別の勝率トップとなったのは30歳〜34歳の世代。
写真:馮天薇/撮影:ラリーズ編集部
わずか6選手で構成される世代ながら、ともに6勝2敗の馮天薇(33歳・フォンティエンウェイ・シンガポール)、于梦雨(30歳・ユモンユ・シンガポール)の2名が勝率に大きく貢献。
水谷、フレイタス、李平(33歳・リピン)、エリザベタ・サマラ(30歳・ルーマニア)の4名も勝率50%以上をキープしており、ベテランの安定感を感じさせる結果となった。
写真:李平(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
ベテラン勢が高い勝率を記録
年代別勝率で30歳〜34歳に続いたのは、35歳以上の大ベテラン選手たちだ。
この世代に該当するのは、パナギオティス・ジオニス(40歳・ギリシャ)、朱世赫(40歳・チュセヒョク・韓国)、侯英超(39歳・ホウエイチョウ)、荘智淵(38歳・チュアンチーユエン・チャイニーズタイペイ)、ハン・イン(36歳・ドイツ)の5名。
写真:朱世赫(琉球アスティーダ)/撮影:ラリーズ編集部
特徴的なのは、荘智淵を除いた4名がいずれもカットマンという点だ。カット主戦というプレースタイルの選手寿命の長さが、この世代の構成にも現れているのだろうか。
さらに、朱世赫、侯英超、荘智淵、ハンインは10試合以上に出場、チームの柱として年齢を感じさせない活躍を見せた。
若手の台頭も目立つ
加えて、若手選手の健闘も目立つ。30歳未満の世代で唯一勝率50%を上回ったのが19歳以下だ。
写真:張本智和/撮影:ラリーズ編集部
平野美宇(19歳)、早田ひな(19歳)、張本智和(16歳)など、既に日本代表の主力となっている選手が多いこの世代だが、彼ら以外にも実力者が数多く存在している。
今年1月の全日本選手権女子ダブルスで3位に入賞した長﨑美柚(17歳)、木原美悠(15歳)、男子シングルス優勝の宇田幸矢(18歳)、同じく男子シングルス3位の戸上隼輔(18歳)など、他にも将来を嘱望される逸材が顔を揃えているのだ。
彼らが未来の日本代表を引っ張っていくのは間違いないだろう。
まとめ
年代別という切り口からTリーグを見てみると、様々な傾向が見受けられた。
40歳になろうかという大ベテランとまだ幼さの残る10代の選手が真剣勝負をするのもTリーグの大きな魅力。若手選手にとっては貴重な経験の場にもなるはずだ。
選手の年齢に注目して、Tリーグを観戦してみるのも面白いかもしれない。
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