【頭で勝つ!卓球戦術】相手の苦手とこちらの得意、優先すべきはどっち?


文:若槻軸足(卓球ライター)

卓球競技を続けていれば、試合をするなかで「この相手はここが弱点だな」と見つけられることがある。

弱点を見つけられれば、そこを徹底して攻めるべきではあるのだが、ひとつ問題がある。

その「相手の弱点を突く作戦」を、自分が不得意としているときである。具体的に見ていこう。

相手の弱点を発見したら、徹底的に弱点を突く

例えばサーブの場面。相手は、極端にフォア前のレシーブが苦手だということにあなたは気付いた。「チャンスだ!フォア前を攻めよう!」

しかし、あなたは普段、フォア前にサーブを出すことはほとんどない。したがって、フォア前サーブからの3球目攻撃にも慣れていない。

状況を整理すると、

・対戦相手はフォア前のレシーブが苦手
・あなたは普段、フォア前にサーブを出すことはない
・あなたはフォア前にサーブを出した後の3球目攻撃も不慣れ

ということになる。

こうなったとき、あなたはどうするべきか。

(1)相手の苦手なフォア前にサーブを出す作戦
(2)自分が得意なフォア前以外にサーブを出す作戦

正解は、(1)である。

相手の弱点がフォア前と分かった以上、勝ちにこだわるのであれば必ずフォア前を攻めなければならない。

なぜなら、そこを攻め続けることで、相手に最後まで、「フォア前にサーブを出されたら嫌だな」というイメージを抱かせることが出来るからだ。

このイメージは最後まで残り、「フォア前に出されるかもしれない」という恐れが植えつけられているので、レシーブでは思い切ったプレーを制限させることが出来る。

結果的に、試合全体を優位に進めていけるであろう。

また、あまり同じところばかりを攻めると、「慣れられてしまうのでは」という不安が出てくると思われる。

しかし、連続で攻めたからといって、急に苦手な部分が得意になることはあり得ない。“なんとか返せるようになる程度”だと思っていればよい。思い切って攻め続けよう。

そして、自分がそれを苦手としている場合であってもやり続けよう。

例えば「フォア前を狙う」という意識をしている時点で、自分が「先に仕掛けている」ので、それに備えて準備をすることが出来る。なので、相手より優位に立つことは間違いないのだ。

また、別の例で言えば、相手が極端にロビング打ちが苦手だったとする。それに気付いたあなたは、たとえ普段ロビングを多用する選手でなくても、積極的にロビングを上げるべきなのである。

相手の弱点を攻められるように、普段から練習を

弱点攻略1:フォア前を攻める!

先ほど述べた、フォア前が苦手という選手は非常に多い。

世界のトップ10に入る、ドイツのオフチャロフ選手でさえも、フォア前を極端に苦手としている。(彼がフォア前の処理をする際は、手首を返してバック面で処理をするか、回り込んでチキータを打つかのどちらかである。)

苦手な選手が多いという理由は、間違いなく「取り慣れていない」からであろう。そして実際あなたも、フォア前にサーブを出すことは少ないのではないだろうか。

自陣のバック側から相手のフォア前にサーブを出す際、ストレートコースになるので、距離が短い。よって2バウンドに抑えるのが難しいし、台から出たらすぐさまドライブを打ち込まれてしまうというリスクもある。

フォア前を苦手としている選手が多いという状況の中で、あなたがすべきことは何か。それは、「フォア前を攻めることが得意になる」ことである。

・フォア前で確実に台で2バウンドさせられるようにコントロールを高める
・下回転、順横回転、逆横回転、あらゆる回転のサーブを出せるようになる。
・レシーブで、ツッツキをされた場合、フリックをされた場合、チャンスボールが来た場合、各パターンを組み込んで3球目を決められるようにする。
・同じモーションから、フォア前と対角になる、バックへの速いロングサーブも出せるようにする。

これらの練習を普段から意識的に取り組んで、「フォア前を攻めることを得意とする」ことが出来れば、勝てる可能性はぐんと上がるだろう。

弱点攻略2:ロビングで攻める!

さらには、「ロビング打ち」を苦手としている選手も実は多い。この理由も同じく、打ち慣れていないからだ。「カットマン」は数多くいるが、「ロビングマン」はそういない。

日本代表などのトップレベルで戦うにおいては、ロビングをメインに戦うのは無理があるだろう。しかし、地方の大会、アマチュアレベルであれば、相手によっては十分通用する、有効な戦術である。

相手がロビングが苦手だと気付いたら、積極的にロビングを上げるべきだ。そしてそのためには、フォア前の件と同様に、攻撃マンであっても普段からロビングを上げる練習に取り組んでおくべきなのである。

・フォアバック、共に確実に返せるようになる
・なるべく台の深くに返球できるようになる
・回転をかけて、伸ばす・曲げるという技術を高める

遊び感覚から取り入れてもいい。しかし、真剣に取り組むべきである。

相手の得意な戦い方に付き合ってはいけない

こちらは、2013年の全日本選手権の決勝、水谷選手と丹羽選手の試合である。この試合の前年に吉村真晴選手に王座を奪われ、その奪還を目指す水谷選手。

わたしが思うに、水谷選手は自身の得意とする後陣からのフィッシュやロビングをもっと多用していくべきだったであろう。

前陣での打ち合いは丹羽選手が最も得意とする領域。水谷選手はそれに合わせて戦う必要は全くなかった。

丹羽選手は身長も低く、パワーもない。ロビング打ちなどは最も苦手としているはずである。一方で水谷選手は世界一のロビング技術を持ち合わせている。普通に考えれば、その技術をぶつけない手はないはずなのだが。(なにか色々考えがあったのであろう…)

まとめ:いかに相手の思い通りにさせないか

卓球は対人競技である。フィギュアスケートや体操などは、「己との戦い」という要素が強い。プレッシャーを跳ね除け、自分がこれまで練習してきた内容、実力を100%発揮することに全力を注ぐ。

しかし、他の対人スポーツ、あるいは将棋といった競技は「いかに相手の好きなようにさせないか」が勝敗の鍵を握る。プロレスのように全力でお互いの得意技を受けきるようなこともない。

そのためには、自分の得意技を出すよりもまず、相手の弱点を徹底的に突いて、「相手に何もさせない」ような戦い方をすることをおすすめする。

その相手の弱点を探るためには、鋭い観察力・分析力も必要だ。フォアかバックか、前陣か後陣か、下回転か上回転か。様々な要素で選手の得意・不得意というのはプレーに現れる。それをいち早く見つけられるようにしよう。

そして、弱点を突く戦術を試合のなかですぐさま組み立てられるよう、普段から準備をしておくべきである。

練習量の少ない社会人選手などは特に意識して取り組んでいくべきではないだろうか。

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